表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語  作者: みん
第三章ーリスと氷の騎士ー
98/107

結婚式①

今日は、いつもよりも早い時間に目が覚めた。


窓を開けると、爽やかな風が流れ込み私の髪がフワリとなびく。

空が薄っすらと白んでいる。


『主、もう起きたのか?』


久し振りに、一緒に寝ていたネージュが私の足元に擦り寄って来た。


「おはよう。ごめんね、起こしちゃった?」


『いや。久し振りに主と一緒だった故、グッスリ眠れた。』


本当に嬉しそうに尻尾をフリフリして、私に顔をスリスリとして来る。


「ネージュ!やっぱり可愛い!!」


その場にしゃがんで、思う存分ネージュを撫で回した。







今日は、結婚式当日─である。








結婚式前日に、私は辺境地のパルヴァン邸へとやって来た。


「ハル、お帰り。」


と、ゼンさん(お父さん)が笑顔で出迎えてくれた。


「ただいま…です。お父さん。」


そんなやり取りが少し恥ずかしくて、「へへっ」と、照れ笑いしてしまうと「くぅっ─」と、お父さんは呻きながら手で顔を覆った。


「おとう─」

「はい、ハルは何も気にしなくて良いからね?さぁ、こっちにおいで。()()()()と一緒に、お茶でもしてくれるかな?」


お父さんに声を掛けようとすると、ロンさん(お兄さん)が私に声を掛けて来た。


「はい!勿論喜んで!」


それから、お兄さんとクロエさん(お姉さん)とお茶をしていると、いつものゼンさん?に復活したお父さんもやって来て、その日のお昼過ぎ迄4人で楽しい時間を過ごした。







*昨日(結婚式前日)の夜*


「ハル、少し…時間をもらっても良いか?」


と、お父さんがホットミルクを持って私の部屋にやって来た。


「はい。」


お父さんは、そのホットミルクを私が座っている目の前に置き、そのままテーブルを挟んだ向かい側の椅子に座った。


「いよいよ明日だな。」


「はい。この1年はあっと言う間でした。」


「そうだな…本当に…早かったな…エディオルめ…」


「ん?すみません、最後は何て?」


“早かったな”の後、声が小さ過ぎて何を言ったのか聞こえなかった。


「いや、何でもない。」


お父さんは、一瞬苦虫を噛み潰したような顔をしたが、すぐに優しい顔に戻った。


「あれから、蒼の邸の使用人達は大丈夫か?皆辞めずに、魔法での契約を済ませたと聞いたが…」


「はい、皆、残ってくれたので、良かったと思ってます。まぁ…凄く驚かれましたけど。」



『『『えっ!?小動物ヨロシクなのに魔法使い!?』』』



小動物なのに─は関係無いと思うけど、カルザイン側の人達は数日の間はざわついていた。その上、パルヴァン側が何やら私の武勇伝?的な話をしたらしく、最近では、何故かキラキラとした視線を向けられたりもする。


ーいやいや、私、攻撃魔法は一切使えませんからね!?ー


「兎に角、受け入れてくれて良かったです。」


「そうか。」


そう言って、目を細めて微笑むお父さん。その笑顔を見ると、いつも心が温かくなる。


「娘になってからそんなに時間は経っていないが…やはり、嫁に行くとなると、寂しいものがあるなぁ。」


ふぅ─と、軽く息を吐く。


「血は繋がっていないが、結婚してしまっても、ハルが俺の娘には変わりないからな。パルヴァン(ここ)には、いつでもハルの居場所があるから。それと──幸せになれ。」


「…はい。ありがとうございます…お父さん。」


「うん。それじゃあ…明日は朝が早いだろうし…俺はこれで…。ハル、おやすみ。」


「はい、おやすみなさい。」


お父さんはスッと立ち上がり、私の頭をポンポンと優しく叩いてから部屋から出て行った。











*結婚式当日*




当日の朝から色々と大変だった。いつもは一人で入るお風呂に、リディさんがやって来て「これでもか!」と言う位に体中を洗われた。そして、お風呂から出ると、これまたルナさんに「これでもか!」と言う位マッサージをされた。いや、これは気持ちが良くて…うとうととしてしまったけど。


それが終わると、軽目の朝食を食べてからお化粧、髪のセットとウェディングドレスの着付けが始まった。

髪の毛は結婚式に向けて伸ばしていたので、今日は両サイドから編み込まれてスッキリとアップにされた。そして、その髪に青色のかすみ草が散りばめられた。


「慣れていないから、少し緩めにしておきますね。」


と、ルナさんにニッコリ微笑まれて、初めて装着したコルセットは──これで緩め??お腹と背中がくっついていませんか!?─と訊きたくなった…けど…


「これで、いつもよりも姿勢が綺麗に見えるんです。本当は、もっとキツくするんですけどね?」


と笑顔で言われたら…それ以上は何も言えませんでした。


ー貴族令嬢様達って…大変ですねー


そうして着たウェディングドレス。確かに、コルセット無しで試着した時よりも、目線が気持ち高くなり、姿勢もいつもより綺麗に見えた。


「では、最後にベールを。」


サエラさんが作ってくれたベールを頭に乗せられる。


「…ハル様…本当に…綺麗です…」


支度が済んて、全身の最終チェックを終えると、ルナさんとリディさんや、手伝ってくれた侍女の人達がズラリと整列する。


「ハル様、本日、この日を共に迎えられた事、本当に嬉しく思います。本日は、おめでとうございます。そして、これからも末永く宜しくお願い致します。」


皆が一斉に頭を下げる。


「はい。こちらこそ…これからも宜しくお願いします。」


うるっ─と来たけど我慢です!折角のお化粧が駄目になっちゃいますからね!


「では…参りましょう。」


ルナさんがそう言うと、私にスッと手を差し出して来た。私は、そのルナさんの手を取って部屋を後にした。







いよいよ、結婚式を行う庭園に向かいます。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