第63話 ムラサキさんと会話をしてみよう
「ところで、声をかけたときから気になってたんですが、
背中の服に穴が開いてますが、
どうか、されました?」
〈リイナ、空いてる?〉
〈確かに、指一本分くらいの穴が開いてて
素肌が見えてるわね〉
リイナは、驚きの口調で教えてくれた。
「たぶん、蜘蛛に攻撃されたんだと思います」
僕は、村から、ハインテの町までくるまでの道中を話した。
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「背中に赤い星だと、デッドリースパイダーですよ、
しかも、人の大きさだと、ジャイアントじゃないですか。
上級冒険者のパーティじゃないと、倒せませんよ。
山中ですと、発見も難しいでしょうし、
退治はやっかいですね。
とはいえ、村人が見かけたら、
生きては、帰してもらえませんでしょうし、
これまで、報告例がなかったのは、そのせいかもしれませんね。
急いで、クエストを発行しないといけませんね」
くわしく知りたくはなかった、恐ろしい発言を、淡々と教えてくれた。
「リイナさんは、一撃食らって生きてるのが、不思議なぐらいです。
一撃で強烈な麻痺で痺らせる、先制攻撃をするみたいですから、
麻痺を直せれるようなパーティでも、全滅する可能性があると
言われてます。」
もしかして、最初のちくっとしたのは、それかな、
それにしても、人指大の穴ができるぐらいの攻撃って
普通死んじゃうんじゃないの。
もし、麻痺ってたら、丸のみされるのかな。
シャルルさんのところで、状態異常耐性の指輪が解呪されてなかったら、
ここには、これてなかったな。
とりあえず、説明しないと、
「村で、状態異常耐性強化のリングになりまして。」
「なりましてとは?どういったことでしょう?」
ムラサキさんは、はてなって顔をしている。
僕は、呪いの解呪や、呪いの話を
ムラサキさんに相談した。
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「ここにも、呪いを解呪したいって話は、
結構くるんですよ、
商売人や、ダンジョン産のアイテムをもってくる冒険者が
多いですから」
どうやら、リイナだけではなかったようだ。
「大抵のものは、教会の解呪で
問題なく、解呪できる聞きます。
解呪用の専門アイテムもあるんですが、シスターさんよりは、
割高ですし、複数使うってことがないので、教会での解呪をこちらでも、お勧めしています。」
そうか、アイテムもあるけど、
やっぱり、まずは教会なのかな。
「教会で解呪できないって話も、やっぱり聞くんですが、
それだと、こっちでもわからないです、ごめんなさいっていって、帰しちゃいます。」
ムラサキさんは、悪びれることもなく、舌をぺろっとだした。
「残念ながら、この町のギルドと教会では、
リイナさんのご要望には、応えられないと思います。
ハインテの町の教会より大きいですが、解呪に差はないといわれてます。
可能性があるとすると、西にある聖都 エイトビじゃないでしょうか。
清流教会の本拠地があるところです。
あそこは、総本山ですから、何か別の方法を知っていると聞いたことがあります。」
なるほど、
相談してよかった、聞きたいことと
次の目的地は、わかったかな。
「ありがとう。その聖都には、どうやって向かえばいいの?」
「はぁ。むしろ、リイナさんが、どうやって、この都市に来たか
聞きたいくらい。
この島では、エイトビ→ハインテ→サウゲト→スロリブ→エイトビの順で、
荷馬車や乗合馬車がまわってるんですよ。
スロリブから、真下に向かってくる人なんて聞いたことがありません。」
少しあきれた口調になって、思い直したのかまた、説明をしだした。
「歩くのが苦手な方は、乗合馬車でぐるっとまわります。
この町、ハインテから、エイトビへの馬車はありませんから、
徒歩で向かうことになります。
移動時間を考えると、グルット乗合馬車でいくより、徒歩のほうが早いですよ」
ムラサキさんが笑顔にもどると、やさしい口調で教えてくれた。
「なるほど、わかりました。
今日は、町で泊って、
明日、出発しようかな〉
独り言のように呟いた。
「あと一週間もすれば、祭りが始まりますから、
見ていくといいですよ、花火とかが一週間つづいて、とても賑やかですし、綺麗です。」
そういえば、シャルルさんも、言ってた気がする。
「あと二つほど、話したいことがあります。
泊るところですが、陸上は、すでに、埋まってると思いますので、
水上がいいと思いますよ」
何のことをいってるのか、僕には、ぴんとこなかった。




