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気づけば異世界の入試だった話

大学受験直前。

それはどの受験生も張り切り、緊張し、少しでも多く勉強をしようとかなり無理をする時期である。

かくいう俺()もその一人である。

ここ一週間、昨日まで16時間、いや毎秒欠かさず勉強を続けてきた。

「明日はテストがあるからな、あと3時間だけやって寝るか。」

つぶやいて勉強を続ける。



・・・




、、、やけに頭がすっきりしている。

重い瞼を開けると、目の前には顔を見上げても全貌が見えないほどに大きな西洋風の門がそこにはあった。




カーン、カーン


大きな鐘の音が鳴り、ようやく意識が現実に引き戻される。

「はぁ?」

意味が分からない。なぜ俺はこんなところにいるのか、どうやって来たのかも思い出せない。


「よう兄弟、元気してるか?」

後ろから肩をたたかれて急いで振り返る。

見ると、知らない顔である。


「どうした、そんな呆けた顔して、今日の入試お互い頑張ろうな」


「あ、あぁ」

よく状況が呑み込めていないが、テキトーに返答をしてしまった。

「え?入試?」

今更になって気が付いた。入試はまだ先であったはずだ。

「おいおい、一時間半後に始まるんだぞ。この日のためずっと勉強してきてたじゃねえか。しっかりしろよ」

どうやら今日俺は入試があるらしい。


「、、、ふぅ」

心を落ち着ける。

意を決して門をくぐると、そこには今までに見たことのないような大きな学園があった。

ふとポケットを見ると受験案内表と財布がある。


そこに書かれている試験会場に向かうと試験会場にはすでに多くの受験生が席についており勉強をしている。内容は俺が知っている内容と違い魔術などというに関することのようだ。

前には「カンニング禁止。この教室では魔術を使うと検知されます」と書かれた紙が浮かれている。


「さて、どうするか」

これだけ受験勉強をしてきたのにもかかわらず使えないのがかなりつらい。

周りの生徒はみな各々で勉強をしている。

ここから逃げ出すことも考えたが、自分の置かれた状況がわからないままこの先どうするのかのめどが立たない。


「急ぐか」

そう考え、おれは周りの生徒に聞きながら、この学校の売店にたどり着いた。

売られているのは日用雑貨と、学校の課題に使われているとと思われる謎の道具である。


売られているものを厳選し、再度試験会場の近くへ向かう。すべての窓に外から鏡を設置し、望遠鏡からのぞけるようにする。それがばれても問題がないように手鏡を持ちそのまま左右のひとの解答がのぞけるようにする。

これで万全である。

そう思い試験に臨んだ。


試験官が自分の前を通るたびに背筋が凍り、汗が噴き出る。


試験終盤になって試験官がやけにこちらに来ることが多くなってきた。怪しい動きをしていたのが外から見たら明らかだったのかもしれない。


もうここまでかと思った矢先、試験が終了した。


採点はすぐに終了したようである。

結果はばれなかったし合格、何なら次席であった。

「お前スゲーじゃん。」

また後ろから声を掛けられる。焦って俺は「おい」という声を背にそのまま走り出してしまった。


ドキドキが冷めやらないまま急いで門をもう一度くぐると


意識が戻った。気づくといつもの勉強机の上で突っ伏していた。

その日から試験というものが恐ろしくなった。


やはりなれないことに手を出すのではなかったと思いながら、勉強をつづけた。

その後はあまり見に入らず、気づいたら入試の日になって、

合格発表になり、落ちていた。


あまりの絶望に落ち込んで前が真っ暗になる。


気づくとまたあの門の前であった。

こっちではうまくやってやる。そう決意した。

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