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不思議ちゃん母娘

「誰か─居るんだろう?」


エディオル様が、そう声を掛けるとスッと男の人が現れた。


ーえ?何処から出て来たの?ー


「エディオル様、申し訳ありません。()()()()だけなら何とかできたのですが、()()が出て来まして─。」


()()()()()()…ー


「─ひょっとして…泳がせて…いるのか?もう少し…やらせた方が良いのか?」


「…理解が早くて助かります。旦那様より、改めて謝罪とお礼を─と言付かっております。」


「本当に…今のこの時間を取られる事は…正直…腹立たしい事この上ないけどね?」


ーうわぁ…ちょっと…比喩が多くて内容はイマイチ分からないけど、エディオル様が凄く怒っている事だけは分かるー


「ハル殿、すまないが、少し騒がしくなる。」


「はい、分かりました。私は…何かする事はありますか?」


「…いや、特には。ただ、何も言わずに、俺に話を合わせてくれたらそれで良い。」


そう言いながら、エディオル様はニヤリと笑った。


ー嫌な予感しかしないのは、私だけですか?ー














「ようやく入れていただけたのね。」


そう言いながら、ニッコリ微笑むご婦人と


「本当に、ここの使用人は気が利かないのね。」


少し怒り気味の─エレノアさんが居る。


ーひょっとして…エレノア(小さな虫)ご婦人(毒蜂)なの?ー


チラリとエディオル様を見ると─


眩しい程の笑顔を返されました。はい、コレ、逆らったりしてはいけないヤツです。素直におとなしく、話を合わせるだけにします。ちゃんと空気を読みました。


と、私もニッコリ微笑み返した。



「オルソレン夫人…ここは、許可を得ていない者は立入禁止なんです。今日、ここの立ち入り許可を得ているのは私だけです。」


エディオル様が、笑顔のままでオルソレン夫人と呼ばれる人に言う。


「あら、そうだったの?でも…私は、カルザイン侯爵家嫡男の嫁の母親よ?許可を取るまでも無いのではない?」


ーえ?ソレ、どんな理屈なの?ー


「そうよね、お母様。それに、この子─平民の子だって、ここに入っているんですもの。」


ーえ?それこそ屁理屈では?ー


「平民?」


平民(それ)に反応したのは、エディオル様だった。


「ええ。彼女、平民なんでしょう?そんな子が入っているなら、私達が入っても問題はないでしょう?ねぇ、エディお義兄様。」


と、エディオル様の腕に絡み付く。


どう言う理屈なんだろう?エディオル様は、ハッキリと“許可制だ”と言ったよね?平民云々は、全く関係無いよね?小学生でも理解できると思うんだけどなぁ。この子、“不思議ちゃん”なんだろうか?と、ついつい、じーっとエレノアさんを見つめてしまう。


「何睨んでるのよ?あなた、さっさとここから出て行きなさい。あなたが居て良い所じゃないわよ?」


「……」


睨んでないし。ここに居て良い理由だって…あるんですけど!?約束通り、私は何も言いませんけど!


「エレン、あまり平民を苛めては可哀想よ?エディオル様も、夢を見させてあげただけでしょう?」


“可哀想”と言いながら、その夫人も平民を馬鹿にするように嗤っている。


いやぁ…本当に愉快な親子ですね?そんな言葉に、私が傷付くとでも思ってるんだろうか?


クスクスと嗤っている2人の後ろ─少し離れた位置に、先程の急に現れた男の人と、カミラさんが静かに立って、こちらを窺っているのが見えた。


“泳がせている”と言った─そう言う事なんだろう。


ー兎に角、平民で何が悪い?平民で結構です!ー


そんな思いをたっっっぷり込めて、2人に向かってニッコリと微笑んでおく。


「「…なっ!?」」


すると、不思議ちゃん親子は、そんな私の様子に更に腹を立てたように目を吊り上げ、それに対して、エディオル様は面白い物を見るように笑っている。


「そうやって嗤って、私達を馬鹿にしてるの!?」


ー馬鹿にはしてません。呆れているだけですー


「エディお義兄様、この平民を早くここから追い出しては───」


ーあぁ、ようやく気付いたようですね?ー


エディオル様は、さっきからずっと、絶対零度の微笑みでエレノアさんを見ているのだ。もう、私はずっと、背中がゾワゾワしっぱなしなんです。


「え?何?そんな()()で見つめられると、流石に恥ずかしいですわ…エディお義兄様…。」


ーマジかっ!?ー


思わずギョッと目を見開いてしまった。

エディオル様も、少しひいている。


「と…兎に角、あなた!いい加減!早くここから──」


「……いい加減にするのは、お前だろう?」


「はい?お前?」


自分に言われている事に驚いたように、エレノアさんはエディオル様を見上げる。


「何度言ったら分かる?私は、お前に愛称呼びを許した覚えはない。例え、義理の兄妹だとしても、抱き付いたり腕を絡ませて来るのは止めてくれ。」


そう言いながら、エディオル様はスッと腕を振り払った。


「─っ!エディお義兄様!?」


エレノアさんは、ショックを受けたかのように哀しそうな顔でエディオル様を見上げる─が、そんなエレノアさんを、エディオル様は冷たい視線を向けるだけだった。


「エディ─」





「これは、一体何の騒ぎなの?」





と、私の後ろから、また誰かの声がした。













ー最近、こう言う事…多くないですか?ー

















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