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モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語  作者: みん
第一章ー婚約ー

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エディオルの告白

「元の世界に還っていない─この世界にハル殿が居ると分かっても、素直には喜べなかった。ハル殿が…俺達、王族関係者を避けていると言う事も分かったから。」


ーえっと…エディオル様には、色々とバレバレだったって事ですね?あ…そう言えばー


「私、何でだろう?って思った事があって─。私がパルヴァン様とハルとして登城した時、エディオル様だけ驚かなかったなぁ─と思ったんです。知って…いたからだったんですね。」


「あぁ。それで、ハル殿が、この世界で“ハル”として生きていくと─決めたと言うなら…もう、ハル殿を手放してやれないと思ったんだ。」


「なっ─!?」


ーちょっと待って!言葉がダ…ダイレクト過ぎませんか!?ー


「ハル殿の、俺に対する印象が…ドン底だろうと分かっていたから…少し強引に距離を詰めた。」


ーあ、強引だった自覚はあったんですね?ー


「ハル殿からしたら、嫌いな奴に側に居られて嫌だっただろうけど…そんな俺にも嫌な顔をせず付き合ってくれて…側でクルクルと表情を変えるハル殿を見ていると、更に惹かれていった。あまりにもハル殿が…俺に笑顔を向けるから、俺も調子に乗ってたんだと思う。浮かれてた─と言うのか?」



“宮下香と恋仲になったフリをする”



断る事も出来ず、彼女に付き添ってはいたけど、恋仲になったフリは…できなかったと。そして、私には届かなかったけど、手紙を書いていたから安心していたと。


「だから、手紙が届いていなくて、ハル殿が行方不明になって─ハル殿が元の世界に還ったと聞いた時…一瞬にして…この世界が色褪せた。もう二度と会えないと思った。」


目の前のエディオル様は、本当に辛そうな顔をしていて、何故か私までもが辛くなってくる。


「でも、ハル殿は、また俺の目の前に現れた。」


あの時のハル殿はカッコ良かった。まさか、近衛騎士の俺が好きな女の子に守られるなんて─と、エディオル様は苦笑する。


「嫌われて、もう二度と会えないと思っていたハル殿に、“待っていて良いですか?”って言われた時…どれだけ嬉しかったと思う?それなのに、ハル殿は…俺に会いに来てくれた。」


「うっ…会いに行ってしまって…すみません。」


ー今思い返しても…恥ずかしい!ー


「違う。ハル殿が俺に会いに来てくれて…本当に嬉しかったんだ。また、ハル殿が俺の触れられる所に居るんだと─それと同時に、ハル殿を失う事が怖くなった。だから…これからは遠慮はしない─手加減しないと言ったんだ。ハル殿を失いたくないし、手放す気もないし…他の誰かに取られるのも嫌だから。」


「ふぁい!?」


ーちょっと、本当に待って下さい!エディオル様、さっきから凄い事言ってませんか!?え?ー


「ハル殿には、これ位ハッキリ言わないと伝わらないと─分かったからね。」


「うぇっ!?」


ーどどどどうしよう!?さっきから変な声しか出てません!ー


「─ふっ…ハル殿、落ち着いて?」


そう言って、エディオル様が私の頬に手を添える。


いつからだろうか?エディオル様に触れられると…勿論恥ずかしいし、どうしていいか分からなかったりするけど…安心するようになったのは…。何となく、添えられた手に安心感が増して、軽く目を閉じてエディオル様の手の上に自分の手を重ねる。


「─っ!」


すると、エディオル様がビクッとしたのと同時に、息を呑む音がした。


「?」


何かあった?と思いながら、目を開けてエディオル様を見ると─私の頬に添えているのとは反対の手で口元を覆い、顔を横に向けていて…


「…落ち着け…勘違いするな…無自覚だ…」


何やらブツブツ呟いているけど、よく聞こえない。


「?あの…大丈夫ですか?」


「……ある意味大丈夫じゃないが、大丈夫だ。」


と、何やらジトリとした目を向けられたけど、大丈夫そう?で良かった??のかな?


私が手を離そうとすると、エディオル様も私の頬から手を離し、今度は私のその手を握って来た。


「最初は、ハル殿に合わせて、ゆっくり進めて行こうと思ってたんだけどね。それだと、駄目だって気付いたんだ。やんわり言ってもハル殿には…全く伝わらないし─」


「う゛っ…」


「それで遠慮して、誰かにかっ拐われたりしたら、たまったもんじゃないし。でも、だからと言って、無理矢理どうこうしたい─って訳じゃないから。ハル殿が、どうしても俺が嫌だって言うなら………その時はその時に考えるとして。兎に角、俺は、ハル殿に選んでもらえるように頑張るだけ─なんだ。」


そう言って、エディオル様は、また私の掌にキスをした。


「──っ!!あのっ…ちょっと…本当に…恥ずかしいんですけど!?」


「それは、俺を意識してる─って事だよな?」


「なっ─」


それ以上言葉が出せなくて、口だけがパクパクしている。そんな私を、嬉しそうに笑って見ているエディオル様。


ーでも…ー


「……私、本当に…エディオル様の事が、怖くて仕方無かったんです。」


そう言うと、エディオル様はピシッと固まった。





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