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3. 直感はどこまで正しいか?
加瀬「歴史を振り返ると、直感はしばしば数学を誤った方向に導いてきた。例えば、ユークリッド幾何学が唯一の幾何学であるという直感は、非ユークリッド幾何学の発見によって覆された。」
田村「そうだが、それでも数学者の直感は強力な道具だ。ワイルズがフェルマーの最終定理を証明する前に、20世紀の数学者たちは『きっと正しい』と信じていた。リーマン予想にしても、多くの数学者が直感的に正しいと考えている。」
遠藤「AIが直感の誤りを正せる可能性はあるでしょうか?たとえば、AIが100万個のケースを解析し、『この定理は成り立たないケースがありそうだ』と警告を出すことができる。」
加瀬「それは有益な手法だが、結局のところ数学は『無限の一般化』の世界だからな。100万回正しいからといって、無限に正しいとは限らない。そこがAIと数学の間の決定的なギャップだ。」