第528話 ケノレンジャー参上!
カリナが城の周りから感じた異変は、遠い空からものすごい勢いの物体だった。
「ヒビキ様、大変でありんす。
変な物体がこちらへやってきてるでありんす。
ありえない速度でありんす」
カリナが向けた先には、城壁がありカリナとヒビキ以外には、何が来ているのか判断できなかった。だが、ヒビキは先ほどまでコネクトしていた少女が、合体した魔物と分かり安堵した。
まるで見ることができない他の4人は、こちらに聞いてきた。
「え、何かがおきてるの?」
「ふん、悪魔の勘違いだろ」
「そんなことないよ、アメリア。
アメリアがよく知ってる少女だよ。
さ、一緒に彼女を迎えにいこう」
全員が困惑している中、城の中庭を抜けて反対側までやってくると、カリナ以外はその空気の塊で誰がこちらに向かってきているか理解できた。
「なんだ、シルキィじゃないか」
「そうね、蝙蝠女が慌てるから何事かと思ったじゃない」
「カリナ、あれは大陸の魔王の孫のシュリルだよ、
さっき、僕が応援に呼んだから、きてくれたんだよ
でも、おかしいなぁ」
ヒビキは、直接向かうようにお願いしたはずで、飛空城のことなど伝えていないため合流する予定はなかった。
しばらくすると、全員が彼女を視認できるほどの近い距離となり、カリナを除いた全員で手を振っていた。シルキィは合体したイノさんの背中に乗って空を早く飛べるようにする魔法をかけて何倍ものスピードで城までやってきたのだ。
彼女は、興味津々でおり易そうな飛空城の中庭を見つけると、見慣れた人々を見つけてその近くへと降り立つと飛ばせていた魔法の風を霧散させた。
「やぁやぁ、皆しゃんお揃いでしゅね。
こ、ここに来れば合流できるとおもってたでしゅ」
「イヤ、ココにテキアリ ッテイッテタ」
イノが話したとおり、怪しい城むしろ好奇心の塊の城を見ると、目をらんらんに輝かせながらシューリンのことなどこれっぽっちも忘れて、やってきたのだった。
「そうか、でも、合流できてよかったよ。
それに、イノさん達もよろしく」
「アァ、ヒビキ、ヨロシク」
「何でここに呼ばれたかわからないけど」
ヒビキは、シュリルがナノさんたちに正しく伝えるとは思えず、事の始まりからゆっくりと判るように説明した。
「もう、ヒビキしゃんは、ちゃんと説明してくれないでしゅから」
「うん、ごめんね、もっとちゃんと説明すべきだったね」
「うふふ♪ゆるしてあげるでしゅ」
カリナが訝し気に小さな少女を見下ろすと、勝ち誇った顔へと変わった。
「ふふふ、同じ魔王候補でもあちきのほうが勝ってるでありんすね」
「そうでしゅか?
比べても仕方ないでしゅよ、人によってちがうでしゅからね」
「くっ」
「あははは
カリナったら、あんな小さい子に正論言われて絶句してるわ」
「まったくだな。
シュリル、お前はいいことをいうな」
「おじいちゃまのうけうりでしゅ」
「流石、年の功だね、カリナもそんなんじゃ戻った時、魔王様に怒られるよ」
「ヒビキ様まで、はぁ。
考えを改めるでありんす……」
このことがきっかけで、カリナがリイナやアメリアにちょっかいを出すことが減っていった。




