第86話 綺麗なお姉さんとお酒をいただこう
「お願いがあるんですが、
キャロットさんと一緒にご飯が食べたいです。
お願いできませんか?」
事情をどこまで知っているか
聞き出す必要があるかもしれない、
僕は、キャロットさんにお願いした。
「お客様のご要望とあらば、
判りました。
同伴させていただきます。」
こちらに一礼をいたかと思うと
ボーイの方に、振り返った。
「リイナ様の温情により、
他の部屋を使ってよいお許しがでましたので、
副支配人に言って、来店してもらいなさい。
他のボーイは、副支配人の指示に従って
接客すること。
ケイ、ここのボーイはあなたに任すわ、
他は、今の内容を副支配人に伝えて、
料理を開始してもらうように。」
話を聞いたそれぞれのボーイは、部屋から出ていった。
〈なんで、キャロットさんと、ご飯がたべたかったの?〉
〈キャロットさんは、僕の名前を言い当てたんだよ。
この街で話したは、クロムさんとオリビアさんだけだし、
さっきの会話だと、クロムさんの手紙だよね。
知ってる人が増えたんなら、
相談にのってもらえるじゃないか。〉
〈そうなのね。なんかいい案がでるといいわね〉
どうやら、言い訳が納得してもらえたようだ。
決して、この街でみた中で、一番のおっぱいだから、なんて言えない。
今後のびてくるミカンちゃんも捨てがたいが、
今が大事だよね、今が。
〈おい〉
殺気を帯びた声が聞こえてきたが
怖くて、みることはできなかった。
外をみると、夕日が沈みかけていた、
バルコニーをでて、沈む夕日をみながら、
「綺麗だな」と呟き、
現実から逃避した。
「そうですね、
この時期の夕日は、格段に綺麗ですね
ミカンちゃんが同意してくれてる。
とても、リイナに殺されかけてるとは思っていないだろう。
「さぁ、さぁ、お二人とも座ってください。
食前酒は、はちみつにつけた梅酒です。
ミカンさんは、はちみつのジュースでいいですわね。」
意地悪そうな目をキャロットさんは、しながらつぶやいた。
「いえ、同じもので結構です!」
強めの口調で返した。
キャロットさんは、嬉しそうに、
料理をはこんでいるケイに注文した。
「じゃ、三つお願いね」
ケイは、同意すると部屋からで出て、
すぐに、グラスを3杯もって、帰ってきた
入れ替わりに、いろんなボーイが料理を運んできて、
テーブルには、すでに40種類以上の
食べ物がならんでいた。
一口づつたべても、食べきれないことは、明白だった。
テーブルの中央には、ミカンちゃんの頭よりも大きいエビの頭が鎮座しており、
親指大にぶつ切りにされたエビの身が置いてあった
一人一人のテーブルには、大胆にカニが一杯おいてあった。
繊細とは無縁の豪快な料理が、
まだまだ、所狭しと置かれていった。
料理の種類も、煮物・揚げ物・蒸し物・焼き物・刺身など、
同じ種類の調理法もあったりと、なんでもありの状態だ。
運び途中だが、
僕らは、乾杯し、いただいたお酒を一気に飲み干す。
梅のいい香りと、甘めのはちみつで、いくらでも、飲み続けられそうだ。
テーブルを見回すと、4人目の席も作られていることから、
ムラサキさんが来ることは、調整できていると思われる。
「ふふふ、
クロムとは、学校の同級生なんですよ。
学校にいたころは、
1・2を争ってました、いろんなことで」
乾杯後、空白の時間があったことで
話題をだしてくれたようだ。
「クロム様は、どんな感じでした?」
ミカンちゃんの質問を聞きながら、
ケイにワインの注文をだした。
「あの子は、真面目だったわね、
少し硬すぎるのが、問題だったわね。
サバンナさんにもまれたことで、
大分丸くなったわね。
校内では、生まれ変わりのオリビアと影でいわれてたわね。」
手元にあった赤ワインをぐいっと飲み切った。
「今は、オリビアさんに比べると
物腰が柔らかくなりましたね。」
僕は、同意をした。彼女は、三杯目をのみながら、話を聞いていた。
キャロットさんは、
驚くほどのペースで飲んでいる。
そんなことを考えていると、
ドアを叩く音が聞こえた。




