第534話 小さな男の勇気
「もう、私の武器が!!
おこったなの!!!」
「そうか、だったらかかってくればいい」
荻原は、左手で挑発をするとエレメール素直に向かって行った。その間に、手袋のスキルを使用し左手にあった剣をコピーして新しい剣を生み出すと二刀流へと戻った。
エレメールは気にせず一気に近寄ると即断の回転縦斬りを荻原の頭に目掛けて放った。
「影麒麟一文字斬り!」
荻原は、剣先も全く見えず絶対回避がなければ避けることは不可能だったが、スキルに任せることで、左側へ勝手によけていた。その正面を、姫は空転しながら前方へと突き抜けていった。それでも、なんとか自分の頭があった位置に絶対切断の剣を配置しておくことで、姫の剣は根元から無くなって勢いよく地面に埋まっていた。だが、荻原はその様子を見ることなく正面に向きなおすとまだ倒れているシューリンに眼を向けた。彼の狙いは最初から、エレメールではなくその後ろにいるシューリンだった。
「おまえは、そこで神が消滅するのを指をくわえてみてな」
「し、しまったなの」
荻原は、ダッシュでシューリンとペテの元へ向かってきた。ペテは準備万全であって慌てることなく必殺の火炎魔法をお見舞いした。
「私の出番ですな。
くらえ、 火炎渦!」
ペテの杖から渦を巻くように、荻原に向かって炎が噴き出した。ペテの杖からでた火炎の渦は、彼に辿り着くころには巨大な渦になっており全身を飲み込んでいった。
完全にのみこんだことでペテは勝ちを確信したが、荻原にあたると一瞬で火炎の渦は静まった。
「ま、またか、
フ、火炎連掌!!」
杖から、大きな掌型の炎が何度も荻原に向かって飛んでいったが、荻原にあたると全て直ぐに火炎はなくなった。
彼が二人を他倒しにくる勢いは止まらず、間もなくシューリンを倒しにやってきそうだった。ペテはシューリンを自分の後ろに隠すと、両手を広げて荻原の目の前にたち行動を阻止しようとした。
「うぅ
ひ、姫様、助けてください。
もう、だめですぅ」
「勇気があるのか、臆病なのか、どっちだ?」
荻原は、そんな小さな男の勇気を買うとシューリンの前に倒すことにきめ、ペテに向けて剣の腹で頭をたたき気絶させることにした。
エレメールは、全力で向かったが武器もなくそして数歩先にいる荻原を止める手段はなかった。
「ぺ、ぺテ~」
ペテは覚悟を決め目を瞑って剣がくるのを待っていた。シューリンはその騒ぎで目を覚ますと正面にいたペテを蹴飛ばし海へと吹っ飛ばした。対象を失った荻原の剣は、地面を少し傷つけただけだった。
だが、荻原は攻撃できなかったことを帰って喜び、目の前の神に一撃を入れることにした。
「ふ、まぁ、いいさ。
これで、邪魔するやつがいなくなっただけだ」
「ぐぅ、こんどこそ駄目じゃな」
今だ危機は去っておらず、武器のないエレメールが必死に走っているなか、全員に向けて神風が吹き始めた。




