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モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語  作者: みん
第三章ーリスと氷の騎士ー
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結婚式③

「ここに、お二人が夫婦となった事を宣言致します。」


「「「おめでとうー!!」」」

「「「おめでとうございます!!!」」」


見届け人の宣言の後、参列者から一斉にお祝いの声が上がった。


そんな中、私とエディオルさんは向き合って、私が軽く頭を下げると、私が被っているベールを持ち上げた。


そこで、ようやく視界がクリアになって、エディオルさんの顔がハッキリと私の視界に映りこんだ。


久し振りに見るエディオルさんの青い瞳に、一瞬にして吸い込まれそうになり、更に心臓が煩くて痛い位に騒ぎ出す。


そんなエディオルさんは、私を見つめながらフワリとより一層笑みを深めて微笑み、私の頬に手をソッと添えて私のオデコに軽くキスをした。


その瞬間─


「エディオル、ハル殿、おめでとう!私からのお祝いだよ!」


と、ダルシニアン様が腕を一振りすると、何処からとも無く白色と水色と青色の花びらが舞い上がった。


「「「わあー」」」


そして、その舞い上がった花びらが、今度はフワリフワリと風を受けながら落ちていく。


ーこれ、きっと…フラワーシャワだー


参列している人達が、その花びらに目を奪われている中、ソッと横に居るエディオルさんに視線を向けると、エディオルさんも私を見ていて目が合った。


「ひょっとして…ミヤさんから色々訊きました?」


「あぁ。全てはできなかったが…気に入ってもらえたか?」


「はい。とっても!ありがとうございます!」


笑顔でお礼を言うと、エディオルさんが目を優しく細めて


「遅くなったけど、ウェディングドレス姿のハルは、本当に綺麗だ。」


と、耳元で囁かれた。


「うっ─ありがとう…ございます。その…ディも…今日は一段と格好いいです。」


綺麗と言われた事が恥ずかしくて、でも嬉しくて、私も素直に格好いいと口にする。


「くっ───後少しの我慢だ…………」


「ん?何か言いました?」


「…いや、何も言ってない。さぁ、ハル、そろそろ皆に挨拶をしに行こうか。」


「はい!」


そうして、未だ花びらが舞っている中、私はエディオルさんと腕を組んで皆の元へと歩き出した。








庭園にはいくつかのテーブルがあり、そこに軽食やデザートが置かれている。立食タイプのガーデンパーティーのような感じである。勿論、ベンチもある為、座って食べる事もできる。



「ハル殿、結婚おめでとう!本当に、本当に良かった!!」


そう言いながら、涙を流しながら喜んでいる王太子様。


「あぁ、ランバルト…参列できたんだな……ありがとう。」


「本当にお前はブレないな!そんなお前だから、私の近衛であり側近なんだがな!これからも宜しく頼むよ!」


「…こちらこそ、お願い致します。」


ーあれ?エディオルさんより、王太子様の方が身分は上だよね?ー


いまいち2人の関係性が分からず首を傾げていると


「ふふっ。ハルは気にしなくて良いわよ。()()はランバルト様の…自業自得だから。」


そう言って笑いながら王太子様を見るミヤさんの目は、何だか…優しい目だ。


「ハル、結婚おめでとう。」


「ミヤさんも、色々とありがとうございます。」


私とミヤさんは軽くハグをして、私とエディオルさんは他の人達への挨拶に向かった。








「ハル様、おめでとうございます!とっても綺麗ですわね!」


「ベラトリス様!今日はありがとうございます!」


「エディオル、結婚おめでとう。」


「イリス、ありがとう。」


今日のベラトリス様は青色のドレス、ハンフォルト様は碧色のタキシードを着ている。お互いの色だ。この2人は、本当に仲が良い─相思相愛だよね。


「とっても素敵な式でしたわ。ゼン様─父親と歩くと言うのは、ハル様の世界では普通の事ですの?」


「そうですね。入場する時に、父娘で新郎の元へと歩いて行くのが普通でしたね。」


「私の時に…お父様もしてくれるかしら?」


ーお父様…って、国王様だよね?あの人なら…泣きながらしてくれそうだよね?ー


「ベラがしたいなら、私と父からもお願いしてみるよ。」


そう言いながら、ハンフォルト様がニコリと微笑み、ベラトリス様の腰に手をあて引き寄せた。


ー本当にラブラブですね!ー







「エディオル、ハル、結婚おめでとう。()()からのお祝いを預けてあるから、後から貰っておいてくれ。」


「リュウ、ありがとう。ジン殿にも、お礼を言っておいてくれ。」


()()からの”と言う事は、個人的に─と言う事だろう。“国王陛下からの”─何て事だったら、大騒ぎになるだろうし…気を使ってくれたんだろう。


「まぁ…色々あったけど、結婚して幸せそうで良かったよ。」


「お前が言える立場ではないからな?」


「ワカッテマスヨ……」


エディオルさんが、目が笑っていない笑顔を浮かべると、リュウは引き攣った笑顔を浮かべた。






「ダルシニアン様、今日は色々とありがとうこざいました。」


フラワーシャワーは勿論の事、バージンロードの色付けも、きっと魔導師のダルシニアン様がしてくれたんだろうと思って、先にお礼を言う。


「気に入ってもらえたかな?」


「はい!とっても嬉しかったです!」


ニッコリ笑顔で返事をすると─


「───くぅっ…本当に…ハル殿は………」


ダルシニアン様がそのまま、片手で口を押さえて隠し、チラリとエディオルさんに視線を向けると、エディオルさんは少し呆れた顔をしたあと苦笑しながらコクリと頷いた。


「?」


そのやりとりが何なのか分からず、首を傾げてダルシニアン様を見ると─


「本当に、ハル殿は可愛いよね!いや、今日は綺麗だね!本当に、結婚おめでとう!!あ、エディオルのお嫁さんになったついでに、今日から私の事は“クレイル”と呼んでくれ!」


ー“お嫁さんになったついでに”って…何だ!?ー


本当に意味が分からなくて、エディオルさんに視線を向けると


「幼馴染みであり、友であり、王太子を支える仲間である俺と結婚したから、仲良くしよう─と言う事なんだろう。」


「なるほど…なんですか?」


やっぱり意味は分からないけど…エディオルさんもダルシニアン様も笑ってるから…良いのかな?


「えっと…分かりました。あの…これからも宜しくお願いしますね……クレイル様。」


へへっ─と名前呼びをして笑うと


「あー…本当に…かっ───な…。」


と、クレイル様は、また片手で口を押さえた。












❋クレイル、ようやくハルに“可愛い”と言えました(笑)❋






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