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3.お迎えに行く花婿



野菜のサラダ、ハム付き目玉焼き、野菜たっぷりのスープ、パン、牛乳、グラノーラ入のヨーグルト。

うん。今日の朝食も美味しいです。

料理長たちありがとう!

食事はよく噛んで食べると満腹感が出るって本当だね。

食べながら、今日の予定を聞くけれど、安定の日常生活。

結婚式の準備とか披露宴の準備とかカケラもない。

前ほど焦りはないけど、気にしても仕方ないからね。

目の前のお仕事を頑張ります。


午前の仕事を終えて食堂に移動してる途中、執事から父上が帰ってきたと連絡を受けた。

父上だけって事は、母上はまた侯爵家で盛り上がってるな。

玄関ロビーに行けば、旅装を解く父上がいた。挨拶と簡単な報告をすれば「ほら、お前宛だ」と手紙を渡された。藤色の綺麗な封筒はマグノリアが好んで使うものだ。

後で食堂に行くと伝えて、自室に戻るとすぐに手紙を開く。

上品な紙に並ぶ文字に心が躍る。

季節の挨拶と、近況を読み進めていった先の文に僕の眉間にシワがよった。

えー。どういう事?



少し遅れて食堂に行けば、父上とクラウドが待つ中、詫びを告げて着席すると昼食が運ばれてきた。

しばらく食べる事に専念する。食事は美味しくがモットーです。

でも、マグノリアの手紙が気になって気を抜くと眉間にシワがよりそうになる。

料理長ごめんね。相変わらず美味しいよ。表情がそうならないのは本当に申し訳ない。

ようやく食後のお茶になって、父上に話しかける。


「先程、マグノリアからの手紙に結婚式や披露宴の招待客のリストが入っていたのですが…」

「ん?何かおかしいところがあったか?」

「なぜバカ王子がリストにのっているのですか?」


そう。披露宴の招待客のリストにカルバン殿下の名前があったんだ。

なんで元婚約者のバカ王子の名前があるんだろうね。

納得いかない。マグノリアは納得したの?

なんか色々とモヤモヤする。


「それなら後で本人に聞くといい、ミレイナと一緒に後から来ているぞ」


え?

本当?


「ちょっと迎えに行ってくる!クラウド何かあったら連絡飛ばして!」


慌てて飛び出したので、今どの辺りにいるとか聞き忘れたけど、まぁいいか。エイゼンの街を抜けたらどうせ一本道だし。

大分体重が減ったから、馬が疲れる度合いが違うんだよね。前は馬が可哀想で長時間乗るのは避けてたからね。



月が昇った頃にたどり着いた町の宿屋で侯爵家の馬車を見つけた。早めに見つかって良かった。

宿屋の者に話をすれば、護衛や侍従を通して母上が現れた。


「まぁ、呆れた。こんなとこまで迎えに来たの?貴方、お仕事は?」

「父上もいますし、何かあればクラウドが連絡を飛ばしてくれます」


キョロキョロとしていたら母上に笑われた。


「リアちゃんなら疲れて寝てしまったわよ。いつもより強行軍で進みましたからね」


残念。でも、明日の朝会えるならいいかな。

楽しみにとっておこう。

とりあえず一部屋追加してもらい、ベッドに横になると思ったよりも疲れてたのかすぐに眠くなった。





翌朝、食堂で朝ご飯を食べたけど、マグノリアと母上は部屋で食べたみたいでいなかった。残念。

その後、支度をして降りてきたマグノリアを見つけて駆け寄るとすごく驚いていた。

その顔も可愛いね。


「アル、フレッド、さま?」

「うん。おはよう、マグノリア。相変わらず可愛いね。会えて嬉しいよ」


マグノリアはしばらくぽかんと僕を見上げたまま動かない。

「頬の肉が…」とか「うそ」とか「サイズが…」とか切れ切れに聞こえるけど、どうしたの?

もしかして疲れ!?


「マグノリア?大丈夫?もう少し休む?」


目の前で手を振れば、なぜか振り向いて母上へと視線を向ける。

母上は楽しそうに「ね。凄いでしょう?」と、ころころと笑うだけ。

何か凄い事があったの?

誰か、僕に説明する人いないの?ねぇ。

なんで侯爵家のメイドさんや護衛たちも固まってんの?

えー、どうしたの?みんな。



何というか、みんな僕が痩せたのに驚いてたそうです。

まぁ、そうか。

前に会った時から30kg近く痩せたもんね。

マグノリアと前に会った時はちょうど停滞期で何しても痩せなかったんだよね。

10kgは軽く落ちたのにその先がちょっと落ちたら戻っての繰り返しで、かなり心が折れかけてたよ。あの時、マグノリアに会えたのが心の支えになったんだよなぁ。

それにアルバートさんのおかげで、筋肉もついたから外見もちょっと違うのかな。

自分じゃよく分からないけどね。

変かな?マグノリアは好みじゃないかな?

ちょっと心配になったけど「そんな事はありませんわ!」と早口で否定された。

まぁ、嫌われてないならいいかな。

「大型犬………パピーちゃん……大型犬も……」

マグノリアが何か呟いているけれど、犬がどうのとしか聞こえなかった。

どうしたの?愛犬のパピーちゃんを思い出した?


「それで?貴方は何をしに来たの?」

「酷いですね。マグノリアに早く会いたくて迎えにきたんですよ」

「それだけ?」


母上は見透かしてるかのように何かを含んだように微笑む。

思わずむっと口が曲がる。


「式のリストで聞きたい事がありましたけど、屋敷に戻ってからでいいです」


ここで話すような内容じゃないからね。

せっかく会えたのに嫌な気持ちになりたくない。

それから、マグノリアと母上が乗る馬車の横を併走しながら屋敷に戻った。

時折、窓からマグノリアが手を振ってくれる。

可愛い。

本当は一緒に馬車に乗りたかったんだけど、母上から「狭い」と却下されてしまった。

じゃあ、母上が馬に乗れば?とは怖くて言えません。

2人は100kgを切ったぐらいで会って以来の再会です。

この時点で75kgぐらいですが、脂肪は落ちて筋肉がついたので、外見がかなり違います。

大体5ヶ月で40kg近いダウン。頑張りました。


ミレイナはアルフレッドのお母さんです。


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