第66話 勇気をだして声をかけてみよう。
教会に進みにつれて、
露天が減り、あわせて商店も減っていった。
同じように人通りもへったが、割合では冒険者の方が多くへっていき、
町の人が多くなっているようだ。
〈ようやく歩きやすくなってきたね〉
〈ええ、人が蟻のようだったわね〉
上空から観察するだけのリイナがうらやましい。
教会の方にいくにつれて、
あれほど混雑していたのが
嘘のようにまばらになって行った。
それでも、村のときの何倍も
人が往復しているんだけど。
間もなく、到着するが、遠目からでも、
シスターも右往左往しており、
誰かに声をかけるか、
悩んでいた。
教会に到着すると、
正面から、一人のシスターが走ってきた。
シスターの恰好をしたムラサキさんだ。
思わず、
「ムラサキさん、ギルドはどうしたんです?」
僕は、不思議そうに声をかけた。
「私は、ムラサキではありません。
ミカンといいます。
ムラサキは、姉です!」
怒り口調を隠さないで、
僕に告げた。
姉にしても、年恰好がそっくりだ。コスプレにしか見えない。
「すみません、
ギルドで、ムラサキさんに、
よくしてもらって。
あまりにも、似ているので、
こっちの手伝いをしているのかと」
僕は、瓜二つの彼女に、そう答えた。
「よく、声をかけられるので、
慣れっこですが、私たちは、双子ですので、
よく似てるんです。
私には、口元にほくろがあるので、
これで、見分けてくださいね」
彼女は、口元に指を指した。
「わかりました。
間違えて、ごめんなさい。
呪いのことで、相談したいのですが、
どなたに聞けばよいでしょう」
「まぁ、いいです。
クロムさん 私の上長を紹介しますから、
ついてきてください。
この教会の相談のまとめ役です、
こまったら、クロムさんに
相談すると、物事が前に進みます。」
ふふふと笑いそうな、
笑顔をこめながら、建物の中にはいっていった。
その笑いにどんな意味があるのかはだんだんできなかったが、
僕も、後ろからはぐれないように、
歩いて行った。




