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金の魔力

 夕食後、しばらくのんびりして今は自室に。

 結局、もう一杯だけ葡萄酒のんだんだけど全く酔ってないんだよね。ものすごいざるなのか、それともまだ酔いが回っていないのか。


 明日になっても変化無しだったらいつか実験しようかな。強い酒用意してどこまで飲めるかね。


 みんなが部屋に戻っていくから俺も戻ってきたけど今から何しようかな。ちなみにまだ九時過ぎだ。ちょっと前に鐘が鳴っていたからね。

 朝の六時から夜の九時までは一時間ごとに鐘が鳴るみたい。


 今はもう寝る時間みたいだがちょっと早いんだよな。

「レオン、先に寝る?」

既にレオンは限界のご様子だ。さっきからこっくりこっくりしている。

 

「なんで? フロにぃはねないの?」

「俺はまだいいかな」

「じゃあまだねない」

少しばかり視線を離すレオン。拗ねているのだろうか。


「分かったよ。俺ももう寝る」

「ほんと?」

「うん」

「じゃあ、もうねる」

レオンはベッドに飛び込みごろごろと楽しげだ。


「窓閉める? 寒くない?」

まだまだ三月の頭だからな。なんと言っても夜は冷える。

「やだ。しめないで」

「寒くないの?」

「さむくない」

ぎゅっと拳を握るレオン。どうしても嫌だ、といった感じだし、少し冷えるかなってくらいの気温だしそのままにしておくか。


「じゃあ暗くするね」

一声かけて蓄光石に布をかける。これは付けたり消したりできないからね。ずっと光っぱなし。部屋に戻る前にリリーが布を渡しながら教えてくれたんだよね。


 やることはやったので俺もベッドに入り布団を被る。レオンの体温で左腹の辺りがあったかい。湯たんぽと化したレオンはもう夢の中だ。




 結局、布団に入ってすぐに寝てた……。まあ、だからといって困ることはないからいいけどね。それにしても、あんなに早く寝たのは久しぶりだ。


 朝食を終えて今は冒険者ギルドに向かっている。ギルドは街の東側にあるらしい。魔の森があるのが東側で、そこの魔物を狩る冒険者が一番多いからこその立地なんだって。


 ギルドでは依頼の仲介はもちろん、魔物の解体、買取もしてくれる。欲しいところだけ貰って残りは売る、なんてのもありなんだとか。正直、よく分かっていない。


「はい、到着」

周りのとは一風変わった大きな建物の前で立ち止まる。朝の人気の多い時間ともあってかなりの人が出入りしているな。


 中に入るとやはり沢山の人が。特に左側の方に密集している。そして、その人達は何かしらの武器を持っている。ほとんどは剣、弓と槍がちらほらとだ。


「すごい人だね」

「そりゃ朝やからな。とりあえず登録しよか。そうゆう細々したことは、二階に行かないかんのよ」

慣れた足取りでイーリスは階段に向かう。


 人の波に攫われそうなレオンを抱き上げて俺も二階に上がる。細々したことをしなきゃいけない人はあまりいないらしく、二階は閑散としている。


「ちょっとお姉さん、新規登録して欲しいんやけど」

カウンターの職員に向かってイーリスは言う。ナンパみたいだな、なんて思ったのは内緒だ。


「イーリスさんじゃないですか。今日何をしにいらしたんです?」

「やから登録やって。あ、俺は付き添いな」

「そちらの方ですか?」

少し不思議そうに職員の人は俺のことを見てくる。


「ああ、よろしく頼む」

「ギルドカードの発行ですね。まずお名前は?」

「フロレス」


「フロレスさんですね。では次にこれに触って下さい」

職員の人は何やら水晶のようなものを取り出す。


「これは?」

「魔道具やな。これでギルドカードが他人に使われんようになるんやって。ほら、ちょっと触ってみ」

そう言ってイーリスはカードを差し出す。これがギルドカードなのだろう。


「おお」

俺がイーリスのカードに触るとクリーム色だったカードが赤くなった。たしかにこれじゃ他人にカードを使われることはないな。提示するときに一目でばれる。

 想像以上の変化にレオンもすごい、と目を見開いて呟く。


 とにかく、疑問も解けたので水晶に触る。その途端、水晶は淡く煌めく金の光を放つ。それにしても眩しいな。

「これは……」

「いやー。こりゃすごいわ」


 よく見るとイーリスの尻尾がゆっくりとだがたしかに振られている。耳も微かに動いたな。


「どうしたの?」

「金の魔力というのはとても珍しいんですよ」

「あのな、魔力には色があるんよ。青、赤、黄、白、黒、そして金やな。ちなみに俺は青や」

咄嗟にイーリスが説明をしてくれる。


「色って何の意味があるの?」

「使える魔法が変わる。魔法ってゆうのは精霊に魔力をあげることで発動するんやけど、精霊によって好きな色が違うんよ。ほんで精霊たちは自分が好きな色の魔力しか受けとらんのよ」


「へー」

この世界って精霊もいたのか。まあ神様がいるくらいだから当然なのかな。


「青は風の、赤は火の、黄は岩の、白は雷の、黒は水のに好かれている。でも金はみんな大好きなんよ。やから全属性の魔法が使える」

「それは便利だな」

「ちなみにやけど、金の魔力持ちは数千人に一人くらいしかおらんのよ」


 すごい事実が判明したな。まだ魔法を使ったことはないからよく分からないけど、とにかくすごそうだ。


「はい、出来ました。使い方はイーリスさんにでも聞いてください」

「ありがとう」

なんと、俺らがくっちゃべっている間にカードを作ってくれていたみたい。


 カードには〈名前〉フロレス、〈ランク〉E、〈魔力〉白、〈所属〉リエース侯爵領、〈備考〉なし、とだけ書かれている。

 リエース侯爵領とはここのことだろうし、ランクは一番低いののはず。


「じゃあ降りるよ」

無事にギルドカードの発行ができてよかった。それにしても、またあの人混みに揉まれなきゃいけないのか。げんなりするな。

少しややこしくなってしまいました。

要約するとフロレスは全属性の魔法を使えてすごい、ということです。


次回は2月14日18時です。

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