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モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語  作者: みん
第三章ーリスと氷の騎士ー
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SIDEエディオル

結婚式迄の一週間は、本当に忙しかった。結婚式の後1ヶ月の休暇を取る為に、やらなければならない事務処理などもあったからだ。それに、結婚式に関してはコトネには秘密で準備をしていたから。いや、結婚式の準備に関してはコトネが喜ぶ顔を想像しただけで、何の苦にもならなかった。



そうしてコトネに会えたのは、式の当日─“バージンロード”と呼ばれる路の上だった。


俺の()ではなく、白を纏ったコトネ。顔はベールで覆われていて見えないが、その姿を目にしただけで胸が騒ぎ出した。一歩一歩ゆっくりと、父親であるゼン殿と歩み寄って来る。白から青へと─俺の色に染まっていく路を歩いて来る。きっと、この色の変化の意味を、コトネはしっかり理解して、今頃は頭の中でワチャワチャしているだろうな─と思うと、少し緊張が解れた気がした。






「ここに、お二人が夫婦となった事を宣言致します。」


見届け人が高らかに宣言した後、コトネと向き合いベールを上げると、綺麗な透き通るような水色の瞳が、俺を真っ直ぐに見上げていた。一週間ぶりに目にしたコトネの破壊力は─半端無かった。今すぐにでも抱き上げて邸に帰りたい衝動を抑えながら、オデコにソッとキスをした。








それからの時間が─長く感じた。俺のすぐ隣で嬉しそうに笑うコトネが居るのに、何もできない事がもどかしい。その笑顔を見ているだけで幸せだな─と思う気持ちと、早くコトネの全部を俺のモノにしたいと言う気持ちがせめぎ合っている。





式が終わった後は、辺境地のパルヴァン邸で身内だけの宴会をする。そこでの母は、今迄以上のハイテンションだった。

まさか、俺が親が喜んでくれるような結婚ができるとは…思わなかったが…。こうして、皆に喜んでもらえる結婚ができて良かったな─と思う。


そして気付けば、もうそこにコトネの姿がなかった。


ー蒼の邸に帰ったのか?ー


そう思った時、リディが俺の元へとやって来た。


「エディオル様。ハル様はもう蒼の邸へお戻りになりました。勿論、アルコール類は一切口には含んでおりません。」


「分かった。なら…俺も蒼の邸に帰る。」


そう言いながら立ち上がった俺に


「エディ、()()()ね?」


と、母が言葉を掛けて来たが、俺はそれには返事をぜず、ニコリと微笑んでからその場を後にした。



「うん。アレは…程々に─は無理ね。ふふっ。」


「無理だろうね…。」


と、ルーチェとルイスは笑い合い


「くっそ…エディオルめ……」


と、ゼンは強いアルコールを呷った。












*****



『ハル、絶対にアルコールは飲まないように』


そう言ってコトネに釘を刺したのは…初夜の事をしっかりと覚えておいてもらう為だ。女性にとっては、初めては大変な事なんだろうけど。苦痛を強いる事に…なるんだろうが…その痛みすら忘れて欲しくなかったから。


蒼の邸に戻り、直ぐさまお風呂に入った。

お風呂から出ると、珍しく俺の部屋にリディが居た。


「エディオル様、一つだけ…。今夜のハル様のナイトドレスなのですが…。フジ様とショウ様から頂いた物を着ていますので、青色ではありません。」


と、リディが頭を下げるが、別に色は青でなくても良いと思っている。コトネなら、何でも──。


「問題無い。それで?ハルは──」


「はい。()()()の部屋でお待ちです。」


「分かった。それじゃあ…もう下がって良いよ。朝…明日も俺が呼ぶ迄は、この部屋には誰も近付かないように。」


「承知しました。エディオル様、改めて─ハル様の事、末永く宜しくお願い致します。それでは、失礼致します。」


そう言うと、リディは部屋から出て行き、俺はそのまま夫婦の部屋の扉をノックした。






ソファーにチョコンと座っているコトネは、白に近いアイボリーカラーのナイトドレスを着ていた。部屋に入って来た俺に気を取られ過ぎて、自分の格好を忘れてしまっているような様子で、俺を見て固まっている。そんなコトネも可愛いな─と思いながら、コトネの横に腰を下ろした。



それから、コトネの両手を握って、真っ先に伝えたかった事を告げる。


「俺の名前は─エディオル=()()()=カルザイだ。」


「……リアム?」


「そう。その名前は、親と結婚相手しか知らない…知らせない─()()だ。覚えておいて欲しい。」


そう言ってから、コトネの指先にキスをした。






コトネは、俺を煽る天才だと思う。



『はい。私を…ディ─リアム…の色に…して下さい。』



顔を真っ赤にしてふにゃりと笑うコトネ。


そこで、プツリと何かが切れた。


すぐさまコトネを引き寄せて深いキスを繰り返す。コトネがクタリとなったのを確認すると、抱き上げてベットへと移動して、またキスをしながらコトネを追い込んでいく。コトネはと言うと─恥ずかしいのか、時折小さな抵抗をしたり、必死に俺にしがみついて来たりと、いちいち可愛く俺を煽ってくる。





「コトネ…もう…嫌がっても…止められないから…」


と、横たわっているコトネに覆い被さったまま、その水色の瞳を見つめていると、グッタリしていながらも、片手をのばして来て俺の頬にソッと触れて来た。


「止めなくて…良い…です…と言うか…止めないで…下さい…」


「──っ!バっ…コトネ……」


そんな事を涙目で、息も絶え絶えと言うように言われて、誰が止められる?いないだろう。本当に、無自覚だろうが、俺を煽る天才だ。



本当に、痛いのだろう。俺を受け入れた時はポロポロ涙を零していた。そんな泣き顔でさえ愛おしい。

初めてだから─と、優しくするつもりだったのに…


「待って」とか「ムリです」とか…色々言っていたような気がするが、それらさえも可愛くて…もっと声が聞きたくて…





気が付けば、コトネは俺の腕の中で気を失っていた。


クタリと目を閉じているのに、頬は赤くなっていて、薄っすらと涙の痕があって、少し呼吸が乱れていて……


ー可愛過ぎて…辛いー


そんなコトネをギュウッと抱き締める。

小さいコトネは、すっぽりと俺の腕の中に収まる。


「これで…本当にコトネは…俺のモノ…だな…。」


その柔らかい温もりにホッとして、俺も目を瞑った。





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