近藤勇がロールキャベツ系男子だった件
屯所の庭の枝垂れ桜が咲いているのを見て
寒い冬が過ぎ、京にも春がやって来たと思った。執務をこなしていた俺は筆を硯に置き、気分転換に茶を飲もうと思ったので、は台所に向かった。
先月まで暖を取っていたのが嘘のような暖かさだ。………だが、俺の心は未だに冬だ。真冬だ。猛吹雪が思いっきり俺の心で暴れまくっている。凍え死にそうだ。
そんな俺の心境を知らずに廊下ではしゃいでいるアホ共
「本当に可愛いですね。お花さんは」
「そ、そんなことないよぅ」
「おい!抜け駆けすんなよ総司!」
「うるせぇよ新八、なぁ、今日俺の部屋に来ねぇ?お花」
「えぇ////////⁉︎」
もし、俺が今筆を持っていたら絶対に筆を折っていたであろう光景
自分の仕事放り投げてあの女に時間を費やしている幹部共
もう怒りを通り越して呆れるしかない。
お花、と呼ばれる女は突如降ってきた 。屯所の屋根を破壊して。最初、間者だと思った俺はあの女を牢屋にぶち込んだのだが、その女は「未来からやって来た」と言い、俺に小さな四角い絡繰りを見せた。それを見た山南さんが「面白いな」とか言ってあの女を新選組で保護しようとかほざいた。
俺は危険だから殺そうと言ったのに、何があったか知らないが藤堂と永倉と総司があの女に惚れていた。幹部を敵に回したら厄介だと思った俺は渋々首を縦に振った。
だか、本当の地獄はここからだった。
藤堂、永倉、総司に続いて原田、斎藤が堕落、二ヶ月後には山南さんと井上さんが堕落、
そしてあれよあれよと言う間に幹部の殆どがあの女に堕ちて、優秀だった山崎までもあの女に堕落しているらしい。けれども山崎はまだマシだ。仕事を終わらせてからあの女に会っているのだから、他の奴らはもうダメだ。巡廻以外誰も執務をこなしていない。しかもその巡廻もあの女と一緒に外を回りたいだけで京の治安を守る気など微塵もないらしい。
そして彼奴らが怠けた執務が巡り巡って俺の所に回って来る。
「あっ!歳三////!」
その声を聞いてしまったと思った。
あの女が頬を赤らめて俺のもとに近づく、止めろ来るな近寄るなと叫びたかったがそんな事を言えばあの女の後ろで思いっきり睨んでいるアホ共が鬱陶しい事をするので自注した。
「お仕事、終わったの////?」
終わるかボケ、てめーらの所為だろうがと言いたかったが自注した。
「…まだ終わってねぇよ」
そう言って立ち去ろうとしたが、総司が行く手を阻んだ。
「へぇ、貴方みたいな仕事人間が部屋から出てくるなんて驚きました。」
ようするに「なんで部屋から出て来たんだよ邪魔なんだよどっか行け」って事だな、分かったからさっさと退け
そう思ったら馴染みのある声が俺の後ろから聞こえてきた。
「トシ!少し良いか?」
新選組局長 近藤勇、局長であるのに女に好かれない可哀想な俺の親友
別に近藤さんの顔が悪いんじゃあねぇ、寧ろ顔も整ってるし性格だって良い。それなのに何故女に好かれないか、一言で言うなら比較してしまうのだ。幹部と
そう、うちの幹部は無駄に顔が整っている奴が多い。つまり色男が多い。その内の一人に俺も入っているらしいが、正直言って嬉しくない。…話がずれたが、まぁ、つまり女共は近藤さんと幹部と比較するのだ。最初は近藤さんに媚を売っていた女も結局やれ「沖田はんが良え」「原田はんが良え」となってしまう。…解せぬ
「あぁ、今行く」
俺は心の中で近藤さんにお礼を言いながら、あの女の声とアホ共の視線を後にしてその場を去った。
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俺の部屋に来た近藤さんは正座して俯いた。
その姿を見て近藤さんが俺を呼んだ理由が分かって溜息を吐いた。正直、何回目だと言いたかったがあまりの落ち込みように言葉を慎んだ。
「…で?何処のどいつに振られたんだ?」
「…団子屋のよっちゃん」
「なんて、言われたんだ?」
「…………」
「また幹部と比較されたか」
俺がそう言ったら近藤さんは首を縦に振って膝に乗せていた手を握り締めた。そして俺は溜息をまた吐いた。
「気にすんじゃねぇよ、あんたにはあんたの良さがある。その良さを知ろうともしない女の事なんざ忘れちまえ」
「…………トシ、」
「大体、あんたも見合い話来てんだぞ。それをあんたが「髪が長くて一つ括りで吊り目で鼻が高くて唇がキッとして…」とか無理な要望を言ってるから逃げられんだよ」
「うっ、それは…」
「いい機会じゃねぇか、我儘言ってねぇでさっさと見合いして嫁を取れ。それがあんたの為だ。」
その言葉を聞いて近藤さんは傷付いた顔をして部屋から出て行った。残された俺は言い過ぎたかと思ったが、これも近藤さんの為だと思った。鬼になれ俺、鬼の副長とか言われてるけど
「副長」
そんな事を考えていたら屋根裏にいたはずの山崎が俺の後ろに座り、何か言いたげに俺を見た。
「なんだ?山崎」
「…俺は、副長が衆道になってもついて行きます。」
「?どうした急に?」
「…気付いていなければ良いのです。それより副長、最近寝てませんよね。執務は俺があの人たちにやらせるので湯呑みをして寝て下さい。」
「えっ!?あっ、ちょ!!」
「さぁ、さっさと湯呑みに行く!!」
山崎が襖をドン!と閉めた音が聞こえた。執務はまだ半分も終わっていなかったのだが、あぁなった山崎は頑固なので、今日くらい良いかと思い、湯呑みをしに行った。
