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【The Back Rooms】  作者:
2/55

【Lv.0 ロビー】

ヴゥゥゥン…


ハム音が鳴り響く部屋にただ独り。

このままいつまでも落ち込んでいても仕方ない。

状況を変える為に進まないとならない。

重い身体に力を入れて立ち、ため息を吐く。

静かに呼吸を整えつつ周りを見渡す。

そこで違和感を感じたが、言葉に出来ない。

どう言い表せば良いのかが分からない。


 

一先ず、歩く事にする。

障害物らしきものはない。

壁で出来た道はざっと見るだけでも4つ以上ある。

思うがまま歩いてみる。

少し進んだ先も似たような光景がある。

黄色い壁紙があり、不規則に並ぶ電灯があって、床の材質も変わらない。

色んな道が前に出てきては思うがままに進むが、景色は変わらなかった。


一旦戻るか…。

後ろを振り返る。


 

…!?

 

さっき来た道はこんなに広い場所はなかったぞ!?

 

さっきまで歩いていた場所は広くはなく、道が複数に別れている感じだったのだが、後ろを見返すと広い空間が出来上がっていたのだ。


一体これは…?


少し悩み考えるが、すぐにそれに気づいた。

初めに感じたあの違和感の正体はこれだったのか。

それを確かめる為に周りに気をつけて歩きながら、どんな構造かを覚えておく。

そしてもう一度後ろを振り返る。

やっぱりそうだ。



構造自体が変わっている。



まるで部屋が生きているかのような。

さっきまで広くなかった場所が広くなっていたのも辻褄が合う。

何処に行ってもヴゥゥゥン…と鳴る音は一向に止みもしないが、気にしない事にした。気に止めたくもない。

 

そういえば…自分の持ち物を再度確認し始めた。

持ち物は、財布、鍵、携帯の3つだ。

鍵は財布の中に入れている。ズボンのポケットをまさぐり、持ち物を見ようとする。



持ち物がなくなっている。


再度もう1度探す。


なくなっていた。




何で無くなっているんだ!?

確かに入れていたはずなのに!どこへいった!?

自分の身体を確認する。何度も何度も確認する。


やっぱりない。ないのだ!

 


…ふと何かに気づいた。


自分が物を探す音以外に何か別の音が聞こえる事に。

息を殺して、もう少しその音に集中する。


聞いた事ない音で、その音は少し大きくなっている。

足音を出さないように、すぐ近くの壁の道に入り一旦そこに隠れて様子を見る。

顔だけチラッと出して周りを見る。

隠れて数十秒後に、入り組んだ道と道の合間から何かが通るのが一瞬見えた。

一瞬過ぎて詳しくまでは見れなかったが、少なくともすぐに思い浮かぶ生き物ではない。



四足歩行でデカいのだけは分かった。



本能が震え叫んでいる。そいつに出会うなと。

あの怪物にだけは会いたくないと、隠れている場からすぐに立ち去るように走った。



なんだあいつは!?

あんなやつと対面したら殺される!



無我夢中に怪物から逃げる事だけ考えた。

構造だけ変わるが何処に行っても変わらない黄色い壁紙に不規則の電灯。

隠れる場所が欲しい。じゃないといつかはあいつに!

息を切らしながら走る。たまに壁にぶつかりそうになりながらも、変わらない風景の中を突っ走る。



 

…呼吸を整える為に1度立ち止まり、壁に手をついた。

怪物には会わなかったのは不幸中の幸いなのかもしれない。

走った後という事もあり、足が痛い。喉も少し痛い。

走れない訳ではないが今襲われるとなると、逃げ切れる自信はない。


完全に回復するまでこの場にいるのも良いのだが、いつ怪物に会うかも分からない。歩かないと状況は変わらない。まだ少し息はきらしていたが、生きようと身体が動き始めた。


周りを警戒しながら歩いていると、少し遠くに階段らしき物が見える。


希望が溢れる。


考える暇なくその階段に向かって走り出す。

この場から立ち去れるなら何でも良い。

そこに辿り着くまでの疲れは感じなかった。



階段の近くまで来た。

手すりが付いている鉄製の階段のようで、下に下っていくタイプのようだ。

階段の先は暗くてよくは見えないが、階段の踊り場があるのはかろうじて分かる。

電気はあるが、今いる場所よりかは明るくない。


覚悟を決めて、手すりに捕まりながら階段を降りて行く。ひんやりとした空気を感じる。


慎重に1歩ずつ降りていく。

こんな所で足を滑らせて怪我なんてしたらたまったもんじゃない。

そんな事を思いながら階段の踊り場に足をつけたその瞬間、踊り場の床がガラガラと崩れた。

バランスを崩したと同時に床だった瓦礫も共に落ちていく。落ちていく中、気持ちは焦るどころか、どこか客観視している気分に浸っていた。

 

これで夢から逃げられる。ああやっとか。

 

不可思議な出来事が立て続けに起きて疲れたその身体は、自我意識に問う事もせず強制的に意識を失った。

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