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心を埋める存在

「じゃあ、ハル、お互い落ち着いたら、魔法使いとして色々と話し合おう。ミヤ様、本当に俺が言うのも何だけど…強制力が働かない事を…祈ってるよ。」


そう言って、リュウは彼女を日本へ送り還した翌日、隣国へと帰って行った。



「祈るだけじゃねぇ…本当に、()()()が来たら…ハル、速攻でリュウを呼び寄せてね?」


ふふっ─と、ニッコリ笑うミヤさん。


「勿論です!!」


ー何を置いても、リュウを呼び出します!その前に、元カレさんが、こっちに来ませんように!来てはいけません!!ー





そして、もう1人──



「久し振りの近衛の復帰で、暫くはバタバタして会えないかも知れないが…王都に来る時は連絡してくれ。時間を作るから。」


と、エディオルさんも、(魔法陣で)王都へと帰って行った。


『主、寂しいか?』


スリッと、ネージュが私の足にすり寄って来る。


「寂しくない─と言えば嘘になるけど、私も薬師としての仕事をしないと、独り立ちできないしね。ネージュも、ノアと離れて…寂しくない?」


『会おうと思えばいつでも会えるし、我には主が居る故、寂しさはあまりない。』


と、ネージュの尻尾がブンブンと揺れだす。


「やっぱり、うちの子は可愛い!!」


と、暫くの間、ネージュのモフモフを堪能させてきただきました!
















それから1ヶ月─



エディオルさんと私も落ち着き、そろそろ独り暮らしの話しでも─と思っていたところ、ルイス第一騎士団長様からゼンさんに手紙が来たようで、ゼンさんと相談して、3日後に王都のカルザイン邸に行く事になった。


「あ、私も、王城から呼ばれているから、ハル達に合わせて一緒に行くわ。」


ミヤさんは、今、この国に穢れがまだない為、聖女としての“浄化”の力ではなく、“癒し”の力で病気の人達のケアをしている。一応、ウォーランド王国の聖女扱いなのでパルヴァン領ではなく、魔法陣を使って、週4日王都にある修道院に通っている。


「王城に?何かあったんですか?」


「ほら、私、一応ウォーランド王国(この国)の聖女扱いだから、定期的に王城に行った方が良いんじゃないか?って。慣例では、聖女は王城で過ごすらしいけど、してないじゃない。それで、変に勘ぐる人も居るから…。王族とは良好ですって言うアピールもあるかな?」


成る程。でも、王城に行くと言う事は…


「…絶対、王太子様が待ってますよね…。」


王太子様が、数少ない?チャンスを逃す筈は…ないよね?


「…多分ね。できるなら…回避したいわ。暫くは…恋愛云々は置いといて、今の仕事に集中したいのよね。」


もともと、聖女として人の為になる事を─と思ってここに戻って来たんだもんね。でも、王太子様も王太子様で…必死なんだろう…。


「でも、私も、ちゃんと向き合いますって言っちゃったからね。仕方無いから頑張るわ。」


()()()()()()


ー王太子様、よっぽど頑張らないと無理じゃない?ー


と思った事は…胸に閉まっておきます。


「あ、ミヤさん、前日に王都に出て、久し振りにケーキでも食べに行きませんか?」


「あ、ソレ良いわね!前に食べに行って美味しかったお店があるのよ。あの時、ハルは行かなかったから、そこに行ってみない?」


「行きます!」





そうして、私とミヤさんは、2日後に王都のパルヴァン邸へと魔法陣を使って転移した。












*****



「んー美味しいっ!」


「でしょう?ここは、フジのお気に入りでね。何度か来たのよ。“ハルちゃんと一緒に来れたらな”って、よく言ってたから…今回、ハルと一緒に来れて嬉しいわ。」


フワリと笑うミヤさん。


「あの─ミヤさんは…寂しくは…ないですか?私は日本には両親も親戚も居ないから、心残り?みたいなのはないし、その…エディオルさんに会いたくて戻って来たから良いんですけど…。」


ミヤさんには、親だって仕事仲間だってたくさん居た筈だ。例え、こちらに来た事を嬉しく思ってる─としても…もう、会えないとなると…。


「そうね…前にも言ったけど、こっちに戻って来た事は本当に嬉しいの。聖女の力を使って他人(ひと)の為になってる事が実感できて、毎日が本当に楽しいのよ。確かに─時々…ふとした時に寂しいな─と感じる時はあるわ。でも、ここにはその寂しさを埋めてくれる人達が居るから。ハル。私はいつも、ハルに助けられてるの。ハルと居ると心が温かくなるのよ。だから、ありがとう。」


「……ミヤさんっ──うぅっ─私も、ミヤさんと居ると、安心しかないし、大好きです!!」


「ふふっ。相思相愛ね?エディオルさんから嫉妬されるかしら?」


やっぱり、ミヤさんは素敵なお姉さんだ。ミヤさんには、この世界で幸せになって欲しい。いや、なってもらう!


“元彼”


強制力でこの世界に来たとしても…私が絶対に日本に送り還す!!──あっ!そうか!送り還したら良いんだ!本当に、“チート万歳”です!


と、1人心の中で色々と意気込んでいると─


お店の外が少しザワザワとしたかと思うと


『誰か助けてくれ──!』


と声がして───


私とミヤさんが、お互い何とも言えない顔で見合わせる。


「ハル。今すぐに…リュウを呼び出してちょうだい。」


「はい。速攻で呼び出します!」







『誰か助けてくれ──!』













その言葉は…日本語でした。















ーあぁ…来ちゃった─んですね?リュウ、覚悟は…良いですか?ー













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