作家?んなわけあるか
はぁ、疲れた。
「えっと…………ここは?」
「見てわからないの?マンションよ」
「――――――――帰っていいですか?」
「―――――ここまで来て帰るの?意気地なし‼」
頬を赤く染めて言った。
「高橋さん、そう言うからかい方止めてください。本気で信じますから。」
「私はいつだって本気よ」
うわ、誘ってんのか?
「ホント返っていいですか?」
「ハハハ、冗談ジョウダン」
「はぁ、で、本題は?」
「小鳥遊君ここに来てやることと言ったら一つしかないでしょ?ワンルーム借りたから―――――」
「まだ続けるんですか!?」
はぁ、あれから約十分何たる時間の無駄遣い。まさか高橋さんがあんな人だったとは………口が強いことは想定内だったけどまさかあんな………
僕は導かれるまま彼女の家の玄関の前まで来てしまった。
「小鳥遊君ちょっと待っててね」
ニコリと笑い玄関に入っていく高橋さん。
それにしても可愛いなー流石一位。
五分後。
「どうぞ上がっていいわよ」
玄関を思いっきりはけるエプロン姿の高橋さん。
エプロン姿はレアだなー
思いながらも、モソモソと玄関を上げる。
「お、お邪魔しまーす」
その後、高橋さんはお茶を出し、畳み間に案内する。
「どうぞどうぞ、座って」
高橋さんは僕を座らせお茶を人啜り。そして少し間をあけ、
「うん、じゃ、本題に入りましょうか。あなた、確か小説家を目指しているのよね?」
何故知っている‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼
「あ、――――――――――――――うん」
「なんか歯切れ悪いわね。」
そりゃそうでしょ、登校一日目で自分の夢みたいなものが、誰にも話していないのにばれたらなぁ?そりゃ歯切れも悪くなるよ。
「ま、いいわ。それで、話に戻るのだけれど、あなた、私の本のモデルになりなさい」
「へ?」
「へ?じゃないわよ。私がモデルになってくださいって頭を下げてるのよ?」
いつ下げたんだよ?見えなかったぞ?
「えっと………それはどういう………」
「どうもこうも無いわ、私の連載中の小説のモデルになりなさいって言ってんのよ?」
「は?連載?て事はお前………作家!?」
「そうよ」
キョトンとした顔で言う彼女。まるで当然よと言っているようだ。
は?高橋が?作家‼?有り得ないだろ‼それに信憑性も無い。
「えっと、じゃ、じゃぁ、証拠は?」
「証拠?―――あ、あぁ、あなたは、「そんな馬鹿な‼こんな馬鹿みたいな奴が作家なわけがない‼馬鹿な俺でもそのぐらいはわかる」と言っているのね?私に侮辱?最低ね」
「まて、今のは自分で言ったろ。それに侮辱されてんのは僕の方だ‼」
「小さいことは気にしないの、男でしょ?」
「そういう問題じゃない」
そんな会話をしていると高橋は小説を僕に差し出した。
「はい、小説」
「あ、ありがとう」
まだ理解の出来てない僕。
えっと、タイトルは………「これが私の恋」?微妙なタイトルだな。てか、一番気になるのはこの絵柄。ナニコレ?小説と言うより少女漫画に見えるぞ。
思いながらも一ページ目を捲る。
【これが私の恋 相原 俊
私は中学二年生の十四歳、相原俊‼】
は?(笑)ナニコレ?主人公と作者同一人物?
【いま、私には好きな人がいるの。名前は………
藤岡マイケル君‼】
誰だよ‼‼てか何故藤岡?それよれもマイケル!?外国人?
【何故私が彼を好きになったかと言うと………
彼がカッコいいから‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼】
そりゃそうだろうね。大半の主人公、ヒロインなどはカッコいい可愛いだからな。それに、外国人だし?!
【それだけじゃない。私はそれ以上に彼の長所を好きになったの‼‼】
へぇ、長所ね………いや、逆になにも無かったら終わってるけどな。
【え?どんな長所かって?それは―――――――――
って、何言わせようとしてるのよ!恥ずかしいじゃない‼】
自分で話振っておいてそれ!?しかも誰と話してんの?
【もうっ‼‼‼――――――――――――――――――え?それでも聞きたいって?
もーーーーそれは、ヒ・ミ・ツよ】
焦らすなよ‼てか、マジ誰と話してんだよ‼‼と言うかどんなギャルゲ?第三者目線って
【でも、そんな彼の周りには】
どんな彼だよ!?わかんねーよ‼それとも何か?本には書けない程の魅力があるのか?そのマイケル君には?それでも読者には伝わらねーよ‼‼
【女の子がいつも集まってくるの】
そりゃそうだろうよ‼本には書けない魅力らしいからな‼‼‼
【だから私の敵は多いのっ‼
でも、みんな応援して‼
そんな俊キュンとマイケル君を】
最後の最後まで誰と話してんの!?!?しかも何?主人公は自分のことをキュンとか読んでんの!?終わってんだろ‼それに、その「俊キュン」?のこと一つも触れてないんだけど‼‼
――――――あぁ、読むのが苦しいな。
一ページを読み終わり………てか一ページ目に挿絵!?
僕は恐る恐る高橋に問いかける。
「これ………本当に受かったんですか?」
「えぇ、勿論よ」
「そう、ですか………」
ぶっちゃけあり得ねぇ。
でも、まぁ受かったのなら、たぶん最初のこれは掴みとしてギャグなんだよな?
まぁ、あとあとわかるな、――――――まず、今日は……
「じゃぁ、僕はこれをじっくり読むために帰りますね。」
「えぇ、感想を聞かせてね」
「で、モデルの件はこれを読んで………あと………」
「却下よ。モデルは決定事項なの」
「ハハハ、そうですか」
苦笑いをする。
ホント、今日は一旦退こう。これ以上いるとやばい………
彼女の家、彼女の匂い。小鳥遊は感じていた。
「じゃぁ、また明日。」
「はいはい。」
こうして僕と彼女の一日目は終わった。長い一日だった。
うあぁぁぁぁあ