第一話★
“俺”が産まれた場所は父親は会社員、母親は主婦もしながらパートの仕事をするどこにでもいる普通の家族だった。“俺”はこの夫婦の第一子として誕生した。数年後、“俺”に妹が出来ることになる。
“俺”は幼い頃から“何か”を探していた。“モノ”なのか“人”だったのか“…。俺自身、何もわかっていなかった。なんとなく、“ここ”じゃないとは子供心に感じてはいた。でも、何かが俺の中に“違い”があることはわかっていた…そんな気はしていた。
そんなとき、こんな夢を二つ見ていた。一つは双子の兄弟が火事にあって双子の兄が亡くなり、弟が泣いている夢…。その夢を見て気付くといつも俺は泣いて起きていた。もうひとつは、女性側の視点の恋人もしくは夫婦の夢。
この二つの夢は不定期に出てくる。
どうしても、この夢が気になって仕方がなかった。
夢はただの夢だとこの時の俺はそう信じていた。この夢は“ただの夢”じゃなかった。
そう、これは現実にあったことだった。
これが本当の真実だってこと。そして、“俺”が探していたのは…その時、一緒にいた双子の弟だったということを…。
その時の俺はまだ知らずにいた。
…いや、薄々、感じていたのかもしれない。
この世界中のどこかにいる“俺の”双子の弟に…。