第531話 響の戦い
城の大食堂は、全員が座っても席はいくつも余っていた。それでも、みんなが座ったのはヒビキを取り囲む席に集中していた。ヒビキの隣にはカリナとリイナが、リイナの隣にスズネとユキナが並んでいた。シルキィは、どこに座るか悩んだ結果、ヒビキの膝の上に座り、アメリアは困惑し頭を頭を抱えた。。
「まったく、ヒビキには、驚かされるばっかりだわ」
「そうかなぁ」
「そうよぉ。まさか、あにぃが助けに来て来れるとわね。
でも、うれしかったよぉ♪」
「当然だよ、ね、ヒビキ。
それに、すっごく強くなってるだよ、
ゴブリンなんかばっさばっさなぎ倒してたし」
「そうしゃよ、会った時なんか、
ちょぉ~いっぱいのかまきりしゃんを、一撃で倒してたんしゃよ」
「そうよね、すっごい強い人にも勝って魔王を救ってたし、
ヒビキは、すぅちゃんと会ってた時とは、別人みたいに強くなってるわ」
その話をすると感心し、スズネは上から下まで見たが、それほど川てるようには、見えなかった。
「へぇ、もっと聞きたいな。
知らないことだらけじゃん」
「もう、みんな照れくさいよ」
「あちきももっと詳しく聞きたいでありんす」
「そうだな、せっかくだから、
ヒビキから聞きたいな」
「アメリアまで、もう」
「アメリア?ジーンじゃないの?」
「ジーンじゃないよ、アメリアしゃんだよ」
スズネがぽつんとしている中、数人はどう話すか悩んでいた。だが、深いことは考えないスズネは、それでいいかと納得していた。この後も、いろいろな話をしながら、和やかに食事は進んで行った。みんなが、お腹が膨らんだ頃、到着する朝に向けてそれぞれの部屋で仮眠することなった。カリナとシルキィとアメリアが片付けをする中、他のみんなは、いろいろな部屋を探索して好きな部屋を使うことになった。
3人の片付けがおわり、みんなが寝静まった頃リイナはヒビキの部屋へと静かにやってきた。
とんとん
「ごめんね、ヒビキ。
起こしちゃった?」
「ううん、今寝ようと思ってたとこだよ。
どうしたの?」
「うん……」
リイナは、口を開くのをためらったが、遅くなればなるほどヒビキに迷惑がかかると思い、意を決して話だした。
「神様、シューリン様を助けたら、
ヒビキは、どうするの?」
「どうもしないよ、神様候補はやめて普通の人になるさ」
「ほんとに?
ほんとに、どこにも行かない?」
「うん、僕には帰るところもないし、待ってくれてる人もいないしさ」
「でも、さっきの都市や今から会う親友は、ヒビキのことをいっぱい心配してたよ」
「そうだね、うん……そうだね……」
「戻らなくていいの?
ヒビキは、ここでいいの?」
「うん、ここには、スズネもユキナも、
それにリイナもいるしね。
みんながいるところが僕の場所だと思ってるよ」
「……そっか
へんなこと聞いてごめん、
おやすみ、ヒビキ♪」
「うん、おやすみ……」
ヒビキは、これからのことを意図的に考えないようにしており、どうしていいか考えがまとまらなかった。だが、彼は親友との決戦の後で知らされる事実で自分のやるべきことを知らされるのだった。




