第80話 クエストが発注したことをしろう
少し待っていると、
ミカンちゃんが戻ってきた。
「どう、分かってわかってもらえた?」
「初めてのことだったので、
時間がかかるかと思ったんですが、
すんなり、受け入れてもらえました」
嬉しそうにこちらをみた。
「それでなんですが、姉も夜、一緒にご飯を食べたいって言ってたんですが、
よいでしょうか?」
「駄目・・・」
ミカンちゃんは、返事を予測すると、少し悲しそうな顔を浮かべて、こちらをみた。
「判りました、姉に断ってきます」
意を決すると、彼女は、ギルドの方に態勢を向きなおした。
「・・なわけがない」
彼女は、怒りながらこちらをみた。
「クロムさんみたいな、意地悪しないでください。
怒りますよ」
すでに口をとがらせながら怒っているが、
その顔が愛らしい。
クロムさんが意地悪するのもよくわかる。
「ごめんなさい。許して、ミカン」
僕は、頭をさげた。
〈ヒビキは、最低ね〉
上空で、冷たい視線を僕に向けている。
「いいですよ、クロムさんで慣れっこですし、
こんなことでも、対応できるように鍛えなきゃいけないですしね」
笑顔をみせてから、ウインクをした。
「ギルドは、朝に来てると思うので、
歩きながら、通過するまでの短い時間で、説明します。」
彼女は、混雑している入り口を後目に、
ギルドの建物を回り込むように歩き始めた。
「そういえば、中にはいったとき、
デッドリースパイダーが、
祭り価格報酬みたいな金額でクエストがでたって、言ってました。
上級者の冒険者パーティーは、
我先にと向かっていった、って姉は、言ってましたね。」
「そんなに高額なの?」」
「金貨1枚っていってましたね。
通常、大銀貨一枚くらいですから、10倍ですね。
祭りで村人や市民が多く向かってるので、
早めに退治したいみたいです。
犠牲者をなるべく少なくしたいんでしょう」
僕としては、金貨一枚で対峙といわれても、
二度あいたくないけど、
退治なんて、当然できないけど。




