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シャイニング・ガール   作者: 花奈よりこ
22/59

スペシャルサンドイッチ


「ギャーーーーーッ」



グシャン。


本日2個目の生卵落下。


ねばぁー。


えーん。


またやっちゃったよぉー。


「有理絵ぇー」


もはや半べそのあたし。


「ひかる。もうちょっと落ち着いて作業しよう。いい?ゆっくりでいいから」


ポン。


肩を叩かれた。


「……ラジャ」


よし、落ち着いて、落ち着いて。


そう心の中でつぶやきながら、鍋にそっと卵を入れていく。


「そうそう。ゆっくりでいいからね」


「うん!」




そうなのです。


只今、我が家のキッチンを貸し切って、サンドイッチ作りの特訓中なのです。


お父さんは仕事、お母さんはカラオケのサークルで、夕方まで帰ってこないんだ。


だから、それまで自由にキッチン使っていいことになってるから、今日はここで料理教室。


もちろん、先生は有理絵だよ。


有理絵って器用なんだよ。


料理以外にも、お菓子作りや縫い物や編み物とかも得意なんだ。



「ちょっとちょっと、大丈夫?」


リビングの方からさとみ達が出てきた。


みんなにも協力してもらって味見係ってことで来てもらったんだ。


「なんか、さっきからすごい声とか音とか聞こえてくるんですけど」


「大丈夫、大丈夫。任せといて!」


というあたしの声はよそに。


「そういえば。ひかる、中学の調理実習の時も大騒ぎだったよね」


「そうそう。やたらとひかるの班だけ騒がしくてさー」


「っていうかさ、その時ヤケドしたよねっ?ひかる」


「……大丈夫ぅ?」


なんだよぉ、みんなしてそんな同情の目であたしを見やがって。


「もぉー。うるさいなぁ。はいはい、みんなあっち行ってて」


みんなを追っ払ったあとも。



「ひかる、火が強過ぎ!吹きこぼれちゃう!」


「わっ」


フタ、フタ!


あっつーーーーー!


ガランッ。


グシャッ。


「ギャーーーーー!」


と。


あたしは、戦場のようなキッチンで奮闘し続け。


そして2時間後。



「で……できたぁ!!」



悪戦苦闘の末、あたしのスペシャルサンドイッチがようやく完成したのであった。


つ、疲れた………。


でも、なんとかできたぜ!


果てしなく疲れたけど、なんていうか……この素晴らしい達成感!


そんなあたし作のサンドイッチ。


どんなサンドイッチかというと。


まずはジャムサンド。


イチゴ、ブルーベリー、マーマレードの3種類。


まぁ、ここはジャムを塗ってサンドするだけだから問題なしだよな。


そして、問題はえらく苦労したこっからだよ。


卵サンドにハムチーズサンド、そしていちばんの難関だった照り焼きチキンサンド。


それと、あったかい汁物もってことで、コーンたっぷりのあったかコーンスープ。


うおおっ。


改めて見てみると、我ながらかなり美味しそうにできたじゃん!


「バッチリうまくできたじゃない、ひかる」


有理絵がにっこり笑った。


「ありがとう!有理絵のおかげだよ〜」


あたしが涙ながらに言うと。


「ううん。あたしは横から口出してただけ。ひかるが全部やったんだよ」


うっ。


なんかすごい嬉しいよ。


こんなあたしでも、がんばってやればちゃんとできるんだなぁ。


バンザーイ!


と、喜ぶのはまだ早い。


果たして美味にできたのか。


みんなに味を見てもらわねば。



「おまたせーーーっ」


どんっ。


大皿に乗ったサンドイッチの山をテーブルに置いた。


ちょうどお昼時。


みんなもお腹が空いてるハズ。


「わー。すごいじゃん!ひかる」


「めっちゃ美味しそう!ホントにひかるが作ったの?有理絵じゃなくて?」


「あの、恐ろしいほど危なっかしく騒々しい料理現場から完成したサンドイッチだとは思えないくらいのキレイで美味しそうなサンドイッチじゃーん」


「失礼だな。ちゃんとあたしが作りました!そりゃあ、めちゃめちゃ失敗もしたし、有理絵に手伝ってもらいながらだけどさ。でも!全力でがんばったぞ」


「わかってるって。ひかる、ホントにがんばったよ。よくやったよ。つまりは、有理絵が作ったって思うくらい、上手で美味しそうにできてるってことよ」


「なるほど。ありがとう」


うむ、見た目はなかなかの高評価だぞ。


さて、気になるお味はいかほどか。


「食べてみてくれよ。あっ。まずは、あたしが人生初で味付けしたおかず系のサンドイッチからで……」


ドキドキドキドキ。


「OK。じゃ、いただきまーす」


みんなが一斉にサンドイッチを手に取った。


そして。


パクン。


緊張。


どうよ、どうよ。



「んっ。美味しい。美味しいよ!ひかるっ」



驚いたような明るい声が聴こえてきた。


美味しそうにモリモリ食べてくれるみんな。


「この照り焼きチキン、めっちゃうまいんだけど!これ、ホントにひかるが作ったの?」


「お、おう!」


「めちゃめちゃ美味しいよ。肉も柔らかいし、味付けもサイコー。うん、スープもうまい!」


「やるねー。ひかる」


「ホ、ホント?」


あたしが作ったサンドイッチ。


ホントにそんなに美味しい?


「ホント!実は正直あんまり期待してなかったんだけど。これならバッチリ!桜庭も喜ぶこと間違いなしだよ」


さとみもマヤも景子も、揃ってグッジョブのサイン。


「やったね、ひかる。大成功じゃん」


有理絵が笑顔でピースサイン。



や、やったーーーー!



人生初の試み。


ひかる特製、スペシャルサンドイッチ。


大成功っ。


バンザーーイ!!




「ひかる、あとでまた買い出し行かなきゃね」


「うん!」


これで、明日の差し入れもOKだぜ。


ってなわけで。



あたしは、有理絵やみんなのおかげで自信をもらい。


明日の桜庭への差し入れ作りに向けて、更なる気合いを入れて準備に取りかかったんだ。











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