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チャポン…と言う音が鳴った。最近ゆっくりと湯呑みをした事が無かったので、こんなにもじっくり入るのはのは久しぶりだと思った。主に仕事を増やしているアホ共の所為だか
そのアホ共とは違い、近藤さんはいつも通りだった。いつも通り女に振られて俺のもとに来て俺が慰めて…あぁ、今日は俺がとどめを刺しちまったんだ。けど、近藤さんには幸せになって欲しい。嫁を取って、子供ができて、父親になって、…そんな細やかな幸せを
使用中と立てているので隊士が入ってくる恐れはないが、幹部はそんな事関係なく入ってくるので、入って来る前に出なければいけない。もっとゆっくりしたかったが泣く泣く風呂から出た。だが、
「トシ、お前がこんな時間に入るなんて珍しいな!今思えば一緒に入るのは初めてだn…」
途中まで話していた近藤さんだったが俺の姿を見て固まった。
そんな近藤さんを余所に俺は見られたと言う絶望感と困惑で頭がいっぱいだった。
そして、気がついたら俺は部屋に戻っていた。どうやって帰ってきたか覚えていなかったが、寝間着は取って付けたような格好だった。だが、俺はそんな事全く気にせず、一晩中すすり泣いていた。もう新選組にはいられないと思いながら
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梟が鳴いている声で目が覚めた。今日は満月なので、辺りは明るく、蝋燭は付けなかった。布団の上で泣いてそのまま寝てしまったらしい。寝間着は取って付けたような格好だった。
着物を着けて髪を一つに括った。鏡を見たら俺の吊り目の下に涙の跡が付いていた。日本人なのに高い鼻、きつそうに見えるキッとした唇、俺は自分の顔を睨みつけた。
俺は腹を括って近藤さんの部屋に行った。遅かれ早かれこうなる事は目に見えていた。もう潮時だ。
「…近藤さん、起きてるか、…夜分遅くすまない、話がある」
「入れ」といつもと違う低い声に俺は怒っているんだと察した。当たり前だ、俺は10年間、近藤さんを騙し続けていたのだから
部屋に入ったら寝間着姿の近藤さんが腕を組んで座っていた。いつもの大らかで優しい雰囲気はどこにも無く、俺は今にも泣きそうになった。だけどけじめだけは付けなくちゃなんねぇ、俺は腹を括り直した。
「近藤さん、今まで騙してすまなかった。言い訳に聞こえるかもしれねぇが、聞いて欲しい。俺が薬草売りをしていた頃、あんた、俺に言ったよな。「お前と一緒に上京したい、お前以上の奴は存在しない」って、俺、嬉しかったんだ。死ぬほど嬉しかったんだ。だから、あんたを騙してでもついて行きたいと思った。あんたの為だったら鬼って言われようが人殺しと言われようが良かった。あんたの為なら…、命なんて捨ててやると思った、そして俺は、あんたの作った新選組と共に死んでいきたかった。…分かっていた、これがばれたら俺は此処に居られないことくらい、分かっていた、分かっていたんだ。……近藤さん、今までありがとう。あんたに出会えて良かった。…切腹でもなんでもする。出て行けと言うなら今晩中に出て行…んぅ////!?」
俺が言い終わる間に塞がれた唇、けれどもこれは世に言う接吻と言うもので
「んっ!?ん…んぅ////…ふぁ、はぁはぁ////」
訳が分からなくて、けど舌と舌が絡めあうのがすごく気持ちよくて、気付けば夢中になって近藤さんの舌を求めていた。あぁ、ダメだ、俺はいつからこんな淫乱になった?
「近藤さん…////?」と上目遣いで見た。何時もとは違う近藤さんの姿に胸が高鳴った。
「なぁ、トシ、俺は此れでも我慢した方だぞ」
「ふぇ////?」
「始めて会った時、綺麗だと思った。男なのにこんな綺麗な奴がいるのかと思った。けど、顔に似合わず優しい所とか、意外と初心な所とか、そんな、俺以外誰も知らないお前を見たとき、好きに、なっていた。けど、俺はお前に拒まれるのが怖くて仕方なくて、好きでもない女の尻を追い掛け回して、この想いを断ち切ろうと思ったのに…!」
そう言った近藤さんは着物の胸元を、引き裂いた。
「まさか、お前が女だったなんて、な」
胸元のサラシまで引き裂かれ、二つの膨らみが露わになり、俺は羞恥で顔が赤らんだ。
「お前が見合いの話を持ち込んだ時どれだけ辛かったか、お前があの女と話していた時どれだけ苦しかったか…!」
「こ、近藤さっ、ひゃあ////や、やめ…////」
「止めない、なんでもするんだろう?」
そう言った近藤さんは俺を布団へと押し倒した。
一ヶ月後、土方歳三は組を抜け、近藤歳三になったそうな
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土方歳三
男装をしていたのだが、近藤さんにバレた
あの後、近藤さんに美味しく頂かれた
近藤勇
10年間土方の想いを封印してきたが、お風呂場の件で理性が弾け飛んだ。ロールキャベツ系男子
山崎丞
近藤の想いを知っていた。お花に惚れたと思われているが、偵察に行っているだけで惚れていない
お花
逆ハーを作ったのだが、本命は土方
幹部たち
最初は土方に惚れていたが、土方が男という事もあり諦め、お花にした。