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モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語  作者: みん
第三章ーリスと氷の騎士ー
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2人のハル?

「何となくハルに似てないか?」


『ふむ。髪が黒かった時の主のようだな。』


『??』


幼女化したネロが、私の膝の上に座って私に抱きついている。

イマイチ自分の状況がよく分かっていないようで、キョトンとしている。


ーめちゃくちゃ可愛い!!ー


ムギュッと私からも抱きつけば


『あーじ!』


と呼ばれた。


「「『あーじ!?』」」


ーそれ、“あるじ”って呼んだよね!?え?またご褒美ですか!?ー


私のテンションマックスで、暫くの間2人でギュウギュウと抱き合った。









あれから暫く様子をみていたけど、ネロがフェンリルの姿に戻りそうではなかった為、そのまま邸へと戻って来た。

何故か、ネロが私から離れなかった為、私がネロを抱っこしている。

そこで、出迎えてくれたゼンさんが、一瞬ピシリッと固まった後─


「……ハル様の子供…ではないですよね?」


「違いますよ!ネージュとノアの子で、ネロです!」


「冗談ですよ。でも…ここに来た頃のハル様に似てますね。やはり…ハル様の魔力を取り込んで馴染んでいるから…でしょうかね?」


『多分、そうであろうな。少し…懐かしいな。』


ネージュは犬サイズのままで、尻尾をフリフリしている。


「ネロが私から離れなくて…。それで、時間も時間なので、今日はこのまま帰りますね。」


「…わかり─分かった。ハル、またいつでも帰っておいで?」


と、ゼンさんが耳元でお父さんの様に声を掛けてくれた。


「はい!」


私が返事をすると、ゼンさんは更に優しく笑ってくれた。

あれからゼンさんは、こうやって、私に娘のように話し掛けてくれたりするようになった。それが、とても嬉しい。


最近の私は、本当に嬉しい事や幸せな事がたくさん増えて来て、毎日がとても楽しな─と思う。









それから、幼女化したネロを抱っこしたまま王都のパルヴァン邸へと帰って来ると、ルナさんとリディさんとミヤさんとエディオルさんが待っていてくれた。


「「「「えっ!?」」」」


「あ、この子、ネロです。自力?ではフェンリルに戻れないみたいで…。それと、何故か私からも離れなくて…。」


「やっぱり…擬人化したのね。」


と、ミヤさんは苦笑した。


「くっ──ハルに…似てないか?」


何故か、エディオルさんは片手で口をおさえて、少し震えて?いる。


『おそらくだが、主の魔力を取り込んでいる故、少し似ているのだと思う。昔の主みたいであろう?』


「あぁ!そう言えば、ハル様は昔は黒色の髪でしたね。」


皆でワイワイ騒いでいると、これまた擬人化したノアがやって来た。


『あぁ、本当に人間(ひと)の姿になったんですね。ハル様、抱っこしていただいてありがとうございます。重いでしょう?ネロ、こっちにおいで?』


と、ノアが両手を広げてネロに微笑めば


「ぱーぱ?」


と、ネロはノアの方へと手をのばし、ノアがネロを抱き上げた。


「ふわぁ─!美形父娘だね!!!」


ー眼福です!ありがとうございます!ー






「はぁ──…今日は…色々と幸せな1日でした。」


今日も夕食後に、エディオルさんの部屋で2人でゆったりとお茶をしています。コレが、エディオルさんが居る時には当たり前の事になっている。

まだ少し緊張したりもするけど、幸せな時間だな─と思えるようになった。






*エディオル視点*


「ここに来た時のコトネに似ていて…驚いた。」


「あの時は、黒色に染めてましたからね。自分でも、少し懐かしい気分になりました。」


「俺は…あの時…一目惚れしたようなものだから、今のコトネが昔のコトネを抱いているように見えて……。何だか不思議な気持ちになったな。」


ー俺とコトネ2人の子供が生まれたらー


何て思ってしまった事は…言わないでおこう。


「ふふっ。だから、ネロを見た時のディは少し変だったんですね。」


コトネがフワリと笑う。

その笑顔を見ると、幸せだな─と思う。


“一目惚れをした”と言いながら、自分勝手な感情をぶつけて傷付けた。俺を見る度にビクビクと怯えているコトネを目にするのは、本当に辛かった。


それが今では─


俺の腕の中で、安心したように囚われている。


ーいや、安心され過ぎるのも問題なのだが…ー


まぁ、その辺は、結婚した後いくらでも教える事ができるから善しとする。今のうちに安心させておこう。


「結婚式を挙げた後、1ヶ月の休暇が貰えるんだが、コトネはどこか行きたい所やしたい事はあるか?」


「1ヶ月もあるんですか!?」


「あぁ。騎士職は基本、普段あまり纏まった休みはとれないから、結婚した時位は─と、1ヶ月纏めてもらえるんだ。」


「凄い…ですね。でも…私、観光地とかよく分からないので、ディが行きたい所ややりたい事をする─じゃ駄目ですか?」


俺の腕の中から、ソロソロと俺を見上げながら答えるコトネ─は、本当にいつも可愛い。


「えっと……ディと一緒に居られるだけでも…十分なので…」


と、顔を赤くしながらふにゃりと笑う。


ーコレ、煽られてる─と受け取って良いよな?ー


「──コトネ?」


自分で思っていたよりも低い声が出ると、腕の中のコトネがビクッと体を震わせた。


「えっと、そろそろ部屋に──」

「帰す訳…ないだろう。」


そう言って、次に言葉を発しようとしたコトネの口を塞ぐ。深いキスを繰り返しながら─


ー本当に…結婚したら…もう、抑えられないだろうなー


コトネの力が抜けたのを感じて口を離し、そのままコトネをギュッと抱き締める。


「本当に…結婚したら、覚悟しておけよ?」


と耳元で囁くと


「…今以上の覚悟って───」


と、コトネは俺の胸に顔を埋めた。






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