表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロ月の豹変  作者: あきたけ
第1章
2/19

No.0001

 


 それはいきなり、透き通るような、まるで楽器の音色でも聞いているかのような深い安心感のある声だった。


 その声が、少年の首筋に……今、投げかけられたのだ。


「えっ?」


 彼はあまりの驚きと興奮に全身の毛が逆立った。


 背中に冷や水を掛けられ、血液が逆流するような感覚に陥ったが、すぐに声をかけてきた人物が自分の後ろにいる事に気づき素早く振り向いた。


 立っていたのは少女であった。


「ねえ、そんなに魅力的なの? 絵の中の私って」


 そこで少年は息を飲んだ。


 今、目の前にいる少女は確かにその絵の人物と同一人物であった訳だが、絵で見るよりも格段にその勿体ないほどの美貌を放っていた。


「うん。とっても可愛いよ」


 少年は恥じらうように、照れ笑いをしながらそう答えた。


「ふふ、うれしい……その絵ね、前にも君みたいにこの場所を訪れた子がいたの。その子に描いてもらったんだ」


 少女はどこか遠い目をしながら、囁くようにそう言った。


「へえ、前にも……その子は、どういう人だったの? 絵を見る限り、とても才能に溢れた子だったんだろうね」


「そうだよ。とても純粋で、才能に満ち溢れていて、おしとやかで、強くて、優し人」


 うっとりとしながら語る少女の目には、いささかその人物の面影が浮き出ているように感じられた。


「ねえ」


 少年は言葉を発した。

 その声に反応した少女は少年の瞳をジッっと見つめる。


 そのあまりにもあどけなく、純粋な瞳に見つめられた少年の胸はドクリと脈を強く打った。


 熱い血液は彼の全身にふつふつと送り出されて、それがたまらなく心地よかった。


「なあに?」


「……ここ、どこなの?」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