第59話 死亡フラグをたててみよう
旅は順調だ。
こっちの生活も少し慣れたのかもしれない。
〈おはよう、リイナ〉
〈おはよう、ヒビキ〉
挨拶をすると、すぐに返事が返ってきた
このやり取りも定番化してきてる気がする。
昨日、櫓を組んでくれていたので、
野営が簡単だ。
再度、火玉で、火をおこし、
バックから取り出した肉詰めを一つ、炒めた。
屋台で買ってもらったスープと、
ちぎったパンを取り出した。
しばらくフライパンを眺めながら、焦げ付かないように、注意をする。
両面もしっかり火をとおす。
いい感じに焼けた、
肉詰めをたべながら、半分に契ったパンを頬張った。
バックからとりだした、パンとスープは、まだ、暖みがあった。
バックにしまうときは、状態がそのままで、
保存されるんだろうと思う。
できたてのパンを
食べるんだから、
うまいにきまってる。
肉詰めは、匂いに癖があったが、
それほど気になるものではなかった。
肉をねるときだと思わハーブと塩コショウが、
臭みを消すと同時に、食欲をそそられた。
食べきれなかったパンは、再度バックにしまい、
取り出したスープの最後の一滴を飲み干すと、
そうそうと出発をした。
ふと、朝日をみると、まぶしかったが、
空気は、すがすがしかった。
〈そういえば、昨日の夜は、
かばんの中のチェックをやらなかったね〉
〈忘れちゃったわね。
明日、朝、忘れてたら、教えてね〉
そんなたわいのない会話をしながら、
山道を進んでいった。
時折見える、町と、
遠くに見える水平線が、
昨日のリイナのように、
足取りをさらに早くさせた。
〈モンスターとか、出ないんだね〉
〈でても、逃げることしかできないんだから、
戦っちゃだめよ〉
当然だよね、
あの杖の呪いさえ、解除できれば、いけるのかな、
まだ、ビー玉サイズの火の玉しかだせてないし、試してみたいな。
もっとたくさんモンスターがでるもんだと思ってたけど、
いまだ、オークを一匹だもんな。
もっと、会ってみたい気もするね。
ははん。
〈ヒビキ、静かに。
ゆっくり、落ち着いて、
あわてずに、
はやく、移動して。〉
急にわてるような口調で、声をかけてきたが、言ってる内容がめちゃくちゃだ。
〈どうかしたの?〉
〈後ろに大きな蜘蛛がいるわ、
見つからないように、
静かに、逃げるのよ〉
僕は、ゆっくり振り向いた。
頭部と腹部だけで、一メートルはある
黒い蜘蛛が、真っ赤な目をしながら、
ゆっくり、近づいてきてる。




