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短剣



もう一度ネージュの身体を診て、魔力の流れが安定しているのを確認した後、ネージュの事はノアにお願いして、エディオルさんと私はまた邸へと戻って来た。


それから、お互いの部屋で一休みしてから、朝食を取っていなかった為、少し早目に昼食を用意してもらった。





「朝食を食べていないし、魔力も結構使ったと思うが…体調は大丈夫か?何か食べたい物はないか?」


と、昼食後にサラッとエディオルさんの部屋へと連れ去られ───何故か、またエディオルさんの足の間に座らされ、後ろから抱き付かれています。


ー何で?余計に疲れない?ー


「疲れるどころか、癒されてるから大丈夫だ。」


「ソウデスカ……」


と、抵抗するのも逃げるのも諦めた時に思い出す。


「あぁーっ!忘れてました!!あの!ディ、少しだけ…少しだけ部屋に戻って来ても良いですか!?」


「嫌だ──と言ったら?」


「──くっ…そんな…可愛い顔しても…駄目ですからね!?あの、本当に、またすぐにここに戻って来るので、お願いします!!」


「──分かった。()()戻ってくるように─」


「あ、ありがと──」


お礼を言おうと振り返ると


「──んんっ!?」


深いキスをされた。


「遅かったら、またするから。」


ー今日もディが…甘過ぎますー















「これは?」


「本当は、昨日─ディの誕生日に渡そうと思ってたんですけど…まぁ…色々あって…忘れてました。えっと…改めて、お誕生日おめでとうございます。これ、私からの…プレゼントです。受け取って…もらえますか?」


「勿論だ。ありがとう。早速だが、ここで開けても?」


「はい。気に入ってもらえると…良いんですけど。」


「これは──」


「はい、短剣…です。」


佩帯していても邪魔にならないように、シンプルな鞘の物にした。そして、鞘と柄に、小さな魔石を填め込んでもらっている。


「……」


ーあれ?まさかの、無反応ー


「えっと…ひょっとして、気に入らな──」


「コトネ、短剣を贈る()()を…知っているか?」


「贈る…()()?あ─すみません。知らないです。あの…以前、ルーチェ様に、騎士と婚約を結んだ後、最初にプレゼントをするのは短剣だ─と教えてもらって。それから、街に出る時に色々探して見て回って、良いな─って思った物があったから、買ってたんです。それで、ちょうど誕生日だって聞いて、魔石を加工して填め込んでもらって…。ひょっとして…駄目でしたか?」


誕生日に短剣─よく考えたら…アウトなのかもしれない。日本でも、結婚式なんかの挨拶で、切れるとか言う言葉を使うのはよくないとか言ってたし…。


どうしようか─と、嫌な汗が出そうになった時


フワリと優しく抱き締められた。


「えっ!?」


「駄目じゃない。ただ…短剣を贈る意味が…」


エディオルさんが一度言葉を区切った後、私の耳元に口を寄せて


「“私の心をあなたに捧げます”──だ。」


ーふぁ────っ!??ー


「えっ?あの…すみません!意味は…意味までは…知りませんでした!!」


ーえ!?ルーチェ様、そんな事言ってたっけ??いやいやいやいや、言われてないよね?ー


「くくっ─そうだと思った。きっと、母上にしてやられたんだろう。」


そう言って、エディオルさんは笑ってくれているけど…でも──


両手を伸ばしてエディオルさんの両頬に手を添えて、視線をしっかりと合わせる。


「コトネ?」


「あの…贈る意味は、本当に知らなかったんですけどね。あの……あの……私の心は、もうとっくの前から……ディに預けてます…からね?」


それから背伸びをして、少しエディオルさんの顔を引き寄せて、触れるだけのキスをした。


「………」


はい。エディオルさんが…固まった─。


ーあれ?私、やらかした?コレ、駄目だった?ー


ちょっと泣きそう─なんて思った瞬間、エディオルさんが私の腰に回している腕にギュッと力を入れて


「そんなんじゃあ…足りない───。」


「えぇ──!?」


「全然コトネが足りない。」


「いや……私は足りてます。十分足りてます。足り過ぎてますから!無理です。コレ以上は無理です!」


グリグリとエディオルさんの胸に、頭を擦り付ける。


「───ふっ──くくっ──。本当に、コトネは可愛いな…くくっ。」


エディオルさんが楽しそうに笑うから、私もつられて笑ってしまう。


「コトネ、プレゼント、ありがとう。鞘と柄に填まってる魔石は、俺とコトネの色?」


「そう…です。その…ビジューのお姉さんに相談したら、お互いの色を入れる事が…喜ばれるって…あの…大丈夫でしたか?」


「当たり前だろう?何を疑う事がある?あぁ…そうか。コトネは…まだ分かっていないんだな。」


「え?何が?」


ー私が分かってない?あれ?何か話が変わってないですか?ー


首を傾げてエディオルさんを見上げると


「俺が、どれだけコトネを愛してるか──分かってもらわないとな──」


「───え゛???」


勿論、エディオルさんから逃げる事などできなくて、キスをされて、あっと言う間に口を割り込まれて……



クラクラして力が抜ける迄…離してはくれなかった。











キスって…命懸けでするものなんですね?









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