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シャイニング・ガール   作者: 花奈よりこ
10/59

誤解カップル


「えーーーっ?告白されたぁっ⁉︎」




次の日。


有理絵の高い声が、休み時間の教室に響いた。


「しっ!声がデカイっつーの!」


あたしは慌てて有理絵の口を押さえた。


昨日の出来事を有理絵に話そうと、有理絵の席にやってきたのだ。


「ごめん、ごめん」


有理絵が慌てて小声になって聞いてきた。


「昨日の、あのジュース買いに行ってた時に告白されたってわけ?それでなかなか戻って来なかったっのねぇ。でも、なんでその時教えてくれなかったのよー」


「いや、ちょっとなかなかいろいろあってさ。教室までの道のりだけではちょっと話しきれない内容でさ。みんなもいたし、ほら、また健太の耳にでも入ったらこれまた面倒だろ?で、とりあえず有理絵にだけ話そうとと思って」


「なるほどね。で、その一件はどうまとまったわけ?いろいろって?」


「それがさーーー……」


話出そうとしたその時、健太がやってきた。



「よぉ、今日は中坊じゃないじゃん」


いつもの悪ガキ面で、あたしと有理絵が座ってる席の近くの机の上にピョンと座る。


「ホントはけっこう好評価だったんだろ。残念だったな、今日はその中坊じゃなくて」


「バーカ。ところで、その後どうだ。おまえのファンとかいうヤツらは」


「昨日はまたラブレター入ってたんだけど、今日はひとつもなし!」


ネクタイをピシッと直しながら胸を張って言うと。


「って。喜んでられないんじゃないの?ひかる。ラブレターよりももっと刺激的じゃん」


「有理絵っ。なんで言うかなっ」


頬杖ついてる有理絵がニヤッと笑ってぺっと舌を出すと、それを見た健太がガバッとこっちを向いた。


「ラブレターより刺激的って。おまえ、まさかまた直接告白されたのかっ?」


「ああ、もぉー。大声出すなよっ。そしてあたしを責めるなっ。あたしだって、されたくてされてるわけじゃないもん」


「で、誰にだよ」


「小林ゆきちゃん。ジンがカワイイって騒いでた子よ」


あたしに代わって有理絵が答えた。


「マジ⁉︎あの、ひと言〝好きです〟のラブレターの子⁉︎マジかぁ……」


健太が呆れたような、半ば気の毒そうな顔であたしを見る。


「なんだよっ。しょうがないじゃん。されちゃったんだもん」


あーあ、これが男からの告白だったらなんの問題もないのに。


むしろ嬉しいのに。


「あーーーっ。もう!」


ぐしゃぐしゃぐしゃっ。


「ひかる、頭ぐしゃぐしゃしないのっ」


あたしが髪の毛をぐしゃぐしゃ引っ掻き回していると。


「おい。なんかあっち騒がしくねー?」


健太が廊下の方を指差す。


「騒がしい?」


あ、ホントだ。


見ると、女子達ヒソヒソがキャーキャー騒いでる。


と、思ったとたん。




ガラッ。


教室のドアが勢いよく開いて、さとみとマヤが駆け込んできたんだ。


「なにごと?」


「さぁ」


有理絵と首を傾げていると。


2人が机の間をぬって、こっちに向かって走り寄ってきたの。


そして。



「ひかる!!」


ガタンッ。


さとみとマヤが、机にぶつかりながら、息を切らしてあたしの前に立ちはだかったんだ。


「ど、どーしたんだよ」


みんなの視線があたし達に集中してる。


そんな中、荒い息のマヤがごくんとツバを飲み込んで口を開いたんだ。



「ひかるっ。桜庭とつき合ってるって、ホントなのっ⁉︎」



え。


一瞬の沈黙のあと。


たちまち教室中が騒ぎ立った。


「マジーーー?」


「ウソ、立花と桜庭がっ?」


「ヒューヒュー」


指笛まで聞こえ出す始末。


おいおい!ちょっと待てっ。


「ひかる、ホントなのっ⁉︎」


「おいっ。聞いてねーぞ、そんな話」


有理絵と健太があたしの肩をつかむ。


「ち、違うって。つき合ってないよ!」


と、いう声も、みんなの大騒ぎでかき消され。


「ひかるっ。ちゃんと教えてっ」


詰め寄るさとみとマヤ。


ちょっと待ってくれよーーーーっ。


一体どっからそんなでたらめな噂がっ。


「……あ!」


も、もしかして、昨日の〝あれ〟ーーー?




