第538話 一番はリイナ!
そんな中、一番初めに口を開いたのは、リイナだった。
「もう、いいんじゃない?
親友だがなんだが判らないけど、ヒビキはわたしのだん……
大事な人なんだから……。
言っていて恥ずかしくなったリイナは、最後まで言うことなく違う表現にかえてしまった。
「もう、何言ってるんだよ、リイナ」
顔を真っ赤になっているリイナは、我に戻ると叫びながら荻原に向かって仁王立ちをした。
「わたしが一番初めに会って、一番ヒビキの事を想ってるんだから、
まずは、わたしが最初に戦うに決まってるでしょ!!」
荻原は油断しないと思っていたが、装備が魔法使いのそれだとみると絶対にダメージは食らわないと思い、好きなように好きなだけやらせようと思っていた。
「ははは、
そんなにかっちゃんが好きなのか……
整った顔立ちではあるが……かっちゃんが好きなタイプとは違うかな
まぁ、どうでもいいか。
さぁ、魔法を撃ってみろ。
俺には絶対に効かないがな」
「ふん!
調子に乗れるのは、今だけよ。
必殺の一撃で倒してあげるわ!」
リイナは、魔法本を取り出すと師匠から使ってはいけないといわれた隕石を呼び出していた。青空がら小さな点がいくつも現れると、大陸中を覆うほどの隕石群がこちらへ向かって迫ってきた。
「さて、泣き叫ぶのはあなたの方よ
大隕石群!!」
荻原も徐々に大きくそして雨のように降り注ぐ隕石を見るとその場に凍り付いた。
「あんな馬鹿げたものが来るのか……」
「ホントだよ、何してんだよ、リイナ!
みんなっていうか、大陸まで影響出るでしょ!」
ヒビキが、リイナの後ろ頭を小突くと、痛さのあまりその場にしゃがみ込んだ。ヒビキは空から降ってくるであろう隕石を覆うように手を一振りすると魔法はキャンセルされ、一瞬で霧散し隕石群はなくなった。
「いったぁ~。
何するのよ!
っていうか、せっかく唱えたのにぃ!!」
「考えて攻撃しなよ、リイナ。
流石にあの魔法は、駄目だよ」
「判ったわよ、火玉にすればいいんでしょ、もう」
荻原は、ヒビキが呼んだその美女が全大陸を壊滅するほどの魔法を簡単に出しており、安い挑発はもうすまいと反省した。それでも今度来る魔法が初級魔法の火玉だと分かり、小さなバスケットボール位がくるだろうと想像し、まるでダメージなどないと思っていた。そのため、思わず心の声が漏れてしまった。
「は、はは。
す、少し驚いた」
「ヒビキのせいでやり直しだわ!
わたしこそが、ヒビキが一番最初にあって一番愛されてる美女なんだから!!
さぁ、くらいなさい!
火玉!!」
それは、最初の冒険の際では小さな小さなビー玉くらいの大きさだったが、今彼女が放った火玉は大魔導士といっても誰も文句がつけようない、大玉だった。
「ば、ばかな火玉のおおきさじゃないじゃないか」
それでも、高耐性をもっている荻原は安心しきっていたが、弱点属性追加のスキルを持っているリイナの攻撃は耐性をなんなく無効にし火に包まれた。




