第535話 自称最強の拳士
その神風とはいえないほど優しくなくむしろ荒々しかった。徐々に強くなっていったその風は全てのものを二つの風の渦が巻きこむと荻原以外のものがペテの待つ海へと吹っ飛ばされた。
荻原はまたしても殺害するのを邪魔をされたことに激怒し、風が吹き出してきた先へと視線を移した。そこには大小さまざまな少女が荻原に向けて走ってきており、戦闘を走っていたピンク色の少女が怒られていた。
「もう、モモ。
シューリン様も、エレメール姫様も海に落ちちゃったじゃない」
「いいじゃない、
とりあえず、二人は助かったんだし」
「そういうわけには、いかないよ。
アドア、シューリン様たちを助けにいって、
私達は、二人で倒しに向かうから」
「はいはい
任しといて」
その頃、エレメールは泳ぎにくいゴスロリの服装を脱ぎ下着姿になると沈んでいったペテとシューリンを助けに深く潜って行った。直ぐに二人を発見したが暴れるペテが助けるのに邪魔だった。ペテを手刀で失神させ、近くに海の底に沈んでいたシューリンを抱きかかえると、砂浜へと泳いでいった。
砂浜では、アンドレアが海に潜るか右往左往し迷っていたが、海の底から白い下着姿の姫様が二人を抱きかかえて浮かんでくるのをみて近寄っていった。
その上の橋では怒り心頭の荻原が昔にヒビキが言っていた怒った時こそ冷静になれを思い出し、怒りを鎮めることにして、直ぐに襲いかかるのを控えていた。
「君たちは、なにかな?
どういうつもりで、俺を攻撃してくるのかな」
「シューリン様を討伐させないよ、騎士の名にかけて」
アンナがヒビキから貰ったレイピアを顔の前にだしてかっこつけている中、隣にいるモモがさらに一歩前に出て仁王立ちしていた。
「ははん!
私が敵だと思ったら敵なのよ!
よく見ておくといいわ、大陸最強の拳士の勇士を!
そして、倒されなさい、栄誉なことなんだから」
「もう、モモ!
せっかく決めたのに、バカなことばっかりいうんだから」
二人のコントで怒りも冷めた荻原はやり取りを遮るように話し出した。
「いいかな、もう」
「ふ、いいわ。
どうせ、あんたなんか、さくっとやっつけてあげるんだから」
「それはどうかな。
さぁ、来るといいよ、神を助けたいんだったら」
荻原は、分身をやめ二刀流のまま、両方と対峙することとした。
モモとアンナは取り囲むように左右に広がると、両方から攻め始めることにした。だが、アンナがゆっくりと回っている最中にモモは初撃をくりだすのだった。
「ハン流渦中爆芯激」
後ろから近づきくるりと一回転し、回転の力を利用しながら脇腹を斜めに蹴り上げようとしたが、必中のその蹴りは、あり得ないような躱し方して避けていた。あわてて中途半端な位置からアンナも突技をくりだすのだった。
「トワイラルフラワー!」
モモが死角となって見えないはずで、しかも避けた先に合わせて何度もの突きをいれたが、その一つも荻原には刺さらなかった。その代わりに最後の一突きを合わせるように、青い剣でアンナのレイピアが着られると、またも二つに分かれてしまった。
「あぁーーー、
せっかく、くっついたのにまた壊れた」
「ははは、残念ね。
アンナはそこで見ときなさい。
私が誰よりも活躍するのを!」
アンナは、以前のリイナのようにその場で茫然自失になったがヒビキの顔が頭に浮かんだ。直ぐにヒビキの言われた通りに、欠片ごと鞘へとしまい込み、モモの邪魔にならないように後ろへと下がった。
「これで、一対一か。
かわいい子をいたぶる趣味はないんだが、あんまり時間をかけるのもあれだからな。
そろそろ本気で行かせてもらう」
「ふふ、可愛いっていわれても、手加減はしないわよ。
まずは、私に当ててから言うのね」
そういうと、モモはハン式の妙技を出していくのだった。




