ホピ族の言い伝え・第2の世界の創造と破滅
さて翌日のことだ、俺はグランドマザーから昨日の話の続きを聞いていた。
ホピには文字がないのでこうやって口伝で神話を受け継いでいくしかないのだが、王権のようなものがない原始共産制だと話を歪める要素がないので、基本的には話は歪められていないと思う。
そうするとこの第一世界の破滅はおそらく7万年前に起こったというトバ火山の大噴火による大災害じゃないかと思うんだよな。
このトバカタストロフにより100万人ほどいたホモ・サピエンスは2000人から10000人程度まで減少してしまい皮膚の色や言語などの違いが会っても遺伝子は99.89%は同一であるという。
これはチンパンジー同士などに比べてかなり少ないらしい。
そしてそれまでは動物とともに裸で暮らしていたが寒冷化によって動物の毛皮を衣服として用いるようになったらしい。
「さて、地上が火で焼かれている頃、創造主の教えを守って生きてきた
選ばれた人々は蟻人間とともに地底で平和に暮らしていました。
そこでの生活は、地上にいたときとあまり変わリませんでしたが
そこには生活するための部屋や、食物を蓄える倉庫があったのです。
また、蟻塚の砂の細い穴を通して太陽の光を地下にもたらしていたので
そこでの生活には困らなかったそうです。
しかし、長い間の地下生活で食糧が底を尽き始めたのに困りました。
第一の世界が火で滅びた後、再び暮らせるように冷えるまでには
時間がかかったのです。
しかし、蟻人間は創造主タイオワにより移動してきた人間に
優先して食物を与えてくれたそうです。
そして、蟻人間は自分たちの食糧を優先して地上からきた人々に与え続けました。
そして彼ら蟻人間は、自分たちの帯をきつく締めた飢えをしのいだのです。
今の蟻が腰のところで細くなっているのは、このためですから
私たちは彼等に感謝しなければなりません」
「なるほど、そうだったのですね。
本当に感謝しなければなりませんね」
「はいやがて、第一の世界はもう一度人が住めるほどに冷えました。
ソツクナングは、海のあったところを陸、陸のあったところは海に変え、
地上の様相を一変させ、蟻人間と人間を地上に出しました。
人々はソツクナングに感謝し広大な陸地に、人々は急速に増えていきました。
そして創造主タイオワに讃美の歌を捧げることも忘れませんでした。
しかし、以前のように獣と一緒に生活することはできませんでした。
獣は人々から長い間離れていたので思いが通じることはなかったのです。
動物から離れた人は家を建て、家が集まって村ができ、村の間を道路でつなぎ
手でものをつくり、蟻人間のように食糧を集めた蓄えるようにしました。
村と村の間で交易を始め、互いにものを交換し始めたのです」
「なるほど、とうもろこしをうえてためておくことを始めたのですね」
「はい、しかし、やがて人間は必要なものだけでは満足しなくなりました。
人々は、生きていくために不要なもののために交易を進め、
そしてものを得るほどにますますいらないものをほしがり
それた、積み上げて喜ぶようになりました。
第一の世界で起きたことがまたもや繰り返されました。
多くの人々は、創造主へ讃美の歌を捧げることをやめ、
売り買いし蓄えた生きていくのに不要なものを讃美しました。
人々は争い始め、村同士の戦いが起こり、
それはまたしても世界中に広がりました。
それでも、どの村にも創造主タイオワのことを忘れず、
創造主に賛美の歌をうたい続ける僅かな数の人々はいました。
こうして、ふたたび世界が堕落すると第一の世界のときと同じく、
ソツクナングはタイオワの教えを守る人々をコクヤングティと
蟻人間に命じて人々を地下に避難させたのです。
そうした人々と蟻人間が地下に避難したのを確認すると
ソツクナングは南極と北極をそれぞれ守っている双児の
ポカングホヤとパロンガウホヤをそれぞれの局地から離れさせました。
双児が持ち場を離れると、地球は傾き、
回転が狂って二度引っくり返ったのです。
山々が崩れて海になだれ込み、海と湖は津波となって陸を襲いました
そして、世界に極寒の風が吹き荒れ、台地は厚い氷に閉ざされたのです。
第二の世界はまたしても人類に堕落により終わりを告げたのです」
「悲しいことですね」
「はい悲しむべきことです」
おそらくこの時代はマンモスが生きたまま極寒の地になったシベリアで氷漬けになった4万年ほど前だろう、マンモスの牙や骨が最も多く発見されているニュー・シベリア諸島は、ポールシフトが起こる前は温暖な気候で、あらゆる種類の樹木が生えており、スモモと同じ仲間の木が生えていて、実も葉もついていて、熟した実が氷結土の中で原形を保ってのこっておたらしいからな。
自転軸の極と地磁気の極はずれていて、地磁気の極はフラフラと移動しているんだが、地磁気との極と自転軸のズレが大きくなりすぎると自転軸が地磁気の極に合わせてずれるらしい。
少し前の映画のデイ・アフター・トゥモローみたいなことは現実に起こり得るってことだな。
実際アメリカ大陸が北極だったこともあるらしい。