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衝撃的な…再び

「ふわぁ──────っ」


「お腹が大きい妊婦なのに…妖艶さが失われないって、どう言う事!?」


今日は、仕事が休みのミヤさんが遊びに来てくれているので、ネージュのところに一緒に来ている。ネージュもお腹の子も問題なく元気だ。





人間(ひと)の姿になれば、お腹が苦しいのはマシになるのだろうか?』


と、犬サイズのネージュがコテンと首を傾げた後、擬人化してみれば───


お腹がポッコリ出ている妊婦さんにも関わらず……妖艶さに磨きが掛ったような美魔女になっていた。


「魔獣は…子を宿すと若返るの?妖艶さが増すの?」


「ゼンさんは、そんな事は言ってませんでした。」


『子を宿した故に若返る─とは、聞いた事はないな。我は…何か変わったのか?』


目をパチクリと瞬いた後コテン─と、首を傾げるネージュ(美魔女)


「「ゔっ────」」


ー大変です!破壊力が半端無いです!ー


「……ネージュ。その姿の方が…楽なの?」


ミヤさんが赤い顔をしながらも尋ねると


『ふむ。どちらの姿でもあまり変わらぬな。』


「「それじゃあ、犬サイズに戻ろう!!」」


『??』


はい。ミヤさんとハモりました。ネージュは不思議そうに私とミヤさんを見た後、シュルンッと犬サイズに戻った。美魔女のままだと


ー扉が開いちゃいますからね?ー





それからネージュは『お腹が重い…』と言いながらも、今日はポカポカと暖かい日のせいか、今は小屋の前にある庭の木の下でグッスリとお昼寝をしている。

私とミヤさんは、そんなネージュを挟むようにして座っている。ミヤさんもうとうとと眠ってしまっていた。


ー幸せ…だなぁー


また…ちょっと危ない事に巻き込まれたけど。また、エディオルさんに助けてもらった。エディオルさんの腕の中って…本当に安心するよね…。


「やっぱり、安心と安眠の魔法が掛けられてるんだ。」

「──まだそんな事を言っているのか?」

「ひゃ─────んぐっ」


叫び掛けた口を、自分の手で押さえて我慢をした。チラリとミヤさんとネージュを見る。


ー良かった。起きてないー


そのまま、今度は反対の方へと視線を向ける。


「ディ…お仕事は?もう、驚きは要らないって言ったよね!?」


「今日は、たまたま予定よりも早く終わっただけだから。それで?まだ“安心”何て言っているのか。」


エディオルさんは綺麗な笑顔で、私の頬をスルリと撫でる。その笑顔と仕草にドキッとする。


「あ…“安心”と言ったのは…助けてもらった時の事です!はい。色々と分かってます!だっ大丈夫です!」


風邪を拗らせ危険に巻き込まれてから、エディオルさんからの攻撃?が無かったから、少し気が…緩んでいました。


「ここに…ミヤ様とネージュ殿が居るのが…残念だな。」


ー“残念”って何だ!?ー


とは、絶対にエディオルさん本人には訊いてはいけないやつです!


「えっと…兎に角、おかえりなさい。」


「ただいま」


フワリと、今度は優しく笑うエディオルさん。


“おかえり”─“ただいま”


当たり前のやり取りだけど、当たり前では無い事を知っている。穏やかな日々が一瞬で壊れる事も知っている。


私の幸せは、いつだってエディオルさんの側にある─んだと思う。そうであって欲しいなと思う。


自然と手が伸びて、エディオルさんの服をギュッと握る。


「ハル?」


優しい青い瞳が、私の顔を覗き込む。


「ディ…あの…私……」


『──ある…じ』


少しくぐもった様な声で呼ばれる。


「ネージュ!?どうしたの!?」


すぐ横で寝ていたネージュに視線を戻せば、魔力が少し乱れていた。


ー何で!?今迄何ともなかったよね!?ー


『生まれる…かも…しれぬ…』


「馬?──生まれるっ!?」


「ノアを呼んで来る!」


と、エディオルさんは小屋に居るノアを呼びに走り出す。心の中で呼び掛けられますよ!と、言う間もない速さで行ってしまった。


「ふふっ」


そんなエディオルさんのお陰で、焦っていた気持ちが少し落ち着き、思わず笑ってしまった。そうして、穏やかな気持ちのままネージュに視線を落とす。


「ここからは、私はネージュを見守るだけしかできないから。ネージュ、大変かもしれないけど頑張ってね。何かあった時は、私が必ず助けるからね。ネージュもお腹の子も。」


ヨシヨシ─と、ネージュの頭を撫でる。


『…あるじ…ありがとう…ふー…』



息の上がるネージュの周りに防御の結界を張る。


ーネージュ、頑張って!ー


そこへ、ノアがやって来た。


『ハル様!』


「ノアも、ここでネージュを見守ってあげてね。」


『はい!勿論です!』


ーどんな子が生まれる?どれ位で生まれる?ー


何てワクワクしたのも一瞬で─


ネージュの眉間に皺が寄って苦しそうな顔になったと思ったら、ネージュの身体がキラキラと光り出して


「え?光?え?」


その光がパンッと弾けて


「え?」


光が無くなった後、ネージュのお腹の上にチワワサイズの黒色のモフモフがチョコンと乗っていて


『くわぁ─』


と、小さい欠伸をしていた。


「え?黒の…モフモフ?え?生まれたの?え?」


喜んで良いのか、驚けば良いのか、突っ込めば良いのか…


「うん。ハル、ちょっと…落ち着こうか。突っ込むのだけは…今は止めておこうな。」


「…はい。」


と、エディオルさんは苦笑した。



ネージュには、驚かされてばかりだ。










黒色のモフモフの誕生です!!








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