第69話 クロムさんに事情を説明してみよう
僕は、一生懸命憑依の話をした。
話が半分くらい進んだころは、
信じてもらえてなく、
なんだ、こいつ?
みたいな表情だったが、
小一時間ほど、体験をふまえて
会話したところ、考えだしはじめ
理解をしてくれているようだった。
〈よかったわね、
理解してもらえたわ〉
リイナは、隣で、あくびをしていた。
「話は伺いましたが、
どこから、話していいか・・・
どこまで、信じていいか・・・
なにせ、初めて聞くことですので・・・」
そう言いながら、考えているようだった。
トントン
ドアを叩く音が聞こえた
「クロム、
この前、相談の時に持ってきた、資料だけど、
これでいいわ、後は進めてくれて結構よ。」
ドアをあけながら、気難しそうな人が入ってきた。
「ありがとうございます、オリビア様。
助かりました。」
資料をオリビアから受け取り、確認をしないまま机の上に置いた。
硬い表情だったのが、和らいでいくのが判った。
「こちらは、ヒビキ様という男性の冒険者様です。
こちらは、教会をとりしきっている一人で、セブンズオールのオリビア様です。
全てを教えていただけると思います。」
オリビアさんは、頭から足までをよく観察し
「大体の状況は、判りました。
詳細を聞かないといけないようですね。
私の部屋で聞きますので、
付いて来て下さい。」
そういって、難しい表情を浮かべながら、ドアを開けた。
「クロム、この件は、私の方で対処しますから、
市長の件、あなたのやりたいようにしなさい」
「はい、ありがとうございます。」
「来年以降は、あなたも候補生になるのだから、
今後は、説明する覚悟はしておきなさいね」
「はい、わかりました。ヒビキ様の件、よろしくお願いします」
後ろで、クロムさんは、深々と頭をさげて僕らを見送った。




