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ポンコツハルも健在につき

思いもよらず始まった、どっ─同棲生活も、少しずつ慣れ────てません!慣れてないけど、特に問題は無く──と言っていいのかなぁ?エディオルさんからの砂糖攻撃が半端ない。恥ずかしくて困るのに…嬉しいとか思う自分が…おそろしい──。



兎に角、私は今、幸せな日々を送っている。




2ヶ月を過ぎると、生活にも余裕が出て来たので、時間がある時には、庭で薬草を植えてみたり、料理人(ジョン)さんに教えてもらったりして、お菓子を作ったりしている。そんな話をミヤさんとしていると


「ベラトリス様が、ハルとネージュに会いたいって言ってて、丁度、明後日が私が登城する日なんだけど…。ハルも一緒に行ける?」


「ベラトリス様!?はい!大丈夫です!行けます!」


「良かったわ。それじゃあ、ハルとネージュも登城するって伝えておくわね。あ、そうだ!ハル、私が両陛下に謁見している間、騎士団に差し入れでもして来たらどうかしら?」


「差し入れ?」


「そう、差し入れ。その日、近衛騎士のエディオルさんも、第一の訓練に参加するって王太子殿下が言ってたのよ。ハルは、エディオルさんの訓練の様子とか見た事ないでしょう?」


確かに。騎士団の訓練所に行った事はあるけど…行った時には…皆が倒れた後だった。うん。訓練の様子は見た事がないし、何より──


「──ディの訓練の様子は…見てみたいかも…」


「ふふっ。()()─ねぇ…ふふっ。」


「うぇっ!?ひょっとして、声に出てました!?」


声に出したつもりはなかったんだけど…恥ずかしい!


「恥ずかしがる事ないじゃない。婚約者なんだし。そうやって、愛称で呼ぶ事を許されてるのよ?ハルがエディオルさんにとって、特別な存在なんだ─って、知らしめる事ができるしね。」


「特別?知らしめる?」


ーあれ?何だか…ある意味少し物騒な単語では?ー


不思議に思い、首を傾げてミヤさんを見る。


「ふふっ。行けば分かるわ。」


と、少しゾワッとする笑顔をしたミヤさんが居た。



ーあれ?“平穏サヨナラ、トラブルこんにちは”ですか?ー








*登城当日*



騎士団に差し入れとなると、かなりの量が必要だろうと言う事で、前日から仕込んで、ジョンさん達の手も借りてフィナンシェを──焼きまくった。甘くなり過ぎないように、ほんの少しお酒を染み込ませた。


それと─


エディオルさんには別に、軽食も作った。トルティーヤ擬きで、サラダたっぷりで味付けを少し濃くしたチキンを挟んでみた。


「んー…食べてくれると良いけど…。」


「「何言ってるんですか!?絶対食べるに決まってますよ!!」」


「はっはい!そうですね!!」


何故か、ジョンさん達に怒られた。


でも、そりゃそうだよね─


「そうですね。エディオルさんは、食べ物を粗末にする人じゃないですもんね!」


ーいや!そうじゃない!そう言う意味じゃない!ー


とは、ドヤ顔をしているハルには、誰にも突っ込む事ができなかった。






「何だろう…私、今迄エディオル様って、少し怖いな─なんて思ってたけど…すごく良い人なんじゃないかな?って思えて来ました…。」


「あ、それ、めっちゃ分かる。だって、エディオル様が選んだのが…ハル様だろ?絶対良い人に決まってる!それに、ちょっと…エディオル様が不憫で…うん。俺達がしっかりサポートしていこう!」


「「「「はいっ!!」」」」





と、ハルの恋愛ポンコツのお陰?で、使用人達の団結力が高まり、更なる外堀り埋めが頑丈になっていくのでした。








何故かよく分からないけど、使用人総出で、しかも物凄く気合いの入った声で送り出された。訓練の見学とは…気合いを入れて見に行かなければいけない─のだろうか?


そんな事をつらつらと考えているうちに、あっと言う間にお城に着いた。


「じゃあ、ネージュは姿を消して…ノアに会いに行っててね。私の見学が終わったら呼び掛けるから。」


『分かった。主、気を付けて─』


ネージュは私の足にスリッと顔を寄せた後、姿を消した。


「では、ハル様、訓練所に行きましょう。」


「はい!」


そうして、私はルナさんと一緒に訓練所へと向かった。



実は、今日、私とネージュが登城する事は、エディオルさんとノアには秘密にしている。ミヤさんに─


「引っ越しの時の仕返しでもしたら?」


と言われたからだ。


ーエディオルさん、どんな反応するだろう?ー


少し悪戯をするような感覚で、知らず知らずに口元が緩んだ。









「キャ──」


訓練所に入った途端に耳に入った…お叫び??


「うわぁ……」


そこには、色とりどりのドレスに着飾ったご令嬢達が沢山居た。


「えっと…凄いですね?」


私もだけど、少し引き気味のルナさんに小声で話し掛ける。


「おそらくですが…エディオル様達─近衛騎士が居るからだと思います。」


「近衛騎士が居ると、凄いの?」


ー何で?ー


と首を傾げる。


「騎士団の方々は、もともと人気があるのですが、近衛騎士は更に人気があるんですよ。近衛は云わば出世組ですし、その上何故か、眉目秀麗な方が多くて。それに、騎士になる方の殆どは次男や三男ですから、ある意味爵位に囚われずに済みますからね。高収入、且つ男前、且つ同居無し─なので、結婚相手としては…とても人気があるんですよ。」


「な…成る程…」


ー貴族社会とは…大変なんだなぁー


何て思っていると


「あ!ほら!あれ!カルザイン様じゃない!?」


「あ、本当だわ!」


「………」






どうやら、エディオルさんも…人気があるようです。





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