第70話 逃げられないと思ったら覚悟をきめよう
オリビアさんに付き従って歩いているのだけれど、、
空気が非常にきまずい。
歩きながら、質問することにした。
「何の候補生なんですか?」
彼女は、振り向きをせずに、
「数年後には、大司教。
この教会の一番上にするつもりです。」
「この町のってことでしょうか?」
彼女は、振り向きをせずに、呆れたような口調で返答した
「違いますよ、
清龍教会の一番上ですね、数千人いるシスターの
トップということです」
「ふぇぇ」
思わず、驚いて、変な声がでた。
「そんな凄い人なんですね、クロエさん」
「まぁ、彼女の素質があれば、修行することで勤まるでしょう。
伊達に、大陸一の都市で、相談役のまとめを行っているわけではないんですよ。
ちなみに、自慢ではないですが、
十年以上前は、私も、大司教でしたのよ」
今まで一番、親しみやすい声でそういった。
少し、嬉しげだ。
「セブンオールになるには、
大司教経験者でないとなれないのよ。
といっても、もう、7人じゃなくて、10名以上も、大司教経験者はいるし、
平均年齢がどんどん若くなってるわね。」
オリビアは、愚痴とも思えない口調で説明し、
階段を登り始めた。
「階段は急だから、気をつけなさい」
「ありがとうございます」
僕は、急にやさしくなった、オリビアさんを前に、
質問してよかった、と心底思った。
階段を登り終わると、幾つか個室があり、
廊下の突き当りが、彼女の部屋だった。
彼女の書斎は、綺麗に纏まっており、
書棚には、本が多数並んでいた。
直ぐに、机に彼女は座ると、
対面にある椅子に僕は座らせられた。
「さて、話を伺いましょう。
あなたがどうして、女性の姿でいるのか。
一通りの話をききましたら、
この島にかけられた
呪いについて説明いたします」
僕は、話が長くなる覚悟を決めると、
この島にきた当初から、呪いなど、
包み隠さずに、話をすることに決めた。




