第90話 蛇から隠れることはできないことをしろう
「こんなところにモンスターがいるわけがない」
慌てたたように、ミカンちゃんが呟いた。
「いるにしろ、いないにしろ、
この場からは、急いで、離れよう
確認はあとだ。」
「そうですね」
僕とミカンちゃんは、目配せをしながら、
ムラサキさんの両手をもち、早足で歩きだした。
「お姉ちゃん、もっと、ちゃんと歩いて!」
口調をきつくいい始めたところで、
阿鼻叫喚が後ろで、あったとは思えないほどの
静寂が広がっていった。
僕はゆっくり後ろを振り向くと、
20軒以上に先のほうで、
蛇が頭をあげて、赤い目であたりをみまわしていた。
遠目からでも、
頭の位置が、平屋より高くにあり、総長は、6メートル以上あるだろう。
太さは、僕のお腹よりも大きそうだ。
〈こいつはやばい〉
僕はがくがく震えながら、リイナにいった。
〈これは、まずいわね。気づかれないように、
静かに逃げた方がよさそうね。〉
僕は、声をださずに、みかんちゃんに目配せをしながら、
ゆっくり、後ろに歩き始めた。
しかし、木製でつくられている橋は、
一歩歩くごとに、音がなってしまう。
こちらが離れるより、向こうが使づいてくる音が早く聞こえてきた。
このままでは、逃げ切きることは、できなさそうだ。
決断は迫られていた。
僕は覚悟を決めると、
数歩進んだところにある、
木箱の裏に隠れることにした。
ミカンちゃんに、サバンナさんのところに向かうように指示を出して、
僕は、魔法の布をあたまから、
かぶると、中にムラサキさんをいれた。
〈これで、視覚はだませると思うから、
早く、冒険者さんを呼んできて〉
僕は、頭だけだして、小声でミカンちゃんを見つめた。
不服そうな顔でこちらをみたが、決意を決めると、
〈わかりました。絶対に無茶はしないでくださいね〉
小声ながらもきつい口調だったミカンちゃんは、
ゆっくり、忍び足で、入り口に向かっていった。
〈ヒビキ、よくないっていうか、状況は、悪くなる一方ね。
ゆっくりこっちに向かってきてるわ〉
絶望的な内容が、僕に聞こえてきた。
僕は来るな、来ないで、と神様に祈りながら、
ムラサキさんを覗きこんだ。
彼女は、布と横になったことで、
眠りにはいったようだ、寝顔はとてもかわいい。
現実逃避にずっと見ていたい。
〈もう、間もなく、来るわ!〉
現実に戻った僕は、布ごしに、曲り角をみた。
巨大蛇が、こちらを見たかと思ったら、目が光始めた。
一瞬で僕は、布から通してあたりを見ることはできなくなった。
魔法の布は、ただの石になったからだ。
やばい、ばれてる。
ただの石になってる布を全力でどかすと、
眼と鼻の先、わずか3メートル先で、蛇がこちらを見つめていた。
絶望を感じながら、ムラサキさんに多い被ると、
彼女が石にならなければ
いいなとだけ、願った。
そして、あたりには、
ゴトっ
といった音が広がった。




