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お引っ越し

「ハルさんは、“どうしてもコレだけは譲れない!”って言う物だけ持って来てくれたら良いからね?」




と、前もってルーチェ様に言われていたので、本当に必要最低限の物だけを持って…転移して来た。勿論、日本の服も持って来ました。後は、薬師の服といくつかの服─うん。服位しか…持って来る物がなかった…。


「「え?ハル様、これだけですか!?」」


と、ルナさんとリディさんにも驚かれた。









*****



「ハル様、お待ちしておりました。」


そう言って、私達を出迎えてくれたのは、この邸で執事を務める事になったバートさん。その横に居るのが、バートさんの奥さんであり、侍女長になるヘレナさん。ロンさんと同じ年位の人で、この2人は、カルザイン家側から選ばれたそうだ。使用人の長となるのは、やはりカルザイン家側の方が良いだろう─との事だった。他数名の使用人は、カルザイン家側とパルヴァン家側と半々です─と、ゼンさんが言っていたっけ。


「これからお世話になります。ハルです。宜しくお願いします。」


ペコリと挨拶をする。


「この邸の案内は後にして、先ずはお部屋の方へご案内させていただきます。」


「はい。お願いします。」









そして、案内された部屋は…


私好みの落ち着いたベージュ系で、シンプルな家具で揃えられていた。驚く事に、色んな服までもが…クローゼットの中に入っていた。


部屋の様式としてはパルヴァン邸と同じで、奥に繋がっている部屋に寝室がある─んだけど…


「?」


何故か、もう一つ扉がある。何の部屋だろう?と思い開けてみると─


「────え?」


何故か、キングサイズ位の大きなベッドがあった。


「え?何で?え?」


ー私のベッド、二個も要らないよ?しかも、こんな大きいベッド、私には必要ないよね?ー


何ならこの部屋ごと要らないよね─何て考えていたら


「ハル様は勘違いしてると思うので説明させてもらいますけど、この部屋は“夫婦の部屋”ですから。」


と、荷物整理をしていたルナさんとリディさんが、手を止めて私の横まで来て説明してくれた。


()()()?」


ーん?……………っ!?ー


()()っっ!?」


「そうです。()()です。分かりやすく言うと、エディオル様とハル様が一緒に寝る部屋ですね。」


「寝る!?一緒に!?」


「はい。あ、勿論、(エディオル様が我慢できたら)結婚してからになりますけど。ちなみにですけど、このハル様に用意された部屋も、この邸に住む“夫人用の部屋”です。この夫婦の寝室にある、あちらの扉の向こう側が、この邸の主─エディオル様の部屋になります。」


「──────────!?」


ーっ!?部屋が…扉一枚で繋がってるだと!?ー


そう理解した瞬間、ポンッと顔が熱くなって、言葉が出ず口だけがパクパクと動く。


「これは、特別な事ではなく、貴族の邸の造りに於いては一般的な物です。」


ー但し、結婚前から使用する─と言うのは稀ですがー


とは敢えて言わないルナとリディ。


ーカルザイン家が総出で、ハル様の外堀を完璧に埋めに来たー


とも、敢えて言わないルナとリディ。


「───そ…そう……なんです…ね…」


顔を赤くしながら何とか返事をするハル。そんなハルを見たルナとリディは


ーコレ、絶対エディオル様は()()できないんじゃない?ー


と、心の中で囁いた。










その日の夕方─


「ディ、お帰りなさい?」


「え?何で疑問系?」


この邸に()()()()()?エディオルさんのお出迎え…なんだけど──


ここはエディオルさんのお家だから、“いらっしゃい”はおかしい…でも、ここには住んでないから、“お帰り”もどうなの??と思っていたから、最終的に疑問系のお出迎え?になってしまった。


そんな私を、苦笑しながらもギュッと抱き締めて


「ただいま」


と微笑みながら、私のオデコに軽くキスをする。


「─なっ!?」


「「ごほっ──」」


私が反論仕掛けた時、私の背後で誰かが咳き込んだ。


ーひいっ!!そうだ!後ろにバートさんとヘレナさんも居たんだ!ー


ルナさんとリディさんには、この砂糖漬け状態をすでに何度も見られてるから、少しは慣れて来てたけど…恥ずかし過ぎる!!!と、思わずエディオルさんの胸にグリグリと頭を擦り付け───


「はっ!またやってしまいました!!」


と、エディオルさんの胸から慌てて頭を離した。



「くくっ─。恥ずかしがるハルは、本当に可愛いな。」


と、エディオルさんは本当に嬉しそうに笑う。


「「ごほっ────っ」」


また、背後で誰かが咳き込んだ。


「…バート、ヘレナ、どうした?喉の調子でも…悪くなったのか?」


エディオルさんが私を抱き締めたまま、私の背後にいるバートさんとヘレナさんに笑顔を向ける。


「何でしょうね…喉と言うか…目が…幻覚?が見えるなと思いましてね?」


バートさんもまた、エディオルさんに負けないような笑顔を向けて来る。流石はカルザイン侯爵家推薦の執事。エディオルさんの圧も、軽く流してます。と言うか、この2人は、きっと気心知れた?仲なんだろう。


「丁度、このハルは薬師だから、投薬してもらうか?」


「いえ、大丈夫です。ここで過ごすうちに、そのうちに慣れるでしょうから…」


ーな…慣れるって…私…これからどんな砂糖漬けの日々が待っているんだろうかー


私は1人、エディオルさんの腕の中でワチャワチャしていた。











「あー…ハル様、やっぱり癒しだわ。(ルナ)」


「安定の癒しだね。(リディ)」


「その辺、詳しくお願いします。(ヘレナ)」


「「了解です!」」






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