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モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語  作者: みん
第三章ーリスと氷の騎士ー
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初夜

コンコン


「入るぞ?」


その声と共に、ディがこの部屋に入って来た。


ーうわぁ─私、どうしたら良い!?ー


頭の中は軽く…いや、かなりパニクっているのに、体は石像のようにピクリとも動かない上、言葉もうまく出てこない。

そんな私に構う事なく、ディは歩みを進めて、私の横に座った。


「コトネ、お疲れ様。今日の式は…楽しめたか?」


私の態度を気にする事なく優しく声を掛けてくれる。


「はい。」


「そうか。」


ディが私の両手をギュッと握って来る。


「コトネ。」


名を呼ばれて、ソロソロとディの方に顔を向ける。


「俺の名前は─エディオル=()()()=カルザイだ。」


「……リアム?」


「そう。その名前は、親と結婚相手しか知らない…知らせない─()()だ。覚えておいて欲しい。」


そう言って、ディは、私の指先にキスをした後フワリと微笑む。


「それで…()()が、聖女様達からのお祝いか?」


と、先程迄の優しい笑顔から一転し、ニヤリと笑うディ。


「はっ!忘れてました!!」


ー私、スケスケでディと向き合ってる!!ー


「そそそそうです!すみません!」


「何故謝る?」


「いや、あの、えっと…恥ずかしいからあまり見ないで下さい!!」


恥ずかしくて隠したいのに、ディに両手を掴まれているままなので、それもできない。


「見ない─と言う選択肢は無いからな。それに…今からもっと恥ずかしい事を…するしな。」


「なっ!!?」


ボンッと、爆発しそうな勢いで、更に顔…だけじゃなくて体全身が熱くなる。


「それに…白色のナイトドレスか…どうやって…俺の色に染めようか…」


「う…うぇっ……あのっ…おっお手柔らかに…お願いします!」


「…すまないが…それは約束は…でき兼ねる…。」


ーふぁいっ!?ー


スルリと、ディの指が私の頬を撫でる。そのディの目は、いつもよりも熱を持っているように見える。そのまま顔が近付いて来るのに合わせて、私も目蓋を閉じると触れるだけのキスをされた。


至近距離のままディが、両手で私の顔を包み込んで


「ようやく…コトネの全部を俺のモノにできる。もう、何があっても逃さないし、離してやらないからな。俺の全てをコトネにあげるから…俺もコトネの全てが欲しい。」


ギュウッ─と、心臓を鷲掴みにされたように痛くなる程、心臓がバクバクと騒ぎ出す。鼻の奥がツンとして、何故だが泣きたくなる程に…ディが愛おしい─と思った。

ディの手に、私の手を重ねて


「はい。私を…ディ─リアム…の色に…して下さい。」


ふにゃりと笑うと、そのまま引き寄せられて一気に深いキスをされた。いつもよりも激しくて、直ぐに力が抜ける。そうすると、ディが唇を離して、間を空けずに私をお姫様抱っこをしてベットへと移動して、私をソッとベットにおろして、また深いキスを繰り返しながら私を押し倒した。


時折、「コトネ」と、切なそうに名を呼ばれる。それに答えたくても、まともに息さえできなくて…答える代わりに、力の入らない手でディに必死にしがみつく。そんな私に


「はぁ─コトネ…可愛い──」


と囁き、どんどん私を追い詰めていく。

それでも、あくまでも、ディの手は優しい。私の反応を確かめながら、もう触れていない処は無いよね?─と言う位触れられて、最早恥ずかしがる暇も隙もない程に翻弄される。もう、何がなんだか…自分がどうなっているのかも分からなくなる。


「コトネ…もう…嫌がっても…止められないから…」


と、横たわっている私に覆い被さったまま、熱を帯びた青い瞳に見つめられて…既にグッタリしている私は、何とか片手をのばしてディの頬にソッと触れて


「止めなくて…良い…です…と言うか…止めないで…下さい…」


恥ずかしい気持ちを我慢して告げると


「──っ!バっ…コトネ……」


少し切羽詰まったようなディ。

そのままディの熱が、私をゆっくりと割り開いていく。


「──っ!」


あまりの痛みに唇をグッ噛み締めると「コトネ」と囁きながら、深いキスを繰り返す。そうすると口に力を入れられない分、ディにしがみついている手に更に力が入る。そうしているうちに、ディの動きが止まる。


「コトネ…大丈夫…じゃないよな?」


痛いやら嬉しいやら…何だか分からないけど、ポロポロと零れる涙をディが唇や指で拭ってくれる。時折優しく啄むようなキスを繰り返し、私の力が抜けたのを確認すると


「…もう…良いか?」


と尋ねられて、コクリと頷くと


「コトネ…愛してる──」


と囁かれると同時に、ディがゆっくりと動き出した。




最初こそ痛みを我慢するのに必死だった。


でも…その痛みより快感を拾える様になってからが……大変だった。抑えようとしても口から漏れる声や私の反応で、ディにも“もう大丈夫だ”と分かったんだろう。


「大丈夫…そうだな?」


と、微笑んだ───












何度も意識を失いそうになるのを耐えて、必死にディにしがみついて


「待って!!もう…ムリ……だから!」


と言ったところで─


「コトネ、可愛い。もっと、声を聞かせてくれ─」


と、嬉しそうに囁かれるだけだった。






そうして、私が意識を失う前─最後に目にしたのは、ディの未だに熱の篭った青い目と、カーテンの隙間から差し込んだ薄っすらとした光だった。










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