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ノアとの密談

「それで、ネージュのお腹に居る子は、フェンリルじゃないかって。もう、黒のモフモフですよね!?可愛い子決定ですよね!?」


パルヴァンから帰って来ると、既にエディオルさんも帰って来ていた。そこから夕食を食べ、今は、また、エディオルさんの部屋で2人でお茶を飲みながら──


私のテンションがマックスになってます。


「いや、黒じゃなくても、ネージュと同じ白でも…2人混ざった?グレーでも何色でも、きっと可愛いですよね!モフモフさせてくれるかなぁ?」


「──くくっ……」


「はっ───!」


横並びに座っているエディオルさんに…笑われた。


「す…すみません。」


「いや──こんなにテンションの高いコトネを見れて…嬉しいよ──くくっ…」


「うぅ…っ」


「コトネ──」


「はい?」


恥ずかしくて少し俯いていると、名前を呼ばれて、エディオルさんを見上げればキスをされた。


「全然こっちを見てくれないから…ま、テンションの高くなった可愛いコトネを見れたから…良いけど。」


「やっぱり、ディの私に対する“可愛い”のハードルが低過ぎる!」


「コトネ限定だと言っただろう?それで、久し振りのパルヴァンはどうだった?」


エディオルさんは、いつもサラッと“コトネ()が特別だ”と言う事を、言葉や態度で表してくれる。


「皆、元気でした。カテリーナ様のお腹も大きくなってて、レオン様も幸せそうで…。家族が増えるって良いなぁ─って、私まで幸せな気持ちになれました。」


「そうか。」


エディオルさんが、私の手を握って優しく微笑んでくれる。そのエディオルさんの手の上に、私のもう片方の手を添える。


「でも、そんなレオン様とカテリーナ様を見てると…あの…無性に…ディに会いたくなって…。予定より少し早目に帰って、ディの帰りを待とうかな─なんて思ってたら、ディに出迎えてもらって…すごく嬉しかったです。へへっ──。」


「出迎えただけで喜んでもらえるなら、いつでも出迎えるよ。」


「ふふっ。ありがとうございます。」


ポスッと、エディオルさんの肩にオデコをくっつけると、フワリと、私の大好きな香りがした。










*****



『あぁ、その話なら、かなり昔に耳にした事はあります。胎内にある子の核は、高値で売れるから─と。最近では、殆ど聞きませんから、忘れていましたが…。』


目の前で、擬人化したノアが、眉間に皺を寄せている。


ネージュがお昼寝をしているうちに─と、ノアに話があるからと、擬人化してもらい小屋の近くにあるベンチに座って、昨日シルヴィア様から聞いた話をした。


「シルヴィア様も、昔の話だし、ここは王都だし、ネージュは見た目は犬だから大丈夫だろう─とは言っていたんだけど。一応、ノアには言っておこうと思って。でもね、私は…何があっても、誰にもネージュには指一本も触れさせるつもりはないし…ネージュにも人を傷付けさせる気はないから。」


『ハル様…。』


「あ、勿論、ノアもね。ノアは、ネージュにとってとても大切な相手だから。それと、例えばなんだけど。もし、私に危険な事が迫って、ネージュが身を呈して私を助けようとした時は…ノアは何も迷わずに、ネージュだけを守ってね。」


『……後でネージュには怒られそうですが…。ハル様の事は、きっと我が主が守ってくれると思うので、私はネージュだけを…守ります─必ず。』


「ありがとう。ノア。」


『いえ。こちらこそ─と言うか…ハル様とネージュは、本当にお互いを思い合っているんですね。ハル様が女性でも、嫉妬してしまう程です。』


「ふふっ。ネージュを好きな気持ちは、誰にも負けないか────」

「俺の事は?」

「ひゃいっ!?」


急に、ベンチに座っている私の横に誰かが来たと思ったら、そのまま腰からお腹に腕が回された。勿論─


「ディ!?あ…あれ?仕事は?」


「ん?今日は半日だけだったんだ。」


「え!?あれ?私…聞いてたっけ?」


「いや─。驚かそうと思って…内緒にしてた。」


「もう、驚きはいりませんよ?」


むぅ─っとなって、エディオルさんの腕をペシペシと叩いておく。


「ハル─」


「はい?」


名前を呼ばれて振り返ると、キスをされる。


「なっ!?ノアが──っ」


「ノア?ノアなら、俺がここに座ったと同時位に、小屋の方へと戻って行ったが?」


「えっ!?」


ノアが居た筈の所に視線を向けると、そこにはもうノアは居なかった。


ーネージュと言い、ノアと言い…魔獣は空気を読む能力が高いのだろうか?ー


「それでもですね?外で…キスとか…恥ずかしいんですけど!!」


「ん?外じゃなければ良いのか?─よし!」


「いや、そうじゃなく──ってひぁ──っ!?」


何の前触れもなく、エディオルさんが私を抱えたまま、ヒョイッと立ち上がり、スタスタと歩きだした。


「え?ちょっ…ディ?私、自分で歩けます!下ろして下さい!」


「危ないから、おとなしくしておこうか。このまま、俺の部屋まで行こう。」


「え?何で?」


「ん?分からない?」


エディオルさんは目を細めて


「俺の部屋なら…もっとキスをしても…良いんだろう?」


「───っ!!??」


ー違う!そう言う意味じゃないんですけど!?ー




と言う前に部屋に到着。




そのまま砂糖漬けの攻撃を受けた。









“氷の騎士”って─誰の事だったっけ?









と、クラクラする頭で……問い掛けた。










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