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頑張った?オルソレン伯爵


「エディオル殿、ハル殿、此度の事は本当に申し訳なかった。」



椅子に座ったままだが、テーブルに額がくっつく勢いで頭を下げて謝る紳士こと─イーサン=オルソレン伯爵─


謝られているだけなんだけど…なんだか…とても居た堪れない心境です。





エディオルさんと共に、カルザイン邸にやって来ると、すでにオルソレン伯爵が待っていた。


「オルソレン伯爵様、お久し振り─ですね?」


と、ゼンさんがニッコリ微笑めば─


オルソレン伯爵は固まった。固まったオルソレン伯爵を、エディオルさんの母であるルーチェ様が、更に威圧を発揮させ追い立て、エディオルさんも笑顔で圧を掛けていた。


決して…決して私に向けられた圧じゃないけど、本当に辛かった。オルソレン伯爵も、よく耐えて頑張ったなぁ─なんて、少し感動しました。





ー毒蜂と小虫ー


もともと、オルソレン伯爵は、前夫人が病死した後も再婚するつもりはなかった。だけど、公爵から娘を─と言われれば断る事などできる筈もない。そうして、現夫人─毒蜂─と再婚し、義務的に?子供も1人作ったと。それがエレノア─小虫─である。


妻であるリリー様は、老害タヌキの箱入り娘で、傲慢かつ我が儘。その娘、エレノアも同じように育ってしまった。が、エレノアもオルソレン伯爵の実の子。家庭教師をつけたりと、矯正させる為に奔走したそうだ。それでも、エレノアは直らず─。そのうち、義姉のレイラの嫁ぎ先の子息─エディオル─に執着し始めた。何度注意しても突撃をかますエレノア。それを止めるどころか、推し進める妻リリー。


ーもう駄目だー


だが、妻のバックには公爵が居る。どうしたものか─と思った時、まさかの老害タヌキ達の引退。それを切っ掛けに、毒蜂と小虫も片付けよう!と。


そして、監視役を兼ねて侍女や侍従に、()の者を宛がい、2人を泳がせる事にした。2人の如何なる行いに対し、()()はするが、決して()()()事はしない。そうして、決定的な何かを起こす迄泳がせ─


先日の、()()やらかし─。


侯爵家所有の立入禁止区域に無断で入り、そこで侯爵家子息のお相手に無礼な振る舞い。完璧だった。これで、誰にも文句も言われず、スッキリと毒蜂と小虫を追い出せる!と意気揚々と処分内容を(したた)めていると、2人に付けていた影が報告して来た。


「エディオル様と一緒に居た娘は平民なのですが…どうやら、パルヴァン邸付きの薬師のようです。」


「え?パル…ヴァン?」


「いえ、正しくはパルヴァン()です。」


「パルヴァン…()!?」


「そして、その娘はどうやら…パルヴァン三強の…()()()()()だそうです。」


ーあれ?これは…()()()()?ー


と、イーサン=オルソレンは思ったとか…。


更に、幼馴染でもあるルイス=カルザインからも手紙が届き、ルイスもルーチェも怒っていると。あの2人をキッチリ締め上げろと。




“キッチリ締め上げないと、グレン殿が出て来るよ”




と、手紙の最後の一枚に、一行だけ書かれてあった()()




イーサン=オルソレンには、その一行が呪文に見えたと言う。




そこからのイーサンの行動は早かった。


2人を、オルソレンの領地にある、()()()厳しい修道院送りにする予定だったが、急遽、寒さ厳しい最北の辺境地にある、規律の厳しい修道院送りへと変更した。







「あぁ、あの修道院ですか…そうですか。あそこなら…その2人に相応しい場所ですね。オルソレン伯爵様は、良い選択をされましたね。」


と、謝られた私ではなく、エディオルさんでもなく、勿論、ルーチェ様でもなく……ゼンさんがキラッキラな笑顔で…オルソレン伯爵を褒めた。


ーゼンさんより、オルソレン伯爵の方が…身分は上…だったよね?あれ?ー


「……いえ、これは…あの2人に対しての…当然の報い─ですので…。」


と、オルソレン伯爵は、平静を装いながらも、内心では飛び回る程喜びまくっている。あの修道院に変更して…本当に良かった!─と。


ーやっぱり、ゼンさんはどこへ行っても…ラスボス然りなんですね?オルソレン伯爵様、お疲れ様でしたー







「はい、じゃあ、謝罪はこれで終わりね?イーサンも、ようやく2人を追い出せて、良かったわね?これからは…どうするの?」


と、ルーチェ様が訊けば


「もう、私に跡継ぎは居ないからね。弟のところの三男を養子にする事にしたよ。」


これからの話を少しだけして、オルソレン伯爵は帰って行った。











「ハルさん、変な事に巻き込んでしまって、ごめんなさいね?」


「いえ、大丈夫です。えっと…ルーチェ様もですけど、エディオルさんが…助けて?守って?くれましたから。それに…こう言ってはなんですけど…あの2人を見ているのは…ある意味楽しかったので…。」


と、正直に言うと


「ふっ─確かに、あまりにも言葉が通じなさ過ぎて…面白かったな。」


「あ、エディオルさんも、そう思いました?エレノアさんが、あまりにも凄い屁理屈を言うので、思わず突っ込みそうになりました!」


「あぁ、ハルは…よく我慢したな─」


エディオルさんが、優しく微笑んでくれる。


「…蕩けてる…」


ーはっ!忘れてたました!ここには、ゼンさんとルーチェ様も居たんだ!ー


「蕩けてるエディが可愛い!素直なハルさんが可愛い過ぎる!」


「ぐふっ─」


と、何故かルーチェ様に抱き付かれた。


「母上!」


「エディ?前にも言ったわね?エディも可愛いけど、男の嫉妬はみにくいわよ!?少し位我慢なさい!」


「母上、それ、ゼン殿にも言えますか?」


チラリと、ルーチェとエディオルがゼンに視線を向けると、またまたキラッキラな笑顔をしていた。









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