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境界世界のブリガンテ  作者: りくつきあまね
セフィリア=ベェルフェール
32/36

――― 流転の刻 ―――

「――――――貴方を捕縛させて頂きます」

 イルガの敵意が耳に届いた刹那。

「ッ!?」

 凜の眼前に迫るのはイルガの右手。半瞬遅れて届いたのは――――――首元で響く骨を砕いた鈍く凄惨な音。

「ぐっ!?」

 そして場に零れたのはイルガの苦渋。

 イルガは右手首を押さえながら後方へ飛び退き、苦痛に歪む瞳に驚愕を震わせる。

「な、何故貴女がっ!?」

 動揺と激痛に破綻するイルガとは反対に、凜と夏子は揺るぎない信頼に快活な笑みを咲かせる。

 二人の瞳に映るのは黒衣を纏い、納刀された純白の太刀を携える金髪の少女。

「「エリスっ!!」」

 イルガと同じく人を超越し、この世の理を統べる【神】の末席――――――『死神』

の少女、エリス=ベェルフェール。

「なんっ、とか……間に合ったよう、だな…………っ」

 だが、駆けつけたエリスの姿は酷く弱々しかった。

 生気が薄れた青白い顔色、いくつもの裂傷が刻まれ、土と煤で汚れた制服。華奢で小さな肩は止めどなく上下し、色濃い疲労が見てとれた。

「エリスっ、その怪我!?」

「私の事は、気にするなっ…………それよりも二人とも無事か?」

 驚愕に声を上げる凜をよそにエリスはイルガ達を見据えたまま震える右手で『虹の陽炎アルクス・カリマ』を引き抜き、おぼつかない様子で構える。

「う、うん……なんとか」

 エリスから伝わっている焦燥と緊迫感に夏子が弱々しくも答え、僅かにエリスの目元が安堵に緩んだ時。

「――――――全く八番隊の連中は何をしているのやら」

 それを嬲るように皮肉と侮蔑の声音を吐き溢すイルガ。

 鞘の一撃で砕かれた右手首を法術で治癒し、その具合を確かめるように小さく左右に振る。

「いくらエリス嬢が『神界』屈指の手練れとはいえ留めておくこともできないとは……所詮は平民上がりの寄せ集め部隊。コチラの手間が増えてしまいましたが【器】共々、ここで捕縛させて頂きますよ」

 イルガは苛立ちに研がれた視線を凜達へ向け、それを合図に静観していた他の『死神』達も戦闘体制に入り、周囲を荒々しい魔力で満たされていく。

「くっ、問答無用かっ!?」

 イルガ達の害意に『虹の陽炎アルクス・カリマ』を握り直し、凛達を護る為に【空絶】を展開するエリス。

「二人共、絶対にその中から出ないでくれっ!!」

「っ、わかった!!」

「う、うんっ!!」

 開戦の狼煙が如く叫ぶエリス。それにつられる様に答える凛と夏子。

 そしてイルガも先手を打つべく単騎でエリスへ突進し、他の五人も援護の法術詠唱に入る。

 刹那、同胞達を迎え撃つべく『虹の陽炎アルクス・カリマ』の刀身が橙色へ変わり。

「エリス嬢、貴女は自分が何をしているのか……理解していますか?」

「無論ですっ」

 二人の掛け合いと同時、魔力を収束させたナイフと太刀の斬光が交差。一瞬の間も無く剣戟の音が数十と刻まれ、病院の壁に深々と斬痕が刻まれる。

 エリスが胸元への攻撃を袈裟斬り払ったところでイルガが後退。入れ替わる様に頭上を埋め尽くす火、水、雷、土の巨塊が無数に降り注ぐ。

「この程度っ!!」

 エリス裂帛に答える様に橙色の刀身は鮮やか蒼へ装いを変え、

「第三位『斬閃・蒼波』っ!!」

眩愛い蒼の閃光が法術の雨を一刀にて斬り捨てる。

 大気を薙ぐ音と共に粉塵が散り落ち、ドッと押し寄せる疲労の波に呻く様に息をつくエリス。

(――――――『現世』に来る為だったとはいえ、やはり『第一位』を解放したのは不味かったか)

 額に滲む冷たく重い汗が頬を伝い、全身の震えに膝が飴細工の様に脆く崩れてしまいそうだった。

 だが、これは仕方のなことだった。

 自身の『現世』行きを阻む為に所属していた第八番隊の面々、そして自分の師でもある第八番隊隊長から逃れるには『第一位』を解放しなければ出来なかった。予想していた追撃は自分が『現世』へ降りた時点で任務失敗と判断したのか、追っ手が来ることはなかったが……今交戦している第六番隊に任せたとも考えられる。

