ナカヤママート 1
間抜けな効果音で
ナカヤママートのドアが開くと
瀬尾くんは眼鏡を
ゆっくり直した、
「おはよう、
遅れてごめん」
「ゆーさん、
今日、土日っすよ?
予想外にむちゃくちゃ混んだらどうしてくれんすか、」
店長がゆーちゃんと
呼ぶから
瀬尾くんにまでゆーさんと呼ばれはじめてしまった、
「うん、ごめん」
「今日新しい人が来るみたいすよ、短期だそうっす、。」
僕より二つ上なのだがあとから入ったよしみで、
瀬尾くんは
「っす」
…という話し方で、
なんかお相撲部屋みたいだなぁって
思わず言ってしまって
挽回するのが
とても大変だった再び
ピロロンロン♪
…とドアが開き
四五人の男女が入り混じった大学生らしきグループが
ご来店してきた
「いらっしゃいませ〜」
瀬尾くんは僕がいるときは
いらっしゃいませ。
と
絶対に、言いたくないモットーらしく、
今回も案の定、何も言わなかった
あの僕…品だしして来ます、と
こっそり
言って
店の隅をなぞるように、そそそと下を向いてバックにあるいていった。
「お前」
「あ、瀬尾じゃん」
二人くらいによびとめられながら
全く反応せず
下を向いてさっさと
バックのドアを開けて入ってしまった。
「広田、
あいつたしか瀬尾だよな、
しかとしやがって、
あいつと中学で同じクラスだったんだけどー、」
「なんかきもいねー、たくの友達ぃ?」
「ちげぇよ、
なんか瀬尾ってさ、
すげぇいじめられてたよな!」
どうやら、友達じゃないらしい…
その後、
瀬尾くんの中学時代での
いじめられっぷりが
グループのなかで
散々
発表されていった
「うみでしのうとしたらしいよ」