第56話 米っぽい何かを買ってみよう
「キャロさん、出来合いのものを
うっているところは、あるかしら?」
「こっちにゃ、ついてこい」
まだ、買ってもらう気なのか、
元気よく、走って行った。
「キャロさん、まってー」
人ごみを華麗にさけていく、キャロさんと、
人ごみに揉まれている、リイナでは、
距離がどんどん離れて行ってる。
「リイナ、こっちだにゃ」
キャロさんの姿は見えないが、
声は聞こえる。
声を頼りに、しばらく向かっていると、
向こうの店の前で、ジャンプしながら、手をふってる、
キャロさんがいた。
どうやら、ここ一帯は、食べ物の屋台が続いているようだ。
串にささった肉や魚、野菜が売ってたり、
唐揚げやコロッケなんかも、売ってる
炒め物なんかも、あるな。
奥にカットした果物なんかも売ってるな。
あっちには、米っぽいものもあるけど、
人気がないのか、買ってる人は少なげだな。
〈ヒビキは、なんか食べたいものとか、
気になるものある?
一つくらい聞いてあげるわよ。〉
どうやら、僕の願いは、一個聞いてくれるみたいだ、最後っぽいけど。
他にサラダや炒め物を買っては、
バックに仕舞っていった。
この前のこともあり、少し多めに買ってるのかもしれない。
〈あの奥にある人気のなさそうなやつがいいな〉
ひどい表現をしたが、米で通じるかわからないし、
しょうがないよね。
〈あれ、なんなの?
食べたことはないわね、
買ってあげるから、残さず食べてね。〉
そういって、彼女は、大銅貨2枚をはらって、
買いに行ってくれた。
どおりで、人が少ないわけだ、
他と比べて、別格で高い。
「なんか歯にくっつくし、
特別おいしくないのにゃ。
これだったら、肉の方がいいにゃ」
キャロは、買ったばかりの商品を、
一つまみすると口にいれて、そういった。
「そうね、わたしもパンのほうが好きだわ」
リイナも手で、一つまみすると、
口にいれてそういった。
「買っといて、おかしなこという子にゃ」
キャロは、不思議そうに、リイナをみた。
「買ってみたかっただけだから、
いいんですよ」
どうやら、僕に言うところを、
口に出して言ったみたいだ。
それだけ、不思議な触感だったんだろう。




