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1. 結婚6ヶ月前の花婿

連載は苦手だと言いながら、連載しちゃってる自分に驚きです。

しばらくお付き合いください。



バカ王子に婚約破棄されたマグノリアと、チキンを食べながらそれを眺めてた僕の結婚式までの話、聞く?

あ、やっぱり?そう思ってお茶菓子も用意しておいたよ。新作のベリーソースがけのチョコケーキ。もちろん甘さ控えめ。甘酸っぱくて美味しいんだよ。遠慮しないで食べてね。

さて、どこから話そうか。

婚約して3ヶ月目から話そうかな。



――――――――――――――――――――――――




貴族同士の結婚ともなればやる事は沢山ある。

あるはず、なんだけどなぁ。


「はい。次!」


なんで僕は坂道ダッシュなんてやってるんだろう。




朝の鍛錬が終わったら朝食を食べて、仕事して、お昼ご飯を食べて、仕事して、鍛錬して夕飯を食べて、ストレッチして入浴してたまにマッサージして寝る。

結婚式を6ヶ月後に控えた僕の日常です。

その合間に魔獣の討伐とか視察とか入るけどね。


うちの両親や侯爵様が喜んでくれたのは嬉しいけど、善は急げ!と9ヶ月後に結婚式が決まりました。

準備や大聖堂の予約とか季節を考えたら、それが最速らしい。

1年もないんだよ。焦るよね。

本当なら焦るはずなんだけどね。

式まで半年しかないのに、こんなに何もしなくてもいいの?大丈夫?

結婚式って僕のだよね?

マグノリアと婚約したのって夢?それとも危ない妄想だったかな。

半信半疑になる程何もしてない。

語弊があるな。僕だけ何もしてないんだ。

マグノリアと侯爵夫妻、後はうちの両親が全部やってる。 侯爵家で。

うちの両親、王都のタウンハウスに住んで、連日の様に侯爵家にお邪魔して親交を深めながら結婚準備をしてるらしい。 僕抜きで。

招待客も招待状も結婚式とその後の披露宴、貴族院への手続き、諸々全てをやってくれているらしい。 僕抜きで。

つまり、僕だけ何もしてない。

楽だけどね。なーんにもしてないから。

楽だけどね、いいのかな。


母上が帰る度に、花嫁衣装が素敵だとか、お茶会したとか、マグノリアの可愛いエピソードとか話してくれる。

何それ?自慢?自慢だろ。

なんで婚約者の僕より仲良くしてんの?

母上はまだいいよ。女同士だし、嫁姑の関係だから、仲良くなってくれると僕も嬉しいし。

父上は要らなくない?何してんの?

どうせなら僕と交代してよ。

もう本当に意味が分かんない。

なんで僕だけ筋トレ追加された日常を送ってるんだろう。


当事者なのに僕だけ蚊帳の外じゃない?


「蚊帳の外など、とんでもない」


ホッホッホと現れたのは侯爵家の元家令アルバートさん。

はずっ。独り言を聞かれてた。


「充分頑張っておいでですよ」

「でも、何もしてないのは、気がひけるんだよね」

「アルフレッド様。結婚式とは8割方花嫁の為の物。花婿は花嫁を迎える支度ぐらいでよろしいのです」


8割も!

あー、でも納得。クラウドたちもヒートアップしてるのは婚約者のエルナちゃんだもんね。

衣装の下見に行ったクラウドが死んだ目をして帰ってきたのを思い出した。

思わず、貴重な週一のおやつを差し出してしまうぐらい憔悴してたよ。

二日ぐらいなら余裕で徹夜できるクラウドが、疲れた顔で「女心って分からない」と溢してた。クラウドに分からないなら僕に分かるはずもない。自慢じゃないけどモテた事ないからね。

訳を聞くとウエディングドレスの感想を求められたから答えたのに怒られた、と。

なんでだろうね?


でも、ちょっと羨ましい。

僕はマグノリアのウエディングドレスがどんなのか知らないからね。

当日のお楽しみなんだってさ。

ブーケを迷ってたから鈴蘭とかどう?って答えたけどどうなったのかな、あれ。まぁ、それも当日のお楽しみなんだろうなぁ。

鈴蘭。良くない?

白くてベルみたいな花が可愛いよね。

清楚で可愛いマグノリアに似合うと思うんだよね。って言ったらクラウドから「マグノリア嬢を可愛いって言えるのは兄上ぐらいですよ」って言われた。

そんな事ないと思うけどな。マグノリア、可愛くない?可愛いよね。


たまに会えるのはすごい嬉しいんだけど、最近は結婚式の話が多くて、ほぼ僕は蚊帳の外。

先月も主に、母上ときゃあきゃあ言いながら楽しそうにしてた。そこにエルナちゃんまで加わると熱量が半端ない。あの輪に入る勇気は僕もクラウドもない。

まぁ、楽しそうな彼女を見るのも好きだから良いんだけどさ。ちょっと寂しい。


そうそう。かなり待たせちゃったクラウドたちも結婚する事になったんだよ。

僕らが王都の大聖堂で式を挙げて、その後クラウドたちが領地にある聖堂で式を挙げて、うちで披露宴を一緒にしちゃおう!って事になった。

ちなみに王都でも披露宴をやります。うちまで来れない人いっぱいいるからね。

それも侯爵夫妻とうちの親が準備してくれてる。

うん。僕がやる事は少ないね。


「さぁ、ご理解出来ましたら再開しましょう」


うええええ。やるの?

パン!と手を叩かれて、反射的に坂道へと走り出した。

あー、脇腹いたい。


クラウドが怒られたのは何を着ても「似合っている」「いいんじゃない?」しか言わないからです。

本心だろうとそんな答えは求めてないんだよ、エルナちゃんは。

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