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【The Back Rooms】  作者:
39/55

【微⚠︎観覧車 緑】

緑の観覧車に乗り込む。

乗るとゴンドラの扉はゆっくり閉まり、ゆっくり上に上がっていく。

観覧車の見た目はごく普通のよくある観覧車だが、中に入ると植物が椅子に座るスペースを除き、あちこちに生えている。

植物の名前は分からないが、食虫花みたいな少し物騒な物はない。唯一分かるのは、コスモスくらいだろうか。コスモスも品種改良されているのか茎が短く、手入れしやすいようなサイズになっていた。

 

最近の技術の進化はこれ程までに進んでいるとは…と変に感心する。まるでここだけどこかの植物園の1部のスペースを刈り取ったような感じがする。

緑が溢れているがしつこくなく、ちょうど良い多さである。

 

ここに小鳥などがいたら、もっと楽しくなるだろうかとも考えていると、本当に鳥の声が聞こえてきた。

こんな中に鳥を飼っているのか!?でも姿は…と探す。

 

 

 

いない。

 

 

 

成程、分かった。

もしかしたら警戒心が強い鳥なのかもしれない。

だから姿を現さないのだ。


他のゴンドラ内もこんな感じで楽しめるのだろうか。

とても楽しみになり、身体を揺らされながらもう暫くこの風景を楽しむ。こんなに心が穏やかになったのも久しく感じる。

 

 



あの歪な世界を抜け出して、地球に帰ってきたのだ。




帰れた事をまず家族に報告したかったが、生憎両親はもういない。かと言って親しい人がいるわけでもない。たまに両親の事を思い出すが、それも今では良い思い出だ。



思う存分にメンタルを治してから、あの世界で巡り歩いてきた出来事を記そうと決めていた。

これまでに体験した出来事、出会った人、見てきた風景はにわかに人々からは、バカにされるだろうし、白い目で見られるだろう。だがそれはその世界に来た事ないから言える事だ。



何度も心を折られながら歩いてきたから分かる事もたくさんあったのだ。

これまでとは違いどこか表情が穏やかになっていた。

何を思って考えているかまでは覗く事が出来ない。

だがそんな事はちっぽけな事であり、これから生きる事に比べたら大した事でもない。ゴンドラ内に手帳のような物と鉛筆が数本置かれているのを見つけ、嬉しそうにそれを手に取り、今迄起きた事を整理して書いて、また整理して書いて…何度も何度も書き殴り、一人悩んでまた綴る。



フィクションだと思われても良い。

 


ただ一人でも多くの人にこれを読んで欲しいだけなのだ。

 


この物語を。この世界を。抗ってきた姿を。




書き殴っている時の顔に少し輝きが見られた。

この話を広めたくて!




片手に大量に書いたそれらを手にして、もう片方は携帯を開き文字を打ち込む。

 





嗚呼、これを早く世に出して素晴らしさを広めたいのに!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 

 

大きな観覧車は、ゆっくりゴンドラを動かしている。

今日も見覚えのある遊園地は通常営業している。


人は相変わらずいないが。


ジェットコースターやコーヒーカップ、お土産屋さん…等、色んな建物やアトラクションで満ちている。

この遊園地の名物は、なんといってもジェットコースターよりも大きい観覧車だ。


ジェットコースターよりも1.5倍?程の大きさがある。その為高所恐怖症の人にはおすすめされない。それ程までに高く天に届きそうな程に大きいのだ。



観覧車は何も変わらずゴンドラをゆっくり回している。



ただ一つゴンドラの中に、床に死体と成り果てた人間から生える1輪のスノードロップを除いては。

 

 

 

 


 

【END:幻想】


【観覧車から降りる】▶︎https://ncode.syosetu.com/n9780lt/18/

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