【⚠︎Lv.9 暗闇の郊外】
暗闇から落ちてきたその先は、真夜中の郊外だった。
今は無人の家の前にいて、道路の上に座っている。
月や星があっても良いと思うのだが、そんな物は1つも見当たりもしない。道路脇には街灯が並んで立っている。数本だけではなく、何十本もありそうだ。だがどれも形は同じではなく、違うデザインになっている。
此処は地球にいた時とそっくりな場所だ。
遥か彼方にも家らしき物がある。
道路には標識看板がいくつか刺さっていて、特に気になるのは矢印が書いてある標識だ。
まるで次はこちらに向かうのだと言わんばかりに指し示している。少し疑問に思ったが後回しにして、後ろにある無人の家にお邪魔する事にした。
中に入ると暗く、スイッチを押すが電気はつかない。
電気が通っていないのだろうか。
ドアに鍵をかけることも出来ない。
鍵自体が存在しないらしい。
不安にはなるが隠れられる場所が確保出来ただけ有難い。
中を探索する。
中は普通の家のように、リビングやベッドルーム、お風呂やトイレがある。
キッチンには冷蔵庫、コンロもある。
冷蔵庫の中には何も食料が入っていなかった。
コンロもツマミを捻っても火はつかない。
やっぱり見た目だけはしっかりしてるが、中身は無いようだ。
探索中、ザーッと雨が降ってきたかと思えば、横に強く降ってくる雨に変化した。
短時間に天気が頻繁に変わるというのか。
様子を見に窓からチラッと覗いてみると、エンティティが何体か外で歩き回っている。
異質な化け物の存在を目にして冷や汗が流れる。
以前襲ってきた四足の大きな化け物や、排水溝の狭い隙間から何かを覗いている者、人間らしき者もいる。
人に不信感を持っていた故に、警戒心を高めている。
眉唾の意志を持ちながら観察していた。
奴らは外にいるのだが、こちらに気づく気配は一切ない。まるでこの家自体が目に入っていないような、存在自体認識していない雰囲気で動き回っていた。
横殴りの雨はやまない。
暗い中というのもあるが、どこかで精神のすり減りを感じていた。
無理もない、常に背後に見えない何かを感じ取っているのだし、そいつが口出しする事も手を差し出してくれる事もないが、ずっと見てきているのだから。
ふと入った時にチラッと見えたベッドルームにあるベッドの事を思い出して、疲れを取る為に一直線にベッドルームまで歩き、ベッドにつくと飛び込み、泥のように眠り込んだ。
ふかふかな布団は優しく身体を包み込む。
―ふと夢を見ていた。最愛の人の前に立ち、これから何かをしようと行動しようとする最中だった。最愛の人は、人に興味を持てなかった███が、唯一存在自体が気になり、夜も眠れない程に…そんな状態にさせた人だった。
子犬のような人懐っこい笑顔が素敵な人だった。
そんな最愛の人に何も言わずに、最愛の人の首に手をかけた。
だがその瞬間に身体が上に上がったと思いきや、急に絞まる首元。すごく強く、憎さ、愛憎、恨み…負の心情全てを込めたような力が喉元に襲いかかる。
抵抗するがすぐに息が出来なくなる。最愛の人は悲しそうな目をして███を見つめていた。
パッと視点が変わり、第三人称視点に切り替わる。
███は孤独に、その場で首吊りをしていた。
誰も何も無い空間で。
虚ろな目をして涎を零していた。
うわあああああああぁぁあ!!!!!
ベッドから叫びながら起きた。
良かった、今のは夢だったんだ。
現実じゃない、現実じゃない…
しかし目覚めには最悪すぎる夢だった。
汗をぐっしょりかいている。
呼吸を整えながら首元が絞められていないか触れて確認する。
…特に異変はない、と思いたい。
夢でさえも味方になってはくれないのか…。
窓から景色を見ると、外はまだ真夜中だった。
だが雨は止んでいるようで晴れている。
夢の事を忘れたい一心で、少し落ち込みながらその場を後にした。
寝る前に見た奴らはいなくなっている。
行くならば今しかないなと感じた。
寝る前に見た矢印の標識をチラッと見る。
標識はあの時と変わらないまま左を指し示している。
少しだけ考えた。
確かに標識通りに進めばどこかに繋がる。
しかしこんな世界は、落ちてもこういう場所に着くのだから、行先は1つではなく他にもあるんだろうな。
何となく手のひらの上で転がされるのも癪だ。
あえて反対方向に行ってやるさ。
標識が示す側とは反対方向に向きを変え、何処にぶつけていいか分からない怒りを抑えながらその足で歩いていく。
そのまま行く?▶︎次へ
レストランの看板が少し先にある。そこに行く?▶︎https://ncode.syosetu.com/n9780lt/44/




