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リュウの処遇

「最後に、魔法使い─リュウ殿の処遇についてですが」


隣国の浄化の話が終わると、宰相様は、リュウの処遇について話し出した。


「本人の提案通り、リュウ殿の魔法でカオル=ミヤシタを、元の世界へ還してもらいます。その際、魔力がもつかどうかは分からない─と言う事ですが…リュウ殿本人が、それでも構わない─と言っているので、リュウ殿に何かあった場合、その場に待機させている魔導師に、引き続き魔法陣展開、発動させ、必ずカオル=ミヤシタを送り還す事とします。」


“何かあった場合”


それは、魔力が枯渇したら─って事だよね。枯渇してそのまま放置されたら…死ぬ…よね?


リュウを見ると、その表情は至って穏やかで、宰相様が説明した処遇を受け止めている。


宮下香を召喚したのはリュウで、魔力を与えたのもリュウだけど…。その魔力を悪用して人を狂わせたのは宮下香だ。リュウの命を掛けて迄…しなきゃいけない事なんだろうか?


「ハル殿。」


「は…はい!」


リュウの事を考えていると、宰相様に呼ばれて慌てて返事をした。


「ハル殿は、リュウ殿に、何か望む事はありませんか?」


「望む事─。」


リュウをチラリと見てから


「もし、リュウが何事もなく、彼女を送り還せたら─隣国でジン─ジークフラン国王を支えて国を守る事に尽力して…欲しい。」


そう言うと、リュウはキョトンとした顔をして


「俺が言うのもなんだけどさぁ…ハル、それ、甘いよ。罰にも何にもなってないから。」


と、困ったように笑う。


「リュウが自分で過ちに気付いて、そこからちゃんと反省した事を知ってるし、隣国で民の為に浄化を頑張ったのも知ってる。なら、ここで終わりにするんじゃなくて、これからの隣国を、ジークフラン様と一緒に守って行くべきじゃないかな?それに、隣国と接しているパルヴァンに住む私としては…隣国が安定した国になってもらわないと…困るし。」


「ハル…」


「ハル殿は…それで良いのですか?正直、またこちらに戻って来れたから良かっただけで…」


と、宰相様も少し困った顔をする。


「はい。結果論ですけど、ここに戻って来れたから良いんです。それに、元の世界に還った事は、私にとっては良かった事─と言うか、必要な事だったように思うんです。それに、リュウも魔法使いだから、色々契約?を交わすのもアリかな?って。」


「「「契約?」」」


これには、国王様も王太子様はも宰相様も反応した。


「魔法使いは国の管理下に置かれる─って事ですけど、そうじゃなくて、魔法使い同士で監視?し合うような仕組みを作ったらどうかな?って。国の管理下に置かれたとしても、結局は魔法使いの方が力が強い訳だから、最悪の場合、魔法使いが国を操れる─と言う事ですよね?それよりも、同等の力を持つ者同士でルールを作って…お互いが監視し合った方が良いんじゃないかな?って思ったんです。まぁ─魔法使いだって隠されたら…できませんけど。私とリュウの場合はできるし、私としては、魔法使いの先輩が居ると、心強い─と言うのもありますね。」


「──ははっ…」


「エディオルさん?」


「あぁ…笑ってしまってすまない。多分、今のリュウを知ったからには、ハルが()()だろうなと思っていたんだ。だから、ハルらしいな─と思って。」


ー本当に、エディオルさんには何でも見透かされてるよねー


「俺も、ハルの意見に賛成です。それに、魔法使いとしては、ハルの方が上だから、リュウがまた悪い事をしようとしても…ハルが簡単に止めそうだし…ふっ─。」


「エディオルさん?そこ…笑うところじゃないですからね?確かに、リュウが悪さをしそうになったら…遠慮無くいきますけど。」


と、エディオルと2人て笑って─────って!


「すっすみません!」


ー皆に見られているの、一瞬忘れて普通に会話しちゃったよ!?最近、このパターンが多いよね!?ー


焦って謝った後、皆の顔を見てみると…


皆が微笑ましい─みたいな顔をしていた。


ー恥ずかし過ぎる!!!ー


「あー…そう…ですか。今回の一番の被害者のハル殿の要望ですから…私はこれで宜しいかと…。陛下、如何なさいますか?」


宰相様が私に優しく微笑んだ後、国王様に確認する。


「リュウ殿の言う通り、少し甘い気がするが…ハル殿がそれで良いなら─。」


「─だ、そうです。良かったですね?ハル殿。」


「はい!国王様、宰相様、ありがとうございます。」


ペコリと頭を下げてお礼を言ってから、リュウへと向き直る。


「と言う事で、無事に彼女を送り還せたら、魔法使いとして…色々と宜しくお願いしますね。」


「はぁ─。ホント、この国の人間は、皆ハルには甘いな。あ─違うか。ハルの…()()()が…か?」


ーん?()()()て何?ー


と、首を傾げて考えていると


「…ハルは何も気にしなくていいから。」


と、何故かエディオルさんにフォローされた。


「兎に角。浄化が終わり次第、宮下香を返還します。無事にそれが済んだら…その時は、ハル。魔法使いとして…よろしくな?」


と、リュウは笑った。










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