第62話 ギルド職員さんに付いて行ってみよう
僕は、建物を確認することなく、人ごみにまみれながら中に入ってみた。
あたりを見回すと、中は、ホールになっていた。
外よりは空いていたが、やはり混雑しており、周りの冒険者は音量を気にせず、
好き勝手に会話をしている。。
しばらく見ていると、共通のメイド服をきた女性が、
カウンターにいたり、
ホールで、冒険者と話していたり、
あっちこっちに走っていたりしていた。
〈あれが、職員さんかな〉
〈そうね、結構な人数がいるわね。それにしても、忙しそうだわ〉
〈リイナ、どうしよう。
カウンターは、冒険者で溢れかえってるし、
走り回っている職員さんに、相談できそうな雰囲気じゃないし、
先に、教会でもいい?〉
もはや、ここに戻ってくる気はないが、
そこは伏せて、リイナに相談してみた。
〈仕方ないわね、教会を探してみましょう。
そっちが空いてるかもしれないしね〉
上空から見ていても、雰囲気が察せれるんだから、
話しかけるなんて、難しいミッションなんだろうな。
僕は、諦めて、後ろを振り返ると、きた道と同じ道をに帰り始めた。
とんとん。
僕は、不意に肩をたたかれて、振り返ってみた。
そこには、誰もいなかった。
いや、頭一つちいさい、
書類を持った可愛らしいメイドさんが、
こちらをみていた。
「どうされました?
何か、御用でしょうか?」
どうやら、ここのギルド職員みたいだ。
「ちょっと、相談があって、聞いてほしいんですけど・・・」
僕より少し背の低い職員さんは、
声にだしながら、考えてるみたいだ。
「ギルド長は・・・お偉いさんと打ち合わせ中だったし、
副ギルドは、お出かけ中。
受付長は、カウンターでいっぱいいっぱいだし。
ちょっと、今日っていうか、祭りが終わるまでは、
無理だと思います。
お偉いさんへの相談は、
一か月は、先になると思いますよ。」
特に表情をくずさず、たんたんと教えてくれる。
「そうですか、わかりました。
教会にいって、相談してみます」
僕は、ありがとうを言おうとしたそのとき、
「私でよければ、話ぐらいは聞きますが、
どうでしょう?」
「ぜひ、お願いします」
僕は、提案に、即断でお願いした。
彼女の船頭のもと、
人をかきわて、階段のある奥に向かっていった。
「ここは、人が多いので、
2階のテーブル席で、話を伺います。」
「はい、お願いします」
階段を登りおわると、あたりを伺ってみた。
2階も冒険者が、ちらりほらりといたが、
1階とは違って、溢れかえっては、いなかった。
「一階は、クエストの受注だったり、報告だったりで、
混雑してるんですよ、特に人が多く集まる祭りが近くなると、
いつもあんな感じですね」
「そうなんですか、人が多くいて、びっくりしました。」
「普通に話されて、かまいませんよ。
大体冒険者さんは、そうですから。
名乗りが遅れまして、すみません。
ギルド職員見習いのムラサキと申します。
今は、見習いですけど、
来年には、絶対ギルド職員になります!」
最後は、こぶしを握り締めて、夢を語ってた。
「僕は、ヒビ・・」
「違うでしょ、リイナで、名乗りなさいよ」
上空から事の成り行きを見守っていたリイナがくい気味に口を挿さんだ。
「リイナといいます」
「ヒビリイナさんですか、よろしくお願いします」
ムラサキさんは、頭を下げた。
「リイナです、リイナでお願いします」
だめだ、敬語は、やめられないかもしれない。




