第87話 体のありかを聞いてみよう
「おじゃまします」
ムラサキさんが、私服に着替えてやってきた。
「リイナさん、こんばんは。
およばれしちゃいました」
嬉しげにこちらを向いてる。
「こっちが、キャロットさん。
ここの支配人で、クロムさんの同級生だって」
僕は、彼女に紹介した。
「初めまして、妹がお世話になってます。
今日は、よろしくお願いします。
ムラサキと申します」
丁寧に頭をさげながら、自己紹介をした。
キャロットさんは、熱くなったのか、
上着を脱ぎ捨てて、
ケイに白ワインを4杯注文した。
ムラサキさんから、視線が奪われてしまう。
胸の形がより一層強調されて、目の保養にいい。
「いらっしゃい。
よろしくねぇ~」
すでに呂律がおかしくなってる。
ケイからグラスを二つ、うけとり、
一つを彼女に手渡した。
〈〈〈乾杯!!〉〉〉
僕とキャロットさんとムラサキさんの
三人でグラスをならした。
僕とムラサキさんは、一口のみ、
席に座った。
一気飲みをしたキャロットさんは、
再度ケイさんに注文し、
新しくやってきた、お酒に口をつけている。
一口おかずをたべ、テーブルをみまわすと、
グロッキーのミカンちゃんと
間もなく、グロッキーになるであろう
顔色の悪そうなムラサキさんがいた。
とりあえず、これなら、僕の体のことを
聞いても問題ないと判断し、
キャロットさんの横に席を移動した。
「キャロットさん、
相談があるんですか?」
僕は、ケイさんに聞こえない程度に、声をかけた。
「なに、ヒビキくん」
完全に目が座っている。
さらに、グラスにあったワインをぐいっと一口、飲んでから、
「なんでも、お姉さんに聞きなさ~い」
こちらを振り向きながら、
笑顔で、空いたグラスを振りながら、ケイさんに催促をしている。
僕の体がどこにあるか、
・
・
判りますか?」
僕は、タメをつくりながら、
一言づつゆっくり、発言した。
彼女は、考えた感じをしながら、一口のむと、口を開いた。
「そうねぇ。
判んないわね。
ただ、推測はできるわ。
あたってると思うけど。
転移は、聖都の大神殿にあるといわれる秘境の間。
正式な名前は、知んないけど。
奥とか、地下とか、聖なるとか、別の建物とか、
とも、いわれてるけど、
そこで、おこなわれるって噂よ。〉
空になったグラスに再度口をつけたが、
入っていないため、
不満げに、グラスを見つめている。
「そこに・・・」
僕が質問をしようとしたときに、
「ふぅ。
まぁ、そこにはまずないわね。」
質問はさせてくれず、話をさえぎった。
「クロムの手紙から、察するに、
たぶん、あなたの体は、看護されてると思われるわね、
シスターたちによって。
なんてたって、大陸で数少ない男性転移者ですもの、
されない可能性はないわね。
う~ん
場所はねぇ。
大神殿の一角に、
大きな建物があって、
そこに病人が看護されてるわ、だいたい。
きっと、あなたの体はそこあると思うわ。
同じような部屋はいくつかあるから、
その中のどれかわ、流石に判らないわね〉
新しく、やってきたワインを飲みながら、
満足げに教えてくれた。
「助かりました。
これで、どこ・・」
僕の会話をまたさえぎった。
「いいのよ、
分かんないっていっても、
確率が高いのが、2か所。
建物の3Fにある、特別待遇室。
地下にある隔離室。そこは、鍵がかかってるドアがあるって話。
後は、最上階、管理者のとなりにある、
特別室もあやしいかもしれないわね」
言い切って、満足したのか、
きたばっかりのお酒を一気に飲み干した。
結果、三か所か。
〈どう思う?〉
〈行ってみないとわからないわね、
聖都以外にいまのところ、行くあてもないし、
オリビアさんの手紙もらったら、
素直に従ってみるしかないわね。
とりあえず、話をして正解だったわね〉
従った方がいいのかな。
僕は、結論のでない事柄を考えながら、あたりを見回した。
キャロットさんから離れると、
下をうつむいてる双子をみて
水さしをケイさんに注文した。