 疲労の度合いから言ってあと五分も戦闘出来れば御の字といった所だ。元より隊長級のイルガだけでも勝ち目が薄いというのに、その部下である同胞達までいるとなると無いも同然。逃走するにも転移法術を使ったところで即座に捕捉され、捕縛されるのが関の山。今ここで無理矢理『第一位』を解放しても良くてイルガ以外の『死神』達を戦闘不能にするので手一杯。救援も望めない状況では自分には打つ手なしだ。

 このままいけばどう転んでも凛はイルガ達に連れ去られてしまう。

(――――――どうするっ? どうすればこの状況を切り抜けられるっ⁉︎)

 手から溢れそうになる『虹の陽炎を(アルクス・カリマ)』を握り直し、賢明に戦意を保とうとするエリス――――――だが突如、それを刈り取ろうとエリスの足元から空間を捻じ曲げ出現する幾重もの黒鎖。

 ほんの一瞬、完全に虚を突かれたエリスは僅かに反応するも体と四肢を黒鎖に縛り上げられ、粉塵の雨を切り裂き間合いを詰めるイルガ。

 縛る黒鎖を砕き、ガラ空きのエリスの脇腹に鋭い蹴りが抉り込み、

「ウグッ!?」

エリスの呻き声が上がり、木の葉の如く宙を舞い飛ぶ華奢な体。

 そのまま受け身をとる事もできず、隣接していたビルに激突。中に備えられてた幾つもの作業机と書類の山をなぎ倒し、ビルを突き抜けた所で赤髪長身の『死神』に地上へと殴り落とされる。

 身体中を嬲る激痛に疲労に鈍っていた感覚が研がれ、激突寸前の所で着地。舗装されたアスファルトがその衝撃に砕け飛び、

「こ、のぉっ…………!!」

「ベェルフェール卿に免じて命までは取りませんので」

反旗に立ち上がろうとするエリスへ降るのは幕引きを告げるイルガの嘲笑。

 瞬間、場を舐る魔力が荒々しい業炎を成し、大気が身を焦がす炎熱に悲鳴を上げる。大気の慟哭と共に業炎が収束――――――巨大な炎球とかす。

「心安らかに眠りなさい」

 その言葉を撃鉄音とし、エリスへ炎球を振り下ろすイルガ。

 エリスは揺れる視界を焼き尽くす炎を斬り裂こうと太刀を握り、

「――――――ッ!?」

それを黒鎖が地へと縫い付ける。

「逃げてっ!!」

「エリスッ!?」

 脳裏に浮かばされた悲痛な光景に窓から身を乗り出し叫ぶ凛と夏子。

 その叫びも虚しく業炎がエリスを飲み込み、

「ッ――――――」

二人の悲痛とイルガの優越が溶け合った瞬間――――――




「――――――よっ、久しぶりだな」




業炎が火の粉一つ残さず消え、場に響いたのは緊迫感のかけらも無い自然体の声音。

 そのあまりにも緊迫した場にそぐわない弛緩した声に全員が目を見開き絶句し、

「なんか小面倒な感じになってるが、そうだな…………一先ず、この嬢ちゃん以外の『死神』連中はお仕置き決定な」

と、無邪気な笑顔でエリスを抱きかかえ、凛達を背に宙へ立つ人影に全ての視線が釘位づけになる。

 嫋やかな風になびく艶やかな少し長めの黒髪。宝石を想わせる澄んだ紅の瞳。黒のジャケットと白Yシャツ越しに見てとれる鍛え上げられた長身の体躯。見た目で言えば歳は二十代前半の長身の男。

