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ミヤからの条件

謁見の間に入ると、既に国王陛下とジンさん─ジークフラン国王─との話し合いは終わっていて、今回の浄化の一件も、特に両国間に異論も問題もなく、後は聖女であるミヤさんへの確認だけとなっていた。



「では、ミヤ様。今回の浄化については今回限りとし、ジークフラン様が新たな王となった約束として行う事とします。この浄化についての見返りは、一切不要─と言う事でよろしいでしょうか?」


と、国王同士で決められた事を宰相様が説明してくれた。


「それで構いません。ジークフラン様がお一人になっても国の為に頑張っていた事。そのジークフラン様が王となられたから、私が少し…お手伝いをと思ったから─ですから。見返りは一切要りません。それに、今回限りです。()はありません。」


「分かりました。では─」


「すみませんが、私から条件があります。」


と、宰相が次の説明に入る前に、ミヤさんが口を挟んだ。


「条件…ですか?それは、どの様な条件でしょうか?」


「私は、隣国の騎士様達を信用していない訳ではありませんが、浄化に行くのであれば、私は、私が信を置いている人達と共に行きたいのです。ですから、同行メンバーは、ウォーランド王国(こちら)から、私が選んだ人達だけで行く事。そして、隣国(そちら)から同行すると言うのであれば、そこの魔法使いとジークフラン様以外は遠慮願います。」


「それは…それでは危険ではありませんか?行く予定の場所は、穢れが酷いと聞いています。もし、また、魔獣等が現れたら───」


と、宰相様はそこまで言って…気付いた─思い出したのだろう。チラリとハル()に視線を向けてきた。目が合ったから、ニコッと笑ってみました。すると、宰相様は、やっぱり呆れるでもなく、()()わけでもなく


ーなる程ー


と、納得したような顔をして頷いた。


「そうでしたね。その方が、ミヤ様達が()()()()()─と言う事ですね。」


「ふふっ。やっぱり宰相様は、理解が早くて助かります。」


「いえ─。前以て把握できずに、申し訳ありません。では、申し訳無さついでに、同行メンバーは、誰をお考えですか?」


ーやっぱり、宰相様って頭の回転が早いと言うか…安心できる人だよねー


「以前同行してもらった、ティモスさんとハルとエディオルさん。それに、ゼンさんとルナさんとリディさんです。」


「パルヴァンか…うん。問題無い!」


同行メンバーの名前を聞いた国王様は、悩む事なく許可を出した。


ー許可を出すしか…ないよね?ー


それと…今回もエディオルさんと一緒に行けるんだ。横に居るエディオルさんを視線だけで見上げる。


防御に関しては自信があるし、ティモスさんやゼンさんが一緒なら更に心強い。でも─エディオルさんが一緒だと…更に安心するんだよね。一緒に居れる事も…嬉しいし。


ーうん。隣国の浄化、頑張ろう!ー


と、1人こっそりと、握り拳を作って気合いを入れました。














エディオル(オレ)の横にいるハルが、視線だけを俺に向けてくる。


ー俺が気付いてないと…思ってるよなー


暫くの間、俺をジッと見た後、気合い?を入れるように、小さく握り拳を作った。


ー何だソレ!?可愛いな!ー


俺だけじゃなく、誰も気付いてないと思っているところがまた…ハルらしいし可愛いところだよな。


兎に角、俺から頼む事もなく、すんなりと同行できる事が決まって良かった。流石はミヤ様ってとこだな。パルヴァンのメンバーだけの方が、ハルが動きやすいからな。


今度は俺が、視線だけでハルを見る。


こんなに小さいのに─。


()()()は、小さなハルが、大きく見えた。


あの時、ーもう、いいかーと思って諦めた。でも、またハルが現れて─護られた。近衛騎士の俺が、小さな女の子─しかも、好きな女の子に。


ーもっと…強くならないとなー


そう言えば…()()()、ハルに書いて飛ばした手紙は…どうなったんだ?ハルと再会してから、それらの手紙を読んだ─とは聞いた事がない。


それに、あの時は、兎に角必死だった。「ハル殿も、俺の事─」なんて思っていて、誤解されたくなくて、形振り構わず手紙に(したた)めた。


ー今読まれたら…死ねるかもしれないー


そう思うと、背中に嫌な汗が流れ出した。魔術で飛ばした手紙だから、ハル以外の人が手紙を開封したり読める事はないが─。


ー可能性としては…ゼン殿かー


よし、ハルの手に渡る前に回収しよう。きっと、ゼン殿なら喜んで俺に返してくれるだろう。




「エディオルさん、難しい?顔をしてますけど…何かありましたか?」


手紙について考えていると、ハルが心配そうに俺の顔を覗き込んで来た。


ーくっそ可愛いな!ー


もう、ハルが何をしても可愛いとしか見えないし、思えない俺は、ある意味病気かもしれない─と思う。


そんなハルの耳元に顔を近付けて


「ハルが…何しても可愛いな─と思って…」


「───っ!!??」


一瞬にして顔が真っ赤になって、耳を手で押さえながら睨んで来る。そんなハルが、本当に可愛くて愛おしいな─と思った。










「だから、()()は本当に、“氷の騎士”と呼ばれているエディオルか?」


「その二つ名は、ハルの前では無効ですから。直ぐに…慣れますよ。」


と、ミヤは苦笑し


「そ…そうか──(羨ましいな)。」


と、ランバルトも苦笑した。











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