ガタンッ。


あたしは思わず立ち上がってしまった。


ヤバいっ。


誰かがそれを見て勘違いしたんだ。


サーーーー。


みるみる血の気が引いていく。


ど、どうしよう、この騒ぎっ。


っていうか、桜庭にすごい迷惑かけちゃう!


パッと後ろを振り向くと、いつもの席に桜庭の姿。


そして案の定、既にクラスの男子達にやいのやいのとこずかれまくってる。


あたしは青ざめた。


た、大変だ………。


早く誤解を解かなければっ!


慌てて声を張り上げる。


「ち、違うんだよ!だから、そのっ………。あたしが桜庭のことを彼氏と言って、つき合ってると言ったのは、つまりっ……!」


あたしが必死に説明しようとしている側から。


「おお!立花から『彼氏』出ました!よっ」


「『つき合ってる』もいただきましたっ。ごっつあんです!ラブラブー」


クラスの聞く耳持たないお調子者の男子達がはやし立てて、またまた教室中大騒ぎ。


だからっ!違うんだってばーーーー!


ジダンダ踏みながら、思わず桜庭の方向くと。


パチ。


目と目が合ってしまった。


なんか言ってる。


え?なに?バ、カ……?


そう口パクで呟いた桜庭は、頬杖ついて知らん顔しながら、みんなの言葉もスルーしてる。


廊下の方から、他のクラスの女子達が騒いでるのうっすらが聞こえてきた。



「ウソー。ショックー」


「桜庭くんって、彼女いたのぉ?」


「彼女って誰?誰?」



ど、どうしよう。


なんかえらい騒ぎになってる……。


まさかこんなことになっちゃうなんて。


桜庭がこんなにも人気者だったなんて。


『違うんだよ、その噂は勘違いで。ホントは……』


かくかくしかじか……こういうわけで。


ーーーそう、みんなに説明しようと思ったあたしだったんだけど、出かけた言葉にブレーキがかかった。


だって。


考えてみたら、昨日のことには小林ゆきちゃんが関係してるから。


もしあたしが誤解を解くために、昨日あの子に告白されたことをみんなに話したら。


きっとそれもまたまた噂で広がるだろう。


しかも、ことがことだけに彼女を傷つけてしまうかもしれない。


きっと桜庭は、彼女とあたし、両方の気落ちを考えてくれて、あえてなにも言わずにいてくれてるんだ。


ホントは違うんだって、桜庭だって言いたいハズなのに。


昨日のこと、誰にも話さず黙っててくれてる。


冷やかされて、誤解されて。


イヤなハズなのに。


……あたしのせいだ。


桜庭にすごい迷惑かけてる。


迷惑、かけてるーーーーー。



そう思ったら。


あたしはいてもたってもいられなくなったんだ。


やいのやいのと質問ぜめにあってる桜庭。


……助けなきゃ。


あたしのせいで、こんなっ。


助けなきゃ、桜庭を!!


そして謝らなきゃ!!


そう思った瞬間。


あたしは、騒ぎ立つみんなの間をすり抜け。


「桜庭、こっち!」


アイツの手をつかんで教室を飛び出し。


そのまま屋上へと駆け上がって行ったんだ。


そして屋上に着くなり、あたしは思いっ切り桜庭に謝ったんだ。



「ごめん、桜庭っ。あたしのせいで、変な誤解を招いて変な騒ぎになっちゃって……。迷惑かけてごめん。ごめんっ!」


ぎゅっと目を閉じたまま、あたしは90度に頭を下げた。


「おい、頭に血ィのぼるぜ」


桜庭の声。


ちょっとぶっきらぼうな言い方だったけど、明らかに優しい口調だった。


「……怒ってないのか?」


あたしは静かに顔を上げた。


「怒ってなんかねーよ。でも、なんで屋上?」


「え、だって。桜庭、みんなにギャーギャー言われてたから。昨日のこと……ことがことだから。たぶん言いづらくて言えなくて困ってると思って。そしたら、助けなきゃと思って。ちゃんと謝りたかったし。でも、みんな勝手に騒いでて全然収拾つかないからーーー。とりあえずこの場から脱出しなきゃと思って………」


「なるほど。でも、今のでいっそう盛り上がってんじゃねーの?」


「え」


ハタと気づけば。


あの状況の中から、2人で教室を飛び出すなんて。


まさに火に油を注いでるようなもんじゃないかっ。



ぎゃーーー!!



またしてもあたしの顔は一瞬にして青ざめた。







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