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シャイニング・ガール   作者: 花奈よりこ
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今でもずっと……


桜庭と出会った、あの桜の季節も何度も巡り。


桜を見るたびに。


あたしは、教室の隣の席から笑いかけてくる桜庭の笑顔を思い出し。


そして、夏の花火を見るたびにに。


あたしは、あの日の放課後を思い出さずにはいられなかった。


誰もいない公園で2人きりでやった花火。


きらめく花火。


夏の匂いがする白い煙の間から見える、眩しくて愛おしかった桜庭の笑顔。


帰り道に初めて繋いだあたたかい手。


優しいぬくもりーーー。



あたしは、いつも思い出していた。


いっぱい泣いた。


少し痩せた。



でもね。


あたしの周りには、いつもあたしを元気づけてくれる優しい仲間達がいたから。


確かに、どうしようもないくらい寂しくて、切なくて、苦しくて、ホントに辛かったけど。


でも、いつもみんながいてくれたからーーー。


あたしもいつまでもうつむいて泣いてちゃいけないなって。


前を見て歩いていかなきゃいけないなって。


そう思って、少しずつ元気を取り戻したんだ。


あたしの取り柄は元気なとこだけだしね。


でも、再びそういう風に思えるようになったのもみんなのおかげ。


ホントに感謝してるんだ。




高校を卒業してからは、新しい環境でいろいろな人達とも出会い、それなりにいろいろあったりもしたよ。


何人もの男の人から告白されたり、出会ってすぐにプロポーズされたこともあった。


女の子からしか告白されたことがなかった昔のあたしからは考えられないよね。


でも、大人になって、あたしのことを好きになってくれる人達もいて。


有理絵やみんなも、そろそろ新しい恋をしてもいい頃じゃない?ってすすめてくれたりもするんだけど……。


ダメなんだよね。


あたし、桜庭のことが忘れられないの。


忘れられないの。


どうしてもーーーー。


7年も経ってるのに……って。


自分でも思うんだけど。


いつも考えてしまうんだ。



どこにいるのかな。


なにしてるのかな。


元気でいるのかな。


会いたいな……って。



桜庭がいなくなって1年くらい経った頃。


アイツのケータイは誰か別の知らない人の電話番号になっていた。


一緒にバンドをやっていたメンバーのとこにも、一切連絡は来なかったらしい。


桜庭の電話番号が変わった。


唯一の連絡ツールが途絶えた。


その時点で、あたしと桜庭の繋がりは、もうなにもなくなってしまったんだ。



でもね。


自分でも不思議なんだけど、連絡して来なかった桜庭のことを責めたりする気持ちは全くなかったんだ。


今でもそう。


きっと、なにか事情があったんだって。


あたし達、嫌いになって離れ離れになったわけじゃないから。


お互い好きで、離れたくなかったのに離れてしまったから。


だから・・・ーーー。


桜庭も、あたしのこと忘れたりしたわけじゃないって。


どうしても連絡できない理由がなにかあったんだって。


なぜかそう思えてならないんだ。




7年経った今でも、あたしの中の桜庭への気持ちはあの時のまま。


どんなに月日が流れても、それだけは変わらぬまま。


あたしは、もうすぐ25歳を迎えようとしていた。





「えーっ。菜々子さんの誕生日って、8月9日なの?あたしとめっちゃ近いじゃん!」


その日の仕事からの帰り道。


歩きながら、菜々子さんといろんな話をしていたら、偶然にもあたしと菜々子さんの誕生日が近いことを知って嬉しくなった。


「ひかるはいつなの?」


「あたしは8月6日。菜々子さんと3日違い!」


「そうだったんだー。ホント近いね。じゃあ、来月2人でお祝いしちゃう?」


菜々子さんがイタズラっぽく笑った。


「わぁ!したいしたい!じゃあさじゃあさ、焼肉でビールで乾杯!とかどぉ?」


「いいねー。女同士で誕生祝い、パーッとやっちゃいますか!」


「やろーやろー!」


2人で盛り上がってたんだけど。


あたしは、ニヤリと笑いながら菜々子さんを肘でつついた。


「でも菜々子さん。誕生日当日は、特別にお祝いしてくれる彼氏とかホントはいるんでしょー?いないいないって言ってるけどぉ」


だってだって、こんなにキレイで(スタイルも抜群)中身もサイコーの人。


男がほっとくハズがないもん。


あたしがニヤニヤしていると、菜々子さんが笑いながら言った。


「いたら、ひかると焼肉行かないでその人と行くわよ」


「えー!」


「ウソウソ。ひかると行く。楽しみ!でも、残念ながらホントにいないんだよねー。半年くらい前までは、一応いたんだけど。なんかダメになっちゃって。それ以来、なーんもなし」


「そうだったんだぁ。ねぇねぇ、その元カレってどんな人だったの?」


あたしは、興味しんしんで菜々子さんの顔を覗き込んだ。


「同じ高校で、元々は仲のいい友達だったヤツなんだけどね。卒業と同時くらいにつき合い始めたんだけど。仕事で転勤になっちゃって。ずっと遠距離してたんだけど……。やっぱ離れちゃうと、なんか難しいっていうかさ」


菜々子さんが、少しだけ寂しそうに笑った。


あたしは、内心ドキッとした。


なんだかその話が、あたしと桜庭に似ていたらからーーーーー。



「あ、バス来た。じゃあね、ひかる」


バス停に着くと、ジャストタイミングで菜々子さんが乗るバスが来た。


菜々子さんはバス通で、あたしは地下鉄通勤なんだ。


だから、一緒に帰る時は地下鉄の駅に行く途中にあるこのバス停でバイバイするの。


「菜々子さん、明日は店長休みで2人の日だよ。やったね」


バスに乗り込もうとしている菜々子さんにピースサイン。


2人で笑って手を振った。


そしてバスが走り去った後、あたしはぼんやり考えていた。


桜庭のことを………。




菜々子さんも、高校の友達だった人とつき合ってたんだ。


彼氏、遠くに行っちゃったんだ……。


ダメになっちゃったんだ……。


あたしは、静かに夜空を見上げた。



ねぇ、桜庭ーーーーー。



あたし達って、もうとっくの前に終わってしまっているの……?


7年前。


ほんの数日、彼氏と彼女になっただけで、もう終わってしまったことなの?


いまだにあの頃のことが忘れられないのは。


あたしだけ?



桜庭……。


今、どこにいるの?


なにしているの?


まだ、夢を追いかけてるのーーー?



会いたいよ・・・ーーー。



ブーブーブー。


バイブにしていたケータイが、バッグの中で鳴った。


あ、有理絵だ。


「もしもーし」


『ひかる?仕事終わった?』


「終わったよん。これから帰るとこ」


『ちょうどよかった。そのままあたしんち来ない?カレーいっぱい作ったの』


「カレー!わーい。行く行く!」


やったやった、カレーだぁー。



と、まぁ。


こんな具合に、有理絵とも相変わらず仲良くやってるんだ。


有理絵もひとり暮らしで、家もあたしんちから割と近くて、しょっちゅう行き来してるんだ。


え?


他のみんなはどうしてるかって?


みんな元気で相変わらずだよぉー。


と、言いたいところなんだが。


いろいろと変化を遂げたかな。







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