 その良く見知った男とに驚愕と戸惑いに練られた声を張り上げる凛。

「――――父さんっ!?」

「おう、父ちゃんだぞっ!! ただいま、凛」

 凛の父――――萩月蓮はぎづきれんは久方ぶりの息子の呼び声に振り返り、満面の笑みで応えた。

「えっ!? 凛のお、お父さんっ!?」

「な、なんでここにっ!?  っていうか、どうやって今の」

「あぁ、すまん。説明はあそこの連中を片してからしてやるから少し待っててくれ」

 蓮は驚きに戸惑う夏子と凛を苦笑いで制し、そっとエリスを降ろす。

「まぁ、すぐに終わるから大丈夫だと思うが……一応、嬢ちゃんには二人を頼んどくな」

 蓮はエリスの頭をポンポンと軽く叩きながら告げると、答えを待つ事なく呆然とするエリスの前を通り、イルガ達の前へ勇み出た。

 悠然と場を掌握する蓮へ警戒と不快、二つの感情に磨がれた視線を向けるイルガ。

「貴方は――――【殲滅斬手せんめつざんしゅ】のご子息、でしたか」

「あぁ、萩月蓮だ。そっちのアンタは魔力の具合からして隊長級……何番隊だ?」

「六番隊の隊長を務めさせて頂いております。イルガ=バルギウスと申します」

「六番隊って事は爺さまの後釜か……あの頑固ジジイが随分と聞き分けの良い奴を後継に選んだな」

 蓮は意外そうにイルガを見やり、右肩を回し準備運動を始める。

「いえ、あの方は【元老院げんろういん】の命に反した罪で投獄され、私が代わりに隊長の任を仰せつかったのです」

「…………まぁ、あの爺さまならそんな事だろうと思ったぜ。ったく、【元老院げんろういん】の馬鹿共も相変わらず頭が固い訳か」

 皮肉と落胆。上位存在である『死神』に対して、一切の敬いもなく告げる蓮。

 そんな蓮にイルガの眉がぴくりと上がり、周りを取り囲む様に展開した他の『死神』は発言の危うさを示す様にどよめいた。

 崇高たる【神】の系譜たる自分達への不遜な物言い。本来であればその様な愚か者は即殺するところなのだが――――――

(――――――これは不味いですね)

頬を一筋の汗が伝い、体……本能がこの男が危険であると警告している。

 ただ悠然と体を動かしているだけに見える。だがその実、イルガを含めた『死神』全員を必殺の間合いに捉えている。

 それこそ指先一つ、視線の僅かな動きすら命取りといえる程の濃密でありながら静寂な殺意。

 その殺意にイルガ達が攻めあぐねていると蓮は大きく背を伸ばし、だらりと腕を下ろしながら深く息を吐く。

「――――――さて、と」

 黒と紅。蓮の色違いの双眸に冷たい光が灯り、その身から放たれるのは敵を無慈悲に打ち砕く暴虐的な重圧。

 その重圧にイルガが気圧された一瞬。五人の『死神』が鈍く生々しい音と共に吹き飛び、

「ッ!?」

「――――――悪いがウチの息子をお前らの好きにはさせねぇよ」

閃光の瞬き共にイルガの背後を捉え現れる蓮。

 そのまま連はイルガの背に右拳を放ち、

「甘いですよっ!!」

イルガは寸でのところで【空絶】を展開。

 それと同時に体を反転させ、反撃へ移ろうと魔力を収束しようした所で胸に強烈な痛みが突き刺さる。

「ギゥッ!?」

 イルガの左肺を悠々と貫く蓮の右拳。

「カ、ハッ……ば、馬鹿な…………【空絶】を、すり抜けて……ッ!?」

 驚愕に目を見開き吐血するイルガ。

 その吐血を避けるように拳を引き抜き、地上へと蹴り落とす蓮。

 左肺の激痛と強烈な蹴りの衝撃にイルガは意識が朦朧とし、地上激突寸前で瓦礫を押しのけて飛んできた赤髪の男部下に受け止められた。

 そして蓮に弾き飛ばされた他の四人の『死神』達も瓦礫を押しのけ、ふらつきながらも立ち上がる。

 それを一瞥した蓮は血のついた右手を払い、告げる。

「本当はここでアンタ等全員ここで仕留めておきてぇけど、話がこじれちまうし……一応、殺さないように加減はしてやったんだ。アンタ等の立場ってのもあるだろうが、今日はここいらで手打ちって事にして『神界』に帰れ」

「ぐっ……」

 苦渋に満ちた表情で見上げるイルガ達へ、欠片ほどの感情も感じられない冷徹な視線を向ける蓮。

 本来であればあり得るはずのない人が【神】を見下ろす歪な情景。

 だが、イルガは……いやイルガ達はその歪さも今の攻防で理解してしまった。納得してしまった――――――圧倒的なまでの力の差を。

 蓮の言葉にイルガは唇を噛み、

「…………撤退、です」

呻くように命令を下す。

 その命令に部下達も異論無く従い、イルガのの元へ集結。小柄な茶髪の『死神』が自分達の背後に手をかざし――――――魔力の収束と共に蒼の閃光が縦に奔り、目映い蒼の閃光が吹き溢れる。

 その光に導かれるが如く巨大な紺碧の門が姿を現し、その荘厳な扉を開く。

 『死神』達は敗北感に後ろ髪を引かれつつも【境界門ライン・ゲート】へと進み、

「エリス嬢、そして萩月蓮殿……これは我々『死神』、ひいては【元老院げんろういん】への……宣戦布告、と見なします」

「あぁ、こっちもそれで構わねぇぜ? 【元老院げんろういん】の石頭共に伝えろ――――ウチの息子に手を出した事絶対に後悔させてやる、ってな」

「…………ふっ、その蛮勇。どこまで通せるか見物、っ……ですね」

イルガはどこか嬉々とした皮肉を残し、【境界門ライン・ゲート】へ姿を消した。

 イルガ達を護るように門の扉は閉じ、数秒と経たず淡い光の粒子となって霧散し、【漆黒境界ノワール・ライン】も砕け散るように消え去った。

「……………………」

 それを僅かな隙も見せず見送り続けること数秒。蓮は戦闘態勢を解き、

「…………今はこれで及第点、ってやつだな」

拭えぬ不安を吐き出すように息をついた。

「――――父さんっ!!」

 と、場の収束に急かす様に響く凜の声。

 蓮はその声に小さく笑みを溢しながら階段を降りる様にで凜達の元へと歩みより、

「すまんすまん、待たせちまったな。それと外だと悪目立ちするから、部屋に入らせて貰うぞ」

「う、うん」

もっともな蓮の要望に凜と夏子は窓から離れ、蓮とエリスは病室へと足を踏み入れた。

 それからエリスは太刀を鞘に収め、右手で指をパチンッ!! と弾く。

「念の為、人よけの法術を張った。これなら落ち着いて話ができるだろう?」

 凜と蓮。二人を交互に見やり、気を利かせるエリス。

「うんっ。ありがとう、エリス」

「わるいな、嬢ちゃん。かなり疲れてるのに気を遣わせちまってよ」

「いえ、お気になさらず」

 そう言ってエリスは小さく首を振り、蓮は凜達を一瞥し口元を綻ばせる。

「しっかし、三人共大怪我とかしてなくて安心したぜ。町に着いたら、いきなり魔力が大荒れだったからな」

「こ、こっちこそビックリだよ。お祖母ちゃんからは父さんも『死神』と関わりがあるって話は聞いてたけど……お祖母ちゃんと同じくらい戦えるなんて知らなかったし。そもそもなんで父さんがここにっ? 確か今はフランスの辺りで仕事してたんじゃ?」

「あぁ、それは仕事に丁度キリが付いてよ。二ヶ月間ぐらい休み取れたから、帰ってきたんだ。俺も少しは家族サービスしねぇと、息子に見放されるかもしれねぇよ」

 と、ぽんっと凜の頭に手を置き、わしゃわしゃと満足げに撫でる蓮。

 優しい、というよりかは雑な手つき。だが、その感触をどこか嬉しげに口元をほころばせる凜。

「……………………」

「……………………」

 と、左右から感じる夏子とエリスのこそばゆい視線にハッとなり、慌てて蓮の手を払う凜。

 蓮は特に手を払われたことを気にするでも無く視線を左右に流し、

「んで、こっちのお嬢ちゃん達は……確か黒髪の子が夏子ちゃんで、金髪の嬢ちゃんがエリスちゃんだったよな。俺はこいつの父親で萩月蓮ってんだ。仕事は医者だが、さっきみたいな荒事も少しこなしたりもするアラフォーだ。よろしくな、お二人さん!!」

人懐っこい無邪気な笑みで夏子達へ両手を差し出した。

 夏子とエリスは差し出された手をそれぞれ握り、

「はっ初めまして、蓮さん。さっきは危ない所を助けて頂いて、ありがとうございます。私は神村夏子といいます。凜とは同じ学校の先輩後輩で……その、凜にはたくさんお世話になってます」

「……神村と同じく、ご助力に感謝を。既にご存じの様ですが改めて、私はエリス=ベェルフェール。現在、この町の担当官である『第二級クラス・セカンド』の『死神』です」

順を追って自己紹介を済ませる二人。

「二人の事はお袋からは聞いてる。こっちこそ、息子がいつも世話かけて、面倒見て貰ってありがたい所だ。こいつ、目を離すとすぐに無茶するから、面倒かもしれんけどよろしく頼むな」

「は、はいっ!! それは勿論、こちらこそよろしくお願いします」

「私も若輩者ですが、よろしくっ……っ!?」

 不意にエリスが体をふらつかせ、咄嗟に手を解き抱き留める蓮。

「エリスっ!?」

「だ、大丈夫っ!?」

 凜と夏子は慌ててエリスを支え、

「あ……あぁ、少し立ちくらみをしただけだ」

「っと、やっぱかなり疲れてんなぁ。見たところエリスちゃん、こっちに来るまでの間に随分と無茶したみたいだしな…………」

蓮はエリスを二人に任せ、右手を手に取り脈を測る。

 少し早めの脈動と小さく速い呼吸。顔色も重度の疲労からか血の気が薄く、脈を測る右手から伝わってくる弱々しい震えがエリスの不調を明確に伝えていた。

「私の事は、気にするな……それよりも萩月、神村、それに萩月様も。」

 エリスはやんわりと蓮の手を解き、凜達から僅かに距離を取り一瞥する。

「理由は後で話す。だから――――――今から私と共に『神界』に来て欲しい」

「…………へっ?」

「神、界…………?」

 思いもしなかった言葉に凜と夏子は目を見張り、蓮は予想していたと言わんばかりに小さく息をつき――――――今は亡き妻へ、胸の中で告げる。




(――――――ベルチェ。お前の心配事は当たっちまったみてぇだ)






